第1限目 ~数学くん~
本編の語り部は二人です。
本編カタリと本編カタルの双子の兄弟が、やってます。
どっちがどっか分かるかな?
ジンクスにも分かりません。【意識せず】やっています。
伏線は元々ありません。
しかし、読者様の皆様には「こーゆー理由でどっちがどっちである」と言う仮説を立てて頂けたらと思います。正解のないものですので自由に仮説を……。
贅沢ですね、【読んで】いただけるだけで幸せです
「勝負だ、数学くん」
数学くんと若林先生の対決が始まるよ。
「ふふ、このテストに耐えきれるかな?」
若林先生が昨晩、練りに練った問題だよ。
きっとひまなんだね。
「満点を取ってやるよ!」
数学くんは気取ってもカッコよくないんだよ。
残念な事実だけど受け入れてね。
「始め!」
カリカリ。
数学くんは物凄い勢いで問題を解いて行くよ。
それはもうテスト用紙に穴が開くかと思うほどだよ。
「またも楽勝なテスト……いや、こっこれは!」
テストを七割ほど解いた時だよ。
数学くんの手がピタリと止まったね。
「気が付いたようだね」
若林先生がニヤリとすると気持ち悪いね。
あんまり言わないであげてね。
「バカな……ここまでの問題に……一つも引っかけがないだと!」
「さて、どうかな? 数学くんが引っかけ問題だと気付かなかっただけじゃないの?」
本当は引っかけ問題なんて一つもないみたいだよ。
大人って汚ないね。
「解いたはずの問題が……俺に牙を向くぜ!」
意味が全然わからないし、カッコよくないね。
そそる台詞だけどね。
「そーら、そうこうしているうちに、時間がなくなるぞ?」
「えーい! とにかくやってやるぜ!」
ガリガリ。
今度こそテスト用紙に穴が開いたよ。
やっちゃったね。
「なんてこった!! これじゃ数式が読めない!」
「……勝った、数学くんについに勝った!」
若林先生が踊り始めたよ。
嬉しいんだね。
「まだだ! 秘技! 凄いよく思い出すの技!」
よくよく思い出しているだけなんだけどね。
うるさいね。
「見える! 数字が見えるぞー!」
見えるわけないよ。
幻覚を見ているんだね。
かわいそうな数学くん。
「そこまで!」
「くっ、今までで一番難しいテストだったぜ」
引っかけ問題は一つもないのに、不思議だね。
でもさすが数学くん、ちゃんと満点を取って見せたよ。
偉いね。男の子だね。カッコよくないけどね。
あれから数年。
数学くんはN●SAで働いているよ。
だって数学くんは数学の天才だからね。
でも、カッコ悪いのは変わらないよ。
次は数学くんが、ボロクソ言われるよ!