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第四章「混迷の森」2

誰もがこの異様な森に恐怖し戸惑う中、1人の男が我先にと森に足を踏み入れた。


タモツである。


「俺が先陣を切る。皆の者、ついて参れ」

タモツは右手にビニール袋、左手にはザ・トリニティを掲げていた。


「待て、タモツ。闇雲に動くのは危険だ」

ジャックが咎める。


「怖いのかね?早く資源を見つけ出さなければ、魔人達が来てしまうぞ?」

タモツはジャックを挑発した。


タモツの勇敢な姿勢は、レベルの高いジャックを差し置いて、イニシアチブ(主導権)を握るためだろうか?


「じゃあこうしよう。この森がどのくらいの規模か外からでは想像がつかない。二手に分かれて探すのはどうだろう?」

ジャックの提案は一理ある。


この入り組んだ森を10人がまとまって動くのは、あまりにも効率が悪い。


「良いだろう。ではみんな、俺とジャックのどちらについてくるか選んでくれ」


タモツがそう言うと全員考えだし、やがて2つのチームが出来上がった。


タモツチームはタモツ、トシミツ、タジカ、キリング。


ジャックチームはジャック、ジャン、クライヴ、リンリー、ノエル、シジミ。


なお、蟹と貝に関しては、どちらについていきたいという意志はおそらく無いので強そうな方を貰った。


つまり、タモツを希望したのは、実質タジカだけだった。


まあ、分かってはいたがね・・・


「本当に良いのかな・・・?」

ジャックは俺達に聞いたが、タモツとしてはもう引き下がることはできない。


「だが心配ない。俺たちはチームだ。離れていても仲間がどんな状態か分かるようになっている」

ジャックがそう言うと、ジャック達は先に森に入って行った。


「何で俺達について来てくれたんだ?」

俺はタジカに聞いた。


「君達は特殊な職業に就いているね。僕はそれを見て見たいだけさ」


「ふふ、あんまり期待しない方が良いぞ」

俺は少しはにかんだ。


森の中は木々が密集しているが、魔物が通るであろう道が用意されており、分岐が複数存在する。


これは探索に時間がかかりそうだ。


森に足を踏み入れて少し経つと、タジカとキリングが急に別々の方向に歩き出した。


「おいおい、タジカ!あと蟹!ちゃんと俺についてこいよ!」

タモツが言うと、タジカとキリングはハッとして、俺とタモツのもとに駆け寄ってきた。


「なるほど、これが混迷の森か・・・」

タジカが呟いた。


また少し歩くと、また同じようにタジカとキリングは変な方向に歩いて行ってしまう。


俺達がタジカを呼び戻すと

「どうやら僕とキリングは混迷状態になっているらしい」

と言った。


混迷状態とは、歩くべき道がわからなくなってしまう状態異常らしい。


確かにタジカとキリングのステータスを開くと、混迷状態となっている。


「でも、俺とタモツは大丈夫そうだぞ?」


「状態というものは、1度に1つしかなることができないんだよ。ほら、君達はすでに泥酔状態になっているだろう?」


なるほど、状態の枠に泥酔がはまっているから、混迷のはまる余地がないということか。


「じゃあ、一旦森を出て飲み直そうぜ。タジカも泥酔状態になってからの方が探索しやすいからな」

タモツはニヤリとして言った。


よくよく考えると、迷子と酔っ払いとでは大差ない気もするが・・・


まあ、少し疲れたし、戻って休憩しよう。


帰り道にはマジックビートルL3(L=レベル)という、デカい緑色のカナブンに遭遇したので、強力な武器攻撃をお見舞いしてやった。


そして、俺達は森の外で輪になって座り込み、酒を飲む。


ちなみに蟹に酒を与えるのは、ヤバそうなのでキリングはシラフの状態でいてもらうことにした。


そういえば、酒を飲んでいて思い出したのだが、ジャック達は大丈夫だろうか?

きっと混迷状態で全員バラバラになっているに違いない。


すると、突然俺達の目の前にメッセージが表示される。


ノエルが死んだ。


え・・・!?


「おい、どういうことだ?こりゃあ・・・?」


「混迷状態でみんな方向感覚を失っているんだ。これでは森を抜け出すこともできない」


「タジカ、早く酒を飲め。アイツらを探しに行くぞ」

タモツはヨロヨロと立ち上がった。


リンリーが死んだ。


まずいな。ペースが早すぎる。


見たところ魔物のレベルはそんなに大したことなかった。

そんなにすぐに彼等がやられるとは考えにくい。


考えられるのは、森の奥地にレベルの高い魔物が潜んでいるのか、自然のトラップが存在しているか。


いや、考えたくはないが、まさか魔人がすでに中に入っているのか・・・?


タジカが酒瓶を一気飲みすると、俺達は再び森に入った。


マジックビートルを蹴散らしながら進んで行くと、リンリーの凄惨な死体があった。


「酷いな・・・」


身体は縦に両断されている。

断面の綺麗さから鋭利な刃物で切断されたのだと、容易に想像ができる。


そして、近くにはトラップのような仕掛けはない。


俺とタモツがこの様な死体を見るのは、もちろん初めてだったが、ちょっとした修羅場を経験している自負により耐えることができた。


俺達は彼女に祈った後、再び探索に戻ったが、しばらくしてタジカが1つの法則に気がついた。


「どうやらこの森は奥に進むたび、光源が多くなっているようだね」


「それなら、光源の多い方に進めば、資源が見つかるかもしれないな」

俺達は光源が多い方向に足を進めた。


そして、ジャックが死んだ。

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