「五月五日はぼくらの日」
気持ちのいい風に、ベランダのこいのぼりがパタパタと泳いでいるよ。カラフルなのはふきながしって言うんだって。その下に黒いのと赤いのと、青いこいのぼりが二ひき。こいのぼりの歌みたいに屋根より高くはないけどさ、マンションだからしょうがないよね。それにしても、気持ちよさそうだなあ。ねえソラ。
今日は五月五日のこどもの日。女の子のおいわいは、「おひなさま」にやるんだから、「男の日」とかだっていいじゃんね? 「タンゴのせっく」ってちいばあちゃんは言ってたけどさ、大昔からの大事な日なんだって。昔は菖蒲っていう細長い葉っぱや、よもぎみたいなにおいの強い葉っぱで、ヘビやヨウカイとかオバケをおいはらったんだって言ってた。葉っぱでにげてったなんて、弱すぎるよね。だけどちいばあちゃんって、どうしてこんな事まで知ってるんだろう。そっちの方がびっくりだよ。
それでね、今日はちいばあちゃんの家で、かしわもちを作るんだ! かしわの葉っぱは、ちいばあちゃんのお友達からのプレゼントなんだって。あんこはちいばあちゃんの手作りなんだ。お母さんは、「むずかしくてできないわあ~」なんて言ってたけどさ、ちいばあちゃんのあんこって、ほんのりあまくっておいしいんだよねえ。あんこだけで食べたいくらいだよ。
じゃあ、ここでかしわもちの作り方をしょうかいしちゃうよ! かしわがなくてもおいしいから、作ってみてね。
☆かしわもち(8コ分)☆
*用意するもの
かしわの葉 8まい
白玉粉 30g
上新粉 140g
水 140ml
こしあん てき量 (つぶあんもおいしいよ)
*作り方
①かしわの葉をあらう
②ボウルに白玉粉を入れて手であらくつぶし、上新粉をくわえてサッとまぜる。水を少しずつ入れて耳たぶくらいのかたさに練る。
③②を耐熱容器に入れてラップをふんわりとかけて電子レンジ(600w)で1分加熱する。一度出してまぜる。そのあと、さらに2分加熱する。
④ぬらしたスリコギでペタペタついて、少し冷めたら手でなめらかになるまで練る。そして耐熱容器ごと冷水(分量外)につけて冷ます。
⑤冷めたら、8コに分けて、だえん形に薄くのばしてあんこをまん中にのせて半分におる。その時に合わせ目をピッタリととじること。
⑥ふきんをしいた蒸し器にのせて、強火で6分蒸す。蒸し終わったら冷水(分量外)を少しかけて、もちにツヤを出して冷ます。
⑦ちゃんと冷めたら、かしわの葉でつつんで、かんせいだよ!\(^▽^)/
※蒸し器がない場合は、もちの表面をぬらして電子レンジで2分加熱してもだいじょうぶ。
ええとね、あんこをピッタリつつむのと、つめたいお水でツヤツヤにするのがポイントなんだって。
むずかしかったのは「耳たぶくらいのかたさ」ってところ。ソラの耳たぶでたしかめたんだ。ソラはぼくの耳たぶで。これって、ピザを作る時も同じみたいだけどさ、耳たぶってプルプルしてるのや、コリコリしてるのがあるじゃん? どっちに合わせるんだろうね。ちいばあちゃんに聞いたら、「そんなもん、てきとうだよ!」とか言ってたよ。ちいばあちゃんって、すごいんだかなんだかわかんないよね。
それと、火を使うから、ぜったい大人の人といっしょにやってね! やくそくだよ!
こうして、ぼくとソラは、ちいばあちゃんのお家で、かしわもちを作ったんだけど、ぼくの家ではお母さんがこいのぼりの形をしたハンバーグとか、ちらしずしとか、ごちそうを作ってくれていたんだ。
こいのぼりのハンバーグの目玉はグリーンピース、ケチャップでウロコが書いてあったよ。つぶしたおいものサラダもこいのぼりの形で、上にのったキュウリがウロコになってた。お皿の上で、泳いでるこいのぼりは食べちゃうのがかわいそうな気がしたけどさ、ぼくもソラもハラペコだったから、ペロッと食べちゃった。
ねえソラ、今ごろおなかの中で泳いでいるのかな。
あっ、かしわもちもおいしかったよ! お父さんやお母さんも「おいしい」って言ってくれたから、ぼくとソラはパーンとハイタッチ! おいしいってうれしいね!
*「五月五日はぼくらの日」おわり*