第2限目 ~語学ちゃん~
「どうして数学くんを叩いたのかな?」
語学ちゃんと若林先生の対決が始まるよ。
「数学くんが気持ち悪いからです」
事実だけど、言っちゃダメだね。
厳しいね。
「だからと言って暴力はいけないよ」
若林先生、否定はしないんだね。
かわいそうな数学くん……に対してかわいい語学ちゃん。
「あの顔面は、暴力です。いえ、暴顔です」
「うーん。そう言われると、確かに先に暴力を振るったのは数学くんのほうかな?」
絶対に違うよね。
そんなこと負かり通らないよね……大丈夫……だよね。
「そうでしょ? あの顔面で私に話しかけて来たんですよ? 手ぐらいでて然るべきです」
「でも、語学ちゃんは女の子だからね。表立った暴力はいけないよ」
表立ってなくてもダメだからね。
むしろ表立ってないほうがたち悪いからね。
「最初は勿論、あの顔面の暴力に言葉の暴力で対抗していました。でも、最後にはやっぱり私の手が必要でした。それくらいの暴顔なんです数学くんは」
もう夢かと思うほどケチョンケチョンに言われてるね。
ここまで来ると、さすがにかわいそうだね、数学くん。
ほら、数学くんが物影で涙しているよ?
「うーん。でもなー、手が出ちゃうとなー」
悩むところじゃないんだよ? 若林先生。
上手くあしらわれてるね。
「確かに手を出しました。でもそれは数学くんの暴顔を覆い隠す為の手です。それがたまたま数学くんの暴顔に当たったと言うだけのこと、つまり事故なんです」
「そうなの? なら取り立て言う必要はなかったね。以後気を付けね」
「分かりました」
やや食いぎみで返事をする語学ちゃんは、やっぱりかわいいね。
でも、数学くんの件に関しては確実にグーで叩いているからね。
覆い隠す為、とか普通に嘘だからね。
でも、やってのけたね。凌ぎきったね。立派だね。
あれから数年。
語学ちゃんはN●SAで働いているよ。
だって語学ちゃんは語学の天才だからね。
でも、やっぱりかわいいのは変わらないよね。
なんか面白くなりそうな予感だぜ!