第七章「タモツの野望」1
タモツの装備と能力
泥酔者レベル12、戦士レベル10、狩人レベル2、ナイトレベル5
<装備>
・ザ・トリニティ
レア度:ユニーク
攻撃力:大
<アクション>
・魔法アル
酒気カウンターを1つ消費することで威力と度数が上がる。
・魔法アルズ
2つのアルを放つ。
・魔法トリプアル
3つのアルを放つ。
・魔法ホワイトアル
白く濁ったアルを放つ。
・ヘビィアタック
威力のある攻撃。
・ヒットアタック
命中率の高い攻撃。
・スティンガー
威力のある馬上攻撃。
<フィート>
・泥酔王
泥酔状態になり全ての能力値が低下する。
・酒気メーカー
飲酒を行うたびに、トシミツの上に酒気カウンターを1つのせる。
・千鳥足ステップ
回避率+50% 命中率−20%
・馬術
馬に上手く乗れる。
帝都、そして皇帝の息子に<パンピー>と<ギガント>という2人の兄弟がいた。
次男のギガントは体躯に恵まれ、文武両道に秀でており、傍目に見れば完璧な次期皇帝候補な男であった。
一方、長男のパンピーは痩せ細り小心者で、文武共に人並みかそれ以下の男だったが、花や動物を愛でるのが好きで、下の者にも謙虚で優しく城の中ではそこそこ人気のある男だった。
実は既に皇帝は死んでいる。
この情報はまだ公にはなっていないのだが、敵対する魔人や邪悪な死者などの問題もあるため、早急に次期皇帝を決めなければならない。
ギガントは口癖のように言っていた。
「兄上では人を導けまい・・・」
さらには
「兄上を殺さなければ・・・」
とまで言っていたらしい。
決まりでは長男が皇帝の座を継ぐことになっているが、ギガントを支持する者の方が今は多いのだ。
ある日、パンピー派の貴族がパンピーと信頼できる者を引き連れ、帝都を脱した。
混迷の森の一件から約半年。
タモツはギガント派の将軍<バーバリ>の元で、6人の騎兵で構成される班を任されるまでになっていた。
現在のタモツは泥酔者レベル11、戦士レベル10、狩人レベル2、ナイトレベル5にまで成長している。
しかし、多額の上納金を納め、初めは真面目だと評価されていたタモツも、段々と元の性格が露呈していき、今では兵舎で部下達と飲んだくれるだけの存在に成り下がっている。
「奴は不思議な妖術を使う・・・」
バーバリや周りの者達から恐れられていた。
と言うのもタモツに与えられた部下達のほとんどが元々<戦士>という職業だったが、いつの間にか<酔っ払い>という謎の職業に転職させられてしまっており、それが他の兵舎の者にまで疫病のように伝染していってしまっているのだ。
本来であれば罰せられてもおかしくはないが、タモツは既に多くの兵達の好感を得てしまっている。
ギガント派に存在するタモツ派の反感を買うことだけは避けなければならない。
つまりバーバリからすれば、タモツという存在を利用して、その影響力を上手く使っていくしかないのだ。
パンピー派の居所はまだ見つかっていない。
バーバリはタモツの管理する小さな兵舎に訪れていた。
「タモツは居るか?」
扉を開けるなりバーバリは言い放った。
「なんすか?」
タモツは部下達と寝っ転がりながらトランプをしており、将軍であるバーバリの方を見もせず聞いた。
辺りには酒樽が散乱している。
(ここまで腐っていたか・・・)
「パンピー派がまだ見つかっていない。お前たちには東の砦を捜索してもらう」
「いいっすよ」
あっさりとした返事だった。
実はタモツは焦っている。
バブルガムの街が壊滅し、土地勘のないトシミツは荒野できっとのたれ死んでいるだろう。
唯一無二の泥酔者となって、1億円を元手に世界を支配できる力を手にする計画を立てていたが、堕落しきった身体が思うように動かない。
他者をからかうのは上手かったため、新しい関係を構築することはできたが、このままならトシミツと一緒にいた方が良かったのではないかと考えることもある。
タモツは自分を動かそうとする上司の指示を待っていたのだ。
「ああ、気だるい・・・俺行ってくるわ」
部下にそう言うとタモツは準備を始め、部下もそれを見て準備を始めた。
正直、部下が付いてこようが来まいが、タモツにはどうでも良かった。
部下に指示するのも訓練するのも面倒くさい。
俺は俺が強くなれればそれで良いと、タモツは思っていた。
しかし、さすがの5人の部下も指示が無くともタモツに付いて来ている。
ある者がよろめいて落馬したが、タモツは部下が落馬しても待ったりはしない。
時のは自分も落馬するが、傷だらけになりながらも馬に乗り、まるで夢遊病のように目的地に向かっていっく。
「吐きそうだ・・・」
今は堕落しきっているが、半年前はこんなではなかった。
トシミツとの戦闘後に強くなることを決意し、大金を支払って将軍バーバリに取り入った。
その後、数ヶ月は真面目に訓練したが、だんだんその意識も削がれ酒浸りになっていく。
今思えば元の世界でもそうだった。
学生の頃は秀才と呼ばれ、生徒会長などさまざまなことを率先してやった。
国で5本の指に入る有名な大学に入学し、良い企業に就職したが、プロジェクトに失敗し、酒に逃げ、やがて退職した。
それからは、酒に依存し、その場しのぎで生きる毎日を送る。
元の世界では体調も崩しがちで、今も元の世界で暮らしているもう1人の自分は、酒の飲めない身体になっているかもしれないと思うほどだ。
だから、この世界に来れたのはタモツにとってチャンスだった。
もう一度、人に慕われる男に戻りたい。
虚ろな意識の中でそんな気持ちだけが、今のタモツの推進力だった。
やがて目的地の東の砦に辿り着いたが、ついてこれた者は部下1人しかいない。
この巨大な砦は今は使われておらず、魔物の巣になっているらしい。
よく見ると砦の前に1人の騎士が馬に乗って待ち構えていた。
「う・・・トシミツ・・・?」
その騎士はタモツに気が付くと、持っていた赤い槍を構えてこちらに向かって来た。




