「雪の朝その2」
「「ごちそうさまでした!」」
おなかいっぱいのぼくたちは、ようやく起きてきたお父さんに、おはようのあいさつをしてから、ぼくたちの部屋にかけこんだ。
「やっぱ、これじゃない?」
「これもいいよね~」
ええと、何をしてるかというと、公園でつかうものを取りにきたんだよ。ズボンのポケットにつめこんで、あとはまたジャンパーとか着なくっちゃ。
リビングにもどったぼくたちは、ソファーになげたぼうしやマフラーもつけてから、お母さんにもう一度「行ってきます」を言ったんだけど、
「ちょっとまった~!」
お母さんがぼくたちの前に立って、とおせんぼ。
「はい、これつけてね!」
あ、新しい手ぶくろだ! さっきのびしょびしょだったもんね。よいしょとつけてたら、お父さんが、
「朝から、元気だなぁ~。あとで見に行くよ」
だって。さあ、行こう!
ザックザックと雪をふみながら、公園に着いたぼくたちだったけど、あれ、あれれれ~!! 先にお客さんが来ていたんだ。それも、三人も。手にはミニカーをもっているよ。
ぼくたちは、顔を見合わせ笑いながら言ったんだ。
「「やったね!! 作せんだいせいこう!!」」
言いながら、頭の上でりょうほうの手をパンっと合わせたよ。ハイタッチっていうんだって。手ぶくろしてたから、音はしなかったけれどね。
そう。ぼくたちが作ったのは、雪のレース会場なんだ。さか道やクネクネ道がある、ミニカーが2台はらくらくとおれる大きなつながっているみち。さっきポケットに入れたのは、そうミニカーなんだ。
お客さんが先にあそんでくれているなんて、思ってもいなかったけれど、あそんでくれてうれしいなあ。
「カイくんとソラくんが、作ってくれたの?」
「これ、すっごくおもしろいよ!」
お客さんは、ぼくたちと同じマンションにいる、同じ小学校の友だちの、たつやくんとようすけくん、そしてようすけくんの弟でまだようち園のゆうすけくんだった。
ぼくたちは、ゆうすけくんをさそってね、レースを見に来た小さい雪だるまを沢山作って、道の外がわにならべてさ、にぎやかになったレース会場を見て、もう大まんぞくだったよ。
そのうちお父さんもやってきて、大きな手でぼくたちの頭をぼうしごと、ガシガシとなでてくれて、
「すごいなあ~。レース会場なんて、よく思いついたなあ~。えらいえらい」
だって。ぼくもソラも、うれしくって、お父さんにとびついちゃったよ。二人分だったからかなあ、お父さん思わず雪の上にしりもちをついちゃったけど、笑ってくれたから、ますますうれしくなったんだ。
かわりばんこにレースをしていたんだけど、空がだんだんくらくなってきて、ふわふわした雪がふってきたんだ。
「またね~」
「「バイバイ」」
うちに帰って、ハチミツ入りのあったかいミルクをのみながら、ぼくたちはずっとふってきた雪をながめてたんだ。
雪はしずかに、あとからあとから、おりてきたよ。
*雪の朝 おわり*