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第三章「潮干狩り大会」2

そして、開始と同時に全てのチームが、海に向かって走り出す。


それは俺達のチームも同様で、タジマを先頭に、幽霊だからユラユラと浮遊して移動するトミジイ、そしてそれを千鳥足で追いかけ、時には転げ回りながらも食らいついていく俺とタモツだった。


疾走し潮の引いた浜辺に到達した者から、砂を掘り始める。

もちろん、砂を掘る道具を持たない我々だけは、手で掘っていた。

掘り難いし指に砂が入る。


まあ、俺はこの時点で優勝を諦めているよ。

でもなんか、運良くレアな貝が見つかったらなあって・・・


しばらく掘っていると砂の中でザラついた壁にぶち当たった。

そして掘り起こしてみると、それは人間の頭ほどの大きさの茶色い二枚貝だった。


コイツはデカいぞ!


「そいつは<ブラウンクリーナー>と呼ばれる貝だ。この世界じゃ珍しくもねえ」

タモツは言った。


茶色い掃除屋(ブラウンクリーナー)か。


周りを見ると、すでに複数のチームが巨大な台車に同じような茶色い貝を2〜5つ乗せていた。


「まあ、食べられないことはないがな」

タモツがニヤっと笑う。


そういえば、俺たちには捕まえた貝を入れておく物すら無いんだったな・・・


仕方ないから今はその辺に置いておこう。


そして、さらに掘り進めていると、タジマが同じくらいの大きさの二枚貝を掘り当てた。

しかもその貝は綺麗な水色をしており、光の当て方によって色が変わる。


「これは珍しい。<バブルガムクリーナー>だな。今はブラウンクリーナーとの縄張り争いで負けて数を減らしている」


さすがは潮干狩りマスターのタジマだ。

みんなにも分かりやすいように説明してくれた。


30分後、それぞれの隣にブラウンクリーナーが2、3個並んでいる。単調な作業だ。


今気づいたのだが、詳しいルールを何も聞いていなかったので、みんなに聞くことにした。

「そういえば、この大会いつ終わるんだ?」


「そうだった。これを見てみろ」

タモツがルールの書かれた紙を渡してきた。


・制限時間2時間

・生きた生物が審査対象


え、これだけ?


「最後に捕まえた貝を運営に渡して、集計後に表彰式だ」

タモツは手を動かしながら答えた。


「うーん」

タモツが唸ると、その右手にはブラウンクリーナーがあった。


「いや、コイツはちょっと違うぞ」

タモツはその茶色い二枚貝をくまなく調べていたが、その貝が徐々に巨大化していき、タモツも驚いてそれを放り投げた。


「<サベージクリーナー>だッ!」

タジマの叫び声と共に、オーケストラ調の戦闘曲が流出した。


巨大化した貝は2枚の貝殻の隙間から、2つの足を出し二足歩行で立っている。


しかも体長3メートルはあるだろう。


サベージクリーナー レベル3


俺達のチームは横一列に並び、それぞれの武器を構えた。


「トシ坊!コイツを捕獲するぞ!」

タモツは、サベージクリーナーのレベルの低さから、倒すのではなく、より難易度が高い捕獲を選んだのだろう。


「ここらの敵には、武器による攻撃は通り難い。しかし、魔法なら効果がある!」

タジマはベーシックダガーを構えながら言った。


「魔法アルで酔わせて動きを止めるぞ!」

タモツは叫んだ。


幸い泥酔するまで飲んでいる俺達は、酒気カウンターを2つずつ貯めた状態で戦闘に入っている。


つまり、高濃度のアルを4回使えるのだ。


しかしここで、遠くから叫び声が聞こえてくる。

「<バブルガムクラブ>だッ!」


「何ッ!?」


叫び声の聞こえる方を見ると、体長4メートルほどの水色の巨大蟹が慌ただしく移動し、人々が逃げ惑っている。


やがて、その蟹は高速で移動して、こっちの戦闘に参加してきた。


バブルガムクラブ レベル5


バブルガムクラブとサベージクリーナーに対し、レベル4の俺とタモツ、戦力外のトミジイとタジマ。


しかも、俺とタモツは泥酔で能力が低下しているから、実質レベル3以下の実力しかない。


武器だけは高品質ではあるものの、命中率が大きく低下した俺達に勝ち目があるのか?


タモツの方を見ると完全に戦意を消失している。


他のチームに助けを求めるしかないか・・・


「私を忘れては困りますよ。あと、道具は多めに買っておきました」

後ろを振り向くと大きな台車を押しながら走ってくるダグラスがいた。


「魔法ファイヤー!」

ダグラスが右手から火炎球を発射すると、バブルガムクラブに命中し弾けた。


「蟹は熱に弱いんだ!」

タジマが叫んだ。


そうか。それならまだいけるかもしれない。


「まずはサベージクリーナーを倒すぞ!バブルガムクラブを捕獲するんだ!コイツなら間違いなく優勝だ!」

タモツが叫ぶ。


「蟹は審査対象か?」


「蟹も審査対象だ」


よし、それならタモツの作戦でいこう。


すると高速移動したバブルガムクラブが巨大な爪を振り上げ、タジマに向かって振り下ろした。


「危ない!」


しかし、爪の攻撃が空を切る。

トミジイが間に入ったのだ。


トミジイは幽霊なので無属性攻撃を無効化する。


その隙に俺とタモツは千鳥足ではあるが、サベージクリーナーの両側に回り込んで翻弄し、ロティサリースピアとザ・トリニティで挟撃を仕掛けた。


この世界でも高威力の部類にある武器二つの挟撃を受け、殻は粉砕し、サベージクリーナーはあっさりと砂に沈んだ。

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