表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
シラフが耐えられない・・・(異世界転生)  作者: シンノスケ一二三
第六章「ジュウホウとブライ」
15/17

第六章「ジュウホウとブライ」2

どうやら、この2人は幼き頃に生き別れた兄弟らしいのだ。


良い話だなあ・・・


ジュウホウは部下に指示して、痩せ細ったブライに握飯を2つ渡す。


こうして、ブライ(力士レベル28)が俺達の仲間に加わった。


みんなで輪になって座り、酒を飲んで少し休憩した俺達だったが、やがて次の目的地に向かう雰囲気になる。


そういえばジュウホウの話では、村の危機がもう1つあるという話だったが・・・


「ここからさらに北に向かうと<神仙の山>という場所に着きます。そこに我々の最大の敵が現れるのです」


ブライを含めた俺達5人は、マカダミアの村から北東に位置する神仙の山へと歩き出した。


「お前達は帰っても良いのだぞ?」

ジュウホウは部下2人に問う。


「うッ!うあ・・・えっと・・・」


そういえば、さっきから部下達がソワソワと様子がおかしい様な・・・


「お前達まで犠牲になることはない」


「す、すいません!」

ジュウホウにそう言われて、部下2人は早々に帰っていった。


もしかして、これからとんでもないことが行われるのではないか?


「えっと、ジュウホウさん。神仙の山でこれから何が・・・」


するとジュウホウは童話を読み聞かせる口調で話し出した。

「昔々、この辺りに仙人が住んでいました。その仙人はマカダミアの村まで時々やって来て、村人に威張っていました。ある日、山から村に向かって大きな影がやって来ました。外に居てその影に触れてしまった村人は次々に倒れて死んでいきました。4日後また影がやって来て、また多くの村人が死にました。そしてまた4日後にまた影がやって来ました。その時、村の前に仙人が現れて右手から神々しい光を放ち、影を照らしました。さらに4日後に影が来た時には、仙人は稲妻のような光で影の元を包み込み、山に封じ込めるのに成功しました。それ以来、仙人は村人に慕われ、その山は神仙の山と呼ばれる様になりました」


そしてジュウホウは普通の口調に戻してまた話し出した。

「村の村長は代々その山を管理しています。そして近年、仙人の封印術を押し除けて、影の正体が再びこの世界に干渉して来ています。その正体は大きな鳥<黒陰鳥>です。私は半年間隔で山の上空から顔を出す黒陰鳥を別世界に追い返しています。今からその黒陰鳥を追い返しに行きます」


「それって、僕が行く必要あります・・・?」

俺は思わず聞いた。


「正直必要ないです。しかし、今回は根本的な対処ではありません。黒陰鳥を完全に無力化するために、トシミツさんにも現場を見て欲しいのです」


影に触れただけで死ぬなんて聞いてない。


もう、めまいがする。


魔王だけでなく、そんなバケモノも人類の脅威として存在しているなんて。


そして、さらに山道を歩いていると、暗雲が空を覆い辺りが薄暗くなってゆく。


「来ます!」


雲が帯電し、青紫色の電流が走る。

初めに漆黒のクチバシが顔を出し、この世界に身体を捩じ込もうとしているのが分かった。


雲の中から出している顔の大きさで分かる。

こいつはジャンボジェットの10倍はデカい!


ジュウホウが両手を空に向けて力を込めている。


「見てください!奴のステータスを!」

ジュウホウは俺にステータスを見せるため、必死に黒陰鳥を抑え込んでいるのだ。


黒陰鳥 レベル37

フィート<ヘルシャドウ>

影に触れた者の命を奪う。


俺は叫んだ。

「見た!もう見た!早く送り返してくれ!」


「ぬおおおおおおッ!」

ジュウホウが雄叫びを上げているが、全く戻っていく気配はない。


それどころか出てきている気もする。


「おい、どうしたんだ・・・?」


「いや、馬鹿な・・・こんなにも、封印が緩んできているとは・・・」

ジュウホウは泣きそうになりながら、両手を震わせている。


すでに翼の部分が半分見えている。


「え、早く逃げよう」


「コイツを外に出したら、間違いなく世界は終わります・・・」

ジュウホウはもう泣いていた。


もうダメかと思う中、ブライが黒陰鳥に向かって走り出した。


まずい、このままではブライが黒陰鳥の影に触れてしまう。


「危ない!」

俺が叫んだ瞬間、ガッツリと影と組み合ったブライは必死にそれを押し返そうとしている。


フィート<剛力の極地>

極めし者の剛力は全ての概念に干渉できる。


「まさかブライ。お前も戦っていたんだな・・・」

そう呟いたジュウホウの目には再び希望の光が灯っていた。


しかし、2人のチカラを合わせても、押したかと思えばまた戻り、しばらく押し引きが繰り返される。


まさか、まだダメなのか・・・


そう考え、再びめまいに襲われる俺の頭の中に、何者かの声がこだまする。


「酒の球を作れ・・・」


えっ!?


「酒の球を作れ・・・!」


俺はロティサリースピアを黒陰鳥に向かって構え、魔法アルを発射した。


酒の球が黒陰鳥の頭を外し、虚しく空を切る。


「酒を飲み、酒の球を作れ!」


俺は槍を地面に置き、左手にジョッキを携え、右手でアルを連射した。


やがて、その中の1つが見事に黒陰鳥の頭に被弾して、それと同時にジュウホウとブライのチカラが黒陰鳥に完全に上回り、押さえ込むチカラが加速する。


「ふおおおおおおおッ!」

雄叫ぶジュウホウ。


黒陰鳥のクチバシまで完全に雲に隠れると、暗雲が逃げるように霧散し、元の青々とした空に戻っていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ