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コロノ山と魔獣のタマゴ――その七

 これは、蛇足でしかない結果と感想と今後の方針。

 合流した時にタマゴを持ってなかったもんだから俺はてっきり仕事が失敗したのかと思っていたのだが、実は、俺が気を失っているうちにロットとルーで赤雷鳥をまいてしまったのだそうだ。

 どうやったのかというと、まずタマゴを持ったロットが囮になって逃げ回り、ルーはロットと別れて赤雷鳥の背後を取る。そして後方から『橙石』および『紫石』によって赤雷鳥の行動力を削いでいき、その隙にロットがタマゴを抱えて逃げ切る、というものだった。俺が最後に聞いた赤雷鳥の雄たけびは、つまりルーの総攻撃を受けた時のものだったわけだ。

 俺を助けに来たのは、すでにタマゴを村の宿の部屋に保管し終わった後だったのである。

 合流後、

「やれやれ、ダルク。お前は肝心なところで抜けているな」

「ふふん、どう? ダルク? あたしの腕前は? 惚れ直した?」

 となじってくるこの二人に言い返す言葉がなく、仕方なく俺はそのやかましい文句の数々を甘んじて聞いてやった。今回のことに関しては、坂を落ちたのは完全なる俺の不注意であり、言い訳は何もない。悔しいがしょうがない。次で見返してやるしかないだろう。

 ――そう言えば、

 あの着地点――と言うより落下地点と言う方が正しいのかもしれないが――を離れる際、周囲を見回してみたところ、ところどころにコゲ跡があった。小さくまばらで、まるで何かを威嚇したような形跡。十中八九、ウェリィの電撃による攻撃痕だ。

 恐らく、周囲の獣を追っ払ったのだろう。

 ウェリィは、本当に俺を助けてくれたのだ。

 あいつがどういう心情で俺のことを助けてくれたのかその深層心理までは理解でないが、とりあえず俺は素直に感謝している。もしあいつが守ってくれなかったら、もしかしたら俺は今頃獣の餌となって胃袋で消化されてたかもしれないのだ。

 だからもちろん、恩返しもしようと思っている。

 今回のレストランからの依頼は一応これで終わりであり、これから俺達は次の仕事を探さなければならない。そしてこいつらとの仕事探しがいつだって一筋縄ではいかないことは経験的に思い知っていて、少なくとも一週間はかかることはもはや前提条件のようなものだ。

 それはつまり、俺は一週間アステルに留まらなければならないということ。

 明日から始まるロットとルーとの会議(という名のなじり合い)も、一日いっぱいを費やすほどではない。時間が作れないこともないだろう。

 

 俺は明日、ワイトの見舞いに行くことにした。

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