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第七章「タモツの野望」2

炎の槍を携えた騎士は殺意剥き出しで加速していく。


(馬鹿な・・・これは幻か?)


トシミツがなぜこんな所にいて、何のために戦っているのかわからないが今は突進を避けるしかない。


タモツは巧みに自分の馬を操りそれをひらりとかわした。


タモツは馬の扱いが上達するフィート<馬術>を持っている。


この世界では、地道な訓練は意味を成さない。

重要なのはどれだけ強い敵と戦ってきたかと、アクションやフィートという技術だけだ。


だから、一時の頑張りで強くなれるこの世界は、タモツにとって都合が良かった。


(トシミツ如きに負けるはずはない・・・)

しかし、タモツは自分が戦う理由を探していた。


(トシミツお前は何のために戦っている?)


(俺は・・・)


(強いていうなら、騎士の誉れのためだ)


もう一度やり直したい。

その気持ちが朦朧とする意識の中で唯一輝き始めた。


タモツはすぐに馬を操り、トシミツの方に向けて馬を走らせ、ザ・トリニティの先端でトシミツの背中を貫いていく。


タモツの巧みな馬術は、トシミツに振り返る隙さえ与えなかった。


ザ・トリニティは斧槍の形状になっているため、斧の部分がつっかえて、完全には貫通しない。


だから、トシミツをそのまま馬から引きずり下ろした。


「トシ坊、また俺の勝ちのようだな」

タモツはそう言った。


しかし、すぐに蹄音が聞こえ、また別の騎士が突進して来ていることに気がついた。


トシミツである。


(何だこれは・・・)


そして、突進してくるトシミツの後ろには、さらに十騎ほどのトシミツが控えている。


すぐさま2番目のトシミツに的を絞り、馬上で槍を交えて、それを破った。


アクション:スティンガー


威力の高いベーシックな刺突技である。

ナイトのお家芸と言っても良い。


ちなみにタモツは既に世界でトップ5%に入る高レベル帯の生物であり、並の生物に負けることはない。


そして、戦士の上級職であるナイトに転職できる生物も、この世界には1%も存在しなかった。


泥酔者のデメリットである命中率の低さは、お互いの肉体ごと突撃する騎馬戦であれば、それほど影響を与えないというのが、将軍バーバリの助言である。


3番目のトシミツも同じように倒した。


(俺はトシミツの亡霊と戦っているのか?)


4番目、5番目と倒し、6番目を倒した時、タモツはあることに気がつく。


トシミツ達の後方、砦の門の前に謎の老人が座っていた。


(何だあの小汚いジジイは?)


しかし、老人のステータスを覗くためにはもう少し近づく必要があった。


おそらくその老人に近づく頃には、全てのトシミツを倒し終えているだろう。


タモツは馬に揺られ嘔吐しながら、7番目のトシミツを貫き地面に叩き伏せた。


老人もタモツが自分の方に向かって来ていることに気がつき立ち上がる。


そして、残り3人のトシミツが横一列で一斉にトシミツに襲いかかると、3つの酒球である魔法トリプアルを使い、3人のトシミツのロティサリースピアに酒球を浴びせて引火させ、怯んだ隙に横薙ぎで一掃してしまった。


それを老人が驚いて逃げようとしたが、馬で回り込んで行くてを阻んだ。


さらに逃げようとする老人の首筋にザ・トリニティを突きつけて制止し、老人が腰を抜かして後方に倒れ込む。


「思ったよりお強いんですね」


「おいジジイ、何者だ?」


「私はテラー。傭兵でございます」


「パンピーはこの砦にいるのか?」


「いえ、私はパンピーに雇われたわけではございませぬ」


「は?」


「私はギガント派の将軍バーバリに雇われたのです」


「じゃあ手違いじゃねえか。俺はバーバリの部下だ。気をつけろよジジイ」


「いえ、バーバリはアナタを殺すために私を雇ったのです」


タモツは眩暈がした。


あんなに目をかけてくれたバーバリが俺を襲わせるなどあり得ないとタモツは思った。


しかし、昼間から働きもせず酒を飲み、周囲を堕落させる存在であるタモツはむしろ邪魔である。


都市の外で始末するのは賢いやり方と言えるだろう。


「テラーじいさん今の幻術どうやってやった?」

術は解けている

タモツの後方には、いずれもトシミツの顔ではない10人の帝国兵士の死体があった。


「私は幻惑師という職業を極めております。これはその術の一つです」


「そうか。テラーじいさん、一緒に来てくれよ。兵舎で余興をやってもらいたいんだ」


テラーは驚いた。

命を狙って来た傭兵を宴会芸人として雇おうという姿勢と、この期に及んで兵舎に帰ろうという胆力に。


「アナタは帝国に戻られるおつもりか!?」


「悪いか?」


テラーは思わず笑みを浮かべた。

先のことを考え尽くし、策を企てて生に執着してきた自分と、今の欲求を満たすためにアドリブで行動するタモツ。対照的な馬鹿馬鹿しさに。


(コイツは大物だな。残りの余生、この男を観察するのも悪くない)

テラーはタモツの誘いに了承した。


帰り際に置き去りにした部下達を拾い上げ、彼らにテラーのことを楽しげに紹介して、タモツ達は愉快に帝国に帰っていく。


テラー 幻惑師レベル16がタモツの仲間に加わった。

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