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第九章「孤独酒」1

トシミツの装備と能力


泥酔者レベル14、騎手レベル10、ナイトレベル3


<装備>

・ロティサリースピア

レア度:ユニーク

攻撃力:大 炎属性


<アクション>

・魔法アル

酒気カウンターを1つ消費することで威力と度数が上がる。

・魔法アルズ

2つのアルを放つ。

・魔法トリプアル

3つのアルを放つ。

・魔法ホワイトアル

白く濁ったアルを放つ。

・白陽鳥

世界を救った伝説の白い鳥。

・馬呼び

自在に馬を呼べる。

・スティンガー

威力のある馬上攻撃。


<フィート>

・泥酔王

泥酔状態になり全ての能力値が低下する。

・酒気メーカー

飲酒を行うたびに、トシミツの上に酒気カウンターを1つのせる。

・千鳥足ステップ

回避率+50% 命中率−20%

・馬術

馬に上手く乗れる。

俺は神仙の山のふもとまで逃げ戻っていた。


なぜここに戻ってきたのか分からない。

仙人のような強さを求めているからなのか、再びあの2人に会いたかったからなのか・・・


おそらく、どちらともだろう。


ジュウホウとブライ、彼らは無事に逃げられただろうか?

生きていたとして、真っ先に逃げた俺はどの面下げて彼らに会えばいいのか?


そんなことを考えていると、どこからともなく声が聞こえてくる。

「お前がここに来ることはわかっていた。トシミツ」

聞き覚えのある声だった。


「ハッピーニューイヤー」

俺の目の前に青白い半透明の光が浮かび上がっていく。


「トミジイ、なのか?」

俺は精神体であるトミジイに手を伸ばした。


「なぜアンタがここにいる?」


「俺はゴーストだ。霊として蘇ってはいるが、この世界に留まれるのは有限。精神で作った身をすり減らしてんだ。バブルガムの街、あの街は居心地が良かった」


「すまない。あの街を守る力が俺になかったんだ」


「責めちゃいないさ。お前もタモツもな。俺にとってこの場所も特別な場所なんだ。何者かになろうとして必死に足掻いた場所・・・」

トミジイは空を見上げた。


「お前達に威張り散らしていたな。若い頃は大魔導士だっただの、名門の騎士の家系だっただのと」


「わかっていたと思うが、あれは全部嘘だ。俺はこの山で何者かになろうとして修行していた。寂しくなるとたまに村に降りて、威張り散らしていたから村の奴等には変人扱いされていたなあ」


「まあ、最終的には何者にもなれなかったがね。人生でやったことといえば、あの小さな村を一時的に救えたくらいだっただろう」


トミジイ・・・


「俺ぐらい長く生きているとな。そろそろ死んでいくことを求めるようになる。今はどっち付かずの存在になっているが、もう辞めるよ」


「お前は俺の話をよく聞いてくれる。そこが気に入っていた。だから最後に忠告するぞ。俺には分かる。タモツは化け物だ。再びお前の前に姿を現すだろう。敵としてか味方としてかは分からねえ。だが、奴の飽くなき欲が良い結果を呼ぶとは思えねえ」


俺はタモツがまだどこかで生きているんじゃないかという気がしていて、トミジイの言うことをすんなり受け入れられた。

「ああ、気をつけるよ。トミジイ」


「それじゃあな。健康に気をつけろよ」

最後の言葉を述べたトミジイが親指を立ててから、後ろを向いた。


「アンタ、何者にもなれなかったって言ってたが、大抵みんなそんなもんだろ?それに比べりゃあ、アンタの人生、上出来だったんじゃないのか?」

照れ臭い気持ちから搾り出した言葉だった。


「ありがとう。ハッピーニューイヤー・・・」

微かにそう聞こえた。

トミジイの青白い身体が宙で霧散して消えていく。


「ああ、ハッピーニューイヤー」


ありがとう。トミジイ。

俺も頑張れそうな気がしてくるよ。


俺は消えていく青白い光を追いかけながら、山の中に入っていった。


この山のふもと付近にはマウンテンバードという人間サイズの鳥類が生息しており、最大個体でもレベル7だったが、今の俺には甘い。


俺はこれを4、5体蹴散らして、さらに山奥に進んでいく。


そして今度は、ビッグモンキーの生息エリアに入った。


ビッグモンキーはレベル10〜13ほどの強さであり、俺が相手にできるギリギリのラインといえる。


つまり死の危険さえあるが、俺はまずここに籠ることに決めた。


自分の中で決死覚悟を芽生えさせなければならない。


ビッグモンキーの拳による殴打をくらえば、いくら俺でも意識が途切れ死に近づく。


俺はトミジイに会って、希望を得た今日中に覚悟を固めたかった。


そのために狂い酔いながらも戦う。

酔うと言っても酒に酔っているわけではない。


死の危険からの生還。

その快感に酔っているのだ。


この感覚を自身に教え込ませることで、俺は甘えを消そうと考えている。


もちろん辛い。

その日はなんとか生還し、洞窟を見つけ、怯えながらも静かに泣いて寝た。


決死の1日はレベル14だった俺をレベル15に押し上げてくれた。


2日目はさらに辛い。


朝起きると凄まじい憂鬱が襲いかかる。

もちろん逃げ出したいが、トミジイがどこかで見ている気がしてなんとか頑張れた。


2日目もビッグモンキーと戦い、レベルは上がらなかったが、次の日には上がるほど自分を追い込んだ。


3日目にはレベル16に上昇し、4日目にはさらに奥のエリアに進んだ。


ブラウンロックベアの棲家である。

それはレベル18〜22ほどの最高クラスの魔獣だが、滅多に出会うことはない。

出会ってしまえば問答無用で殺される。


目当てはビッグモンキーの強個体であり、強いものではレベル16になる。

これほどの個体だと勝てる可能性は低いが、恐怖を経験するにはうってつけだった。


山に入って6日目にレベル17に到達する。

我ながらこのスピードには驚いていて、過去にここまでできた者は居ないんじゃないかと思ってしまう。


そして、ここまでくると次第にスリルを求めるようになった。


もっと強い敵と戦いたい。

強い猿と戦い、苦戦しつつも勝って生還したいという欲求が強くなっている。


さらに、極限の精神状態が続いて、考えずとも禁酒ができていた。


戦闘狂の好循環だろう。


そして7日目、ついに出会ったんだ。

ブラウンロックベア、レベル20というまあまあな個体に。


俺達はまず獣道で睨み合った。


「こいつは負けられねえな」

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