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シラフが耐えられない・・・(異世界転生)  作者: シンノスケ一二三
第一章「飲み友の異世界ルーティン」
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第一章「飲み友の異世界ルーティン」1

俺の名は<トシミツ>。


どうやら、今天界に居るらしいんだが。

どうしてここに居るのか思い出せない・・・


地面は白一色でまるで雲の上にいるみたいだ。

さらに空は青一色、雲一つない見事な快晴だよ。


目の前には白人の子供のような三人がヒソヒソと話し合っている。


三人は純白の布を切り抜いて被っただけの様な物を、なぜか服として着用しており、同じく純白な翼が生え、頭には黄色い輪っかが浮かんでいた。


俗にゆう天使というやつだろう。


う・・・

今になって記憶が思い出せるかもしれない。


ああ・・・

そういえばさっきまで、酒を飲んでいたんだ。


午前五時。

飲み仲間の<タモツ>と共に飲み歩いていたのだが、彼も明日は忙しいようであの場はお開きなったんだったな。


帰路を別つ俺とタモツ。


俺はフラフラと歩道からはみ出、車道に入ってしまい大型トラックに轢かれて()()()しまったんだった。


ふふ・・・

思い出して語りかけるほどの記憶でもなかったな。


メタ的な話になるが、上記の話は俺トシミツが、そこら辺に居た天使に語りかけていた事だ。


これからも俺は語り続けるが、そこら辺の奴に話していると思っておいてくれ。しょうがないだろう?酔っ払っているんだ。


俺はそう語り終えると、自分の頭上にも浮いている黄色い輪っかを手に取り、齧ってみた。


なるほど、クリーミーで酸味と塩味が少しあり、非常に酒に合いそうな代物じゃないか。


天使の一人が俺に話しかけてくる。


日本語ではないから、何を言っているか分からなかったが心で伝わったよ。


要は俺は死んだが、彼らにとって予想外の出来事だったらしい。


死後の世界は天国と地獄。

この場所は言わば、人間界と死後の世界の検問所のような所で、天国に送るか地獄に送るか決定する部分なのだが、死後の世界の定員の数は数年前から予め計画されており、人数を間違えると人間界の未来に悪い影響を及ぼすほど、どえらい騒ぎになる。


詳しいことは分からんが、おそらくコイツらは俺という存在のカウントをせずに、死後の世界に送る人数を間違えていたから、このままいくと上の連中からこっぴどく叱られるんだろうな。


だから俺という魂を無かったことにして、比較的定員の規則制限が緩い、異世界に捻じ込もうというわけだ。


全く自分勝手な奴らだよ。


天使たちに手を引かれるままに辿りついたのは、美しい女神の所だった。


神々しい光に包まれた、海外映画界のスター女優といったところかな。


「よく来ましたねトシミツ。私は異世界の女神です。アナタはこれから今まで暮らしていた世界と全く異なる世界で、魔王を倒さなければなりません」

女神はエコーがかった美しい声で語りかけてくる。


「ああ・・・」

俺は込み上げてくるものを押しころし呟いた。


「どうしたのです?トシミツ」

女神が心配そうに聞いてくる。


吐きそうだ。


「異世界に送られてしまうアナタへの、せめてもの償いとして、異世界へ()()()()()()()()()()()()()()()()()が許可されています」


「そうか、納得した」

俺は高揚した。


異世界に行くといっても、シラフよりは耐え難い話でもないだろう。


「伝説の兵器でも、鎧でも、強力な魔法、魔界の生物を使役したりもできます。つまり、何でもというのは物だけではなく、技術や素性までも含まれています。参考までにカタログもお見せできます。どんなことでも可能だとしたら、アナタは何を望みますか?」


女神の重要そうな問いに、俺は天を指さして答えたんだ。

「飲み友だちの一人いれば、それで良い」


俺は輝き出した。


どうやら欲しいものを答えたら、自動的に異世界に飛ばされるシステムらしい。


「ああ、なんてことを・・・消えないでトシミツ・・・」

俺の愚かな答えを嘆く女神だったが、消えていく俺を止めることはもうできなかった。


俺の視界が眩い光で覆われていく・・・


気がつくと俺は何もない荒野に立っていた。


そして、隣には二つの酒瓶を持ったタモツが立っていた。


「一旦、飲もうや」

タモツはそう言って、俺に酒瓶を渡してきた。


話を聞くとコイツは元の世界のタモツのコピーらしい。


本物のタモツ自身が元の世界からやって来たわけではないが、完全に同じものが女神のチカラによって創造されたらしく、中身は何も変わらないそのままのタモツであり、どこにでもいるシンプルなおっさんだった。


つまり、俺がこの異世界に()()()()()()()はコイツというわけだ。


しかし、本物のタモツは元の世界で、この状況を何も知らず生活していることに少し寂しくも感じたが、それでいい。


タモツもいきなりこんな所に連れてこられたら迷惑だろうしな。


そして、タモツの持っていた二本の酒が入った瓶は、不憫に思った女神がオマケしてくれたらしい。


ふふ・・・まったく、粋な計らいだよ。


さらに聞くとこの世界の人間には、共通する一つの能力が存在した。


それはステータスを開く能力だ。


つまり、自分や相手がどんな職業でどんなチカラを持っているか一目で分かる能力。


実に面白い。


どれどれ、この能力で俺とタモツのステータスを覗いてみよう。


どちらもレベルが1で職業は泥酔者。


なるほど、悪くないだろう。


そして、腕力とか魔力とか数値が色々あるが、比較対象がないため、高いのか低いのかよく分からない。


俺とタモツの数値はほとんど変わらなかった。


そして、<フィート>という欄があったが、タモツに聞くと常に発動している特殊能力らしい。


俺とタモツのフィートはただ一つで、共通するものだった。


それは<泥酔王>


効果は「戦闘開始時に泥酔状態になり全ての能力値が低下する。強力なアルコール耐性を持つ」というものだった。


俺はタモツと共に空を見上げた。


こんな世界にいきなり連れてこられたが、酒を飲み続けられるのなら悪くはないかもな。


俺たちは空に向かって呟いた。

「ハッピーニューイヤー」

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