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カイとソラ  作者: 神 雪
13/27

「ひいおばあさんのお家①」

今日からまた四話を毎日朝10時に更新します。

「とうちゃ~く!」


「おつかれさま。やっぱり、時間かかったわねえ。ずっとじゅうたいしていたし」


「着かないかもって思ったよ。高速下りてから、空いててよかった。それよりこっちは空気がうまいなあ。久しぶりの長きょり運転だったけど、景色もいいしけっこう楽しかったよ」


「そう? 久しぶりだけど、思いきって来てよかった。ユウちゃんもちょっとのんびりできるといいわね!」


「おい、カイ? ソラ? おまえたち、起きてるんだろう?」



 エヘヘ。ばれちゃったよ、カイ! なんで分かっちゃったのかな。


 今日ぼくたちは、ひいおばあさんのお家に着いたんだ。きのうの夜に家を出たのに、気がついたら朝になってたんだよ。カイと二人で、ずっと起きていようね! って、言ってたのに。いつねちゃったんだろう。


 みんなで車から下りて、う~んと伸びをしたら、にもつを持って、おみやげ持って、さあ行こう。


 ひいおばあさんのお家は、たんぼや畑の中をずっと走ったところにあった。お母さんが、「この辺のたんぼや畑はひいおばあさんの所のなのよ」って言ってたけど、となりのお家が見えないじゃん。マンションしか住んだ事がないぼくとカイは、それだけでびっくりした。


 緑の中にぽつんとある赤い屋根。うわあ~。大きいお家。それにあれ池? お家に池? なんか泳いでるのかな。あ、向こうにも三つ家があったよ。え? あれ家じゃないの? くら? くらって何? 倉庫みたいなもの? だって家みたいに大きいよ? それとなや? なやって? 農家だから、たんぼや畑で使う道具が置いてあるんだって。じゃあ、もう一つは? ふう~ん、はなれって言うんだね。え? あそこにとまるの? ええ~。ぼくたちあの大きなお家がいいなあ。いっぱいたんけんできるじゃん。



「お、アイちゃん良く来たな! ユウ君も運転つかれただろう? ほら入った、入った。そこの双子! あいかわらずそっくりだなぁ! おまえたちくらいのが沢山来てるから、なかよく遊べよ?」


「おじさん、ごぶさたしてます。しばらくおせわになりますね。あ、これみなさんでどうぞ!」


「なんだなんだ、アイちゃん。あのおてんばアイちゃんが、すっかりお母さんだなぁ。気をつかわねえでよかったのに。ありがとな。おれんとこの孫が、双子と同じ年頃だし、もうちっと大きいのもいるから、ほっといても平気だよ」


 あれ。お父さんの後ろにかくれてたのに。だってなんだか、はずかしくなっちゃったんだもん。


「お久しぶりです。おせわになります。ほら、おまえたちもごあいさつしなさい」


 お父さんにひょいと前に出されたぼくとカイ。


「「コンニチワ。ヨロシクオネガイシマス」」


 あらら。ロボットみたいになっちゃった。おじさんは、「ガッハッハ」って大きな声で笑って、ガシガシとぼくたちの頭をなでてたけど……ちょっといたい。



 大きなげんかんを入ったところに、女の子が二人立っていた。ぼくたちと同じくらいの子と、もっと小さいようち園くらいの子。その女の子の向こうにもだれかいるみたい。たくさんの人の声が聞こえてくる。大人の男の人の声や、お母さんみたいな女の人の声、ぼくたちみたいな声もしてる。


「おじゃまします」


「こんにちは」


「「オジャマシマス」」


 まだ、ちょっとロボットみたいなぼくとカイ。女の子たちもだまったままだし、べつにいいよね? なんだかドキドキして、でもすごく楽しみで。げんかんを上がって、右側の部屋は、とても大きなたたみの部屋だった。大人の人が何人もいて、みんなでお酒をのんでるみたい。


「アイ姉、久しぶり~。ユウ兄さんも座って、座って。ゴメンね~。もう始めちゃったよ」


 あ、このおばちゃんは知ってる。お母さんのいとこなんだって。おばちゃんって言うとおこるんだよ。お母さんよりも若いんだから、お姉さんとよびなさい! って、前に言ってたっけ。


「カイ、ソラ、おぼえてる? タマ姉ちゃんだよ~。おくに兄さんたちのところ子たちのがいるから遊んでおいで」


「それよりタマちゃん、おばあちゃんは?」


「ん? なんかねえ、ゲートボールに行っちゃったんだって。元気よねえ~」


 うわあ~。ちいばあちゃんみたいなおばあさんなのかな。ぼくとカイは顔を見合わせてニヤッとしちゃった。


 これから三日間。どんな楽しい日がまっているんだろう。よその家におとまりなんてはじめてだよ。ちいばあちゃんちはあるけどさ、おとなりだもん。



 ワクワクしながら、おくの部屋へと行ったぼくとカイ。そこにはさっきの女の子たちと、大きなお兄ちゃんが三人、そしてぼくと同じくらいの男の子が一人。


 さっきの部屋が小さく見えるくらい、今まで見たこともないような広い部屋で、ゴロゴロとねそべって、ゲームをしていたんだ。


 一番大きなお兄ちゃんが立ち上がって、ぼくたちを見て声をかけてくれた。


「カイとソラ? 本当に双子なんだ。そっくりだなぁ。え? 青がソラで、緑がカイだね! りょうかい。いっしょにゲームやらない? ぼくはマモル。こっちがユウマ。それとリョウ。ぼくたちは、中学生だよ。よろしくな! それから君たちと同じ学年のタクマ。サキちゃんとマキちゃんには会ったでしょ? え、名前初めて知ったの? てれたのかな。まあ、いいや。人生ゲーム知ってる? じゃあやろう!」


 うわあ~。中学生のお兄ちゃんが三人も。タクマ君はいっしょかあ。サキちゃんって子もそうかな。女の子ってよくわからないんだよね。さっきからずっとだまったまんまだし。なんでだろう。マキちゃんは、ニコニコしてるのにさ。でもなかよくなれたらいいなあ~。ね、カイ!



 *つづく*

【「ひいおばあさんのお家」限定登場人物】

ひいおばあさん→お母さんの母方のおばあさん。

おじさん→お母さんのお母さんのお兄さん。双子には大伯父さん。農家。

タマ姉ちゃん→おじさんの末娘。本名は珠子。29才、独身。バリバリのキャリアウーマン。

マモルとリョウ→おじさんの長男(農家を継いでいる)の息子達。中三と中一の兄弟。

ユウマとタクマ→おじさんの次男(役所勤め)の息子達。中三と小学生の兄弟。マモル達と仲がいい。

サキとマキ→おじさんの弟(故人)の一人息子の子供達。小学生と幼稚園年少さんの姉妹。


ちなみにお母さんのお母さん、つまり母方のおばあちゃんはおじいちゃんと海外在住。おじいちゃんはまだ現役で仕事をしている。お母さんにはお兄さんがいるが、独身でこれまた海外駐在中の為、滅多に会えない。今回三人とも休暇が取れず帰国できなかった。

……という、裏話があったりします(笑)

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