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カイとソラ  作者: 神 雪
20/27

「さぷらいず」

 今日はお父さんのたん生日。そしてお母さんのたん生日。年はちがうけれど、同じ日がたん生日なんて、なんだかふしぎだよね。毎年この日に近い日曜日にみんなでおいわいをするんだ。今年はちょうど日曜日で良かったよ!



「ねえカイ、今年は何にする?」

「そうだなあ。あ、あれもういいんじゃない?」

「あれ? ああ、サツマイモ?」

「うん。おいもを使って何が作れるか、ちいばあちゃんに聞いてみようよ」


 ぼくたちの畑もずいぶんさみしくなってきたんだけど、ちびポテトの横にこっそりうえていたサツマイモ。葉っぱがモリモリのびた時は、ちいばあちゃんとカイとぼくたちで、お父さんやお母さんからかくすのが大変だったんだ。だって、びっくりしてもらいたかったんだもん。夏が終わってから、畑に行くのはちいばあちゃんとぼくたちだけになったから、ばれていないと思うんだけど。


 ちいばあちゃんとそうだんしたぼくたちは、「スイートポテト」っていうのを作る事にしたんだ。金曜日のほうかごに、ちいばあちゃんと畑に行って、でかポテトとサツマイモをほってきたよ。もうちびポテトじゃあなくなってたジャガイモと、ちょっとひょろひょろなサツマイモをリュックサックにつめて、ヨイショと持ってきたんだけど、けっこう重くてぼくもカイもびっくりしたんだ。


 そしてきのう、ちいばあちゃんのお家で教えてもらいながら「スイートポテト」を作ったんだけど、アマアマホコホコで、おいしくできたんだ! お父さんやお母さん、喜んでくれるかな?


 ちいばあちゃんは、お料理を作ってくれるんだって。取ってきたジャガイモを使ったサラダと、からあげでもしようかって言ってたよ。お花とケーキはいつもお父さんが買ってくるんだ。お母さんへのプレゼントなんだって。お母さんからは、お父さんの好きなお酒をおくるみたい。リボンのついたハコを見つけて、「これなあに?」って聞いちゃったんだ。そしたら「お父さんにはまだないしょよ」って言ってたお母さん。「もちろんだよ!」ってぼくとカイ。うれしいヒミツってとってもうれしいもんね!




「「お父さん、お母さん。おたん生日、おめでとう!!」」


「これからお手紙を読みます。はじめはカイからお父さんへ」


「お父さん、おたん生日おめでとう。いつもお仕事してくれてありがとう。これからも元気でいてほしいから、あんまりお酒はのまないで、体を大事にしてください。それと、また今度キャッチボールをしてください。カイとソラより」


「ハハハ。ありがとう。そうだなあ、たまにはお酒もゆるしてくれよ? 量は少なくするからさ」


 お父さんは頭をゴシゴシしながら、ぼく達を見て笑って言ったんだ。うん。飲みすぎないなら良いよ! 


「次にソラからお母さんへの手紙です」


「お母さん、おたん生日おめでとう。いつもおいしいごはんをありがとう。さいきんちょっと太ったみたいだから、これからいっしょに運動しようね。ぼくとカイもいっしょに運動するからね。食べすぎに注意してください。ソラとカイより」


 あれえ~? なんでみんな笑っているんだろう。カイもぼくもなんで笑っているのか分からないから、思わず顔を見合わせちゃったよ。まあいっか。太ったなんて書いちゃって、おこられるかなって思ったんだけど、笑ってくれたからいいよね!


 それから二人で作ったスイートポテトをプレゼント! ハコを開けたお父さんもお母さんも「すごい!」って喜んでくれたんだ! 「うちの畑のサツマイモだよ!」って言ったら、「へえー」なんてびっくりしてたけど、なんでかニヤニヤしてたんだよねえ。あれ? ばれちゃってたのかな? でもいいや。作ったスイートポテトにはびっくりしてくれたもん。


「「やったね!!」」


 ぼくたちはちいばあちゃんとハイタッチ。ちいばあちゃんが作ったおいしいお料理を食べて、お父さんが買ってきたケーキを食べて、ぼくたちが作ったスイートポテトも食べたらおなかいっぱい。


「「苦しい~!!」」


 でもね、みんなニコニコしてたから、すごくうれしくなっちゃった。

 

 使ったお皿を洗ったのはカイとぼく。喜んでくれて良かったねってカイと話しながら、お皿をふいて。これで今日のおたん生日会も終わりだと思ったんだけど。



「カイ、ソラ。今日はありがとう! 二人に大事な話があるんだ」


 お父さんがまじめな顔をしてたから、ぼくたちはドキドキした。なんだろう。


「……実はな、お母さんは太ったんじゃないんだ」


 ここまで言ったお父さんは、なんでかお母さんと顔を見合わせ、ちいばあちゃんの顔も見て、ニヤッと笑ってた。お母さんやちいばあちゃんまでクスクス笑ってるし。


「ゴホン。ええと、お母さんのおなかには、お肉じゃなくて、赤ちゃんがいるんだよ!」


 赤ちゃん!? 赤ちゃんって、赤ちゃん!? 見えないけど赤ちゃん?


 ぼくもカイもポカ~ンと口を開けちゃった。ええと、ええと。


「「赤ちゃん!?」」


「そうよ! 春には二人ともお兄ちゃんになるの!」


 お母さんはポコッとしたおなかをなでながら、ニコニコして言ったんだ。


「「お兄ちゃん!?」」


「そうだぞ! これからお母さんのおなかはもっともっと大きくなっちゃうから、二人ともお手伝いしっかりたのんだぞ!」


「「もちろん!!」」



 うわあ~! うわあ~!! うわわわぁ~!!! どうしよう。ドキドキが止まらない。


「カイ~! 赤ちゃんだって!」

「う、うん。 お兄ちゃんだってさ、ソラ!」

 

 ぼくはカイにだきついちゃった。カイもドキドキしてるみたいで、二人分のドキドキがどんどんふえて、どんどん(のぼ)ってきて、二人いっしょにさけんじゃった!


「「ありがとう!! 空海さん!!」」



 お父さんもお母さんもちいばあちゃんも、そんなぼくたちを、ポカンとして見てたんだ。




*「さぷらいず」おわり*

お読み下さって、ありがとうございます

(^▽^)(^O^)

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