第二十三話 少女
【Lvが上がりました】
久しぶりに聞いたこの無機質な声。久々のレベルアップ。
そういえば長いこと上がっていなかったんだな。まだ問題は解決していないが、別に急ぐ理由もないので確認する。
いつも通りのウィンドウ画面に目をやると
【Lvが上がりました】
↓
【Lv10→Lv50】
れ…レベル50!!!?上がりすぎだろ!10から50って…
えーと、前回が確か2から10だったか。2から10も相当だが10から50はもはや規格外すぎて言葉が出ない。
…だがまぁ、不自然ではあったのだ。ゴーレム、ゴブリン、キングホーンラビット、そしてまたゴーレムと。何匹も魔物を倒しているのにレベルアップがなかったこと。今このタイミングでレベルアップしたのはこの場所の影響かもしれない。蓄積された経験値が水晶を壊したことで一気に入ってきた…とか?考えてもわかりはしないが。
【HP・MPが回復しました】
【ステータス値が上昇しました】
レベルアップの恩恵、完全回復と各種ステータスの上昇。
傷は自分で治していたのであまり実感はわかないが、疲労や疲れがなくなっていく。この瞬間だけは助かる。
いつも通りステータスの確認もしておく。
【名前】 佐藤裕二
【Lv】 50
【年齢】 28
【HP】 5000
【MP】 4000
【攻撃】 570
【防御】 380
【知力】 400
【素早さ】 400
【固有スキル】 鑑定 アイテムボックス
【ユニークスキル】 『復讐』〈リベンジャー〉Lv5 『止まない者』
【魔法】 『火魔法』Lv3 『水魔法』Lv2 『闇魔法』Lv2 『回復魔法』
ステータス値が凄まじいことになっている…
前回より更にHPとMPの伸びがすごい。四桁超えだ。
攻撃・知力・素早さ・防御力も三桁を超えている。
以前も考えていたステータス値が装備品に依存するかも、という考えは間違っていたかもな。Lv50ならこのくらい上がっていてもおかしくはないしむしろ当たり前だが。
とりあえず新たな項目を順に確認していこう。まずは…
ユニークスキル。
『復讐』のレベルが2から5へと一気に上昇している。
画面をタッチして拡大し、説明文の表示を確認する。
ユニークスキル
『復讐』<リベンジャー>
効果
・自身の被ダメージが倍になる。ダメージを受けた場合 次 の自分の攻撃 行動 効果を倍にする。
・発動時にMPを10消費した場合、効果を更に倍にする。
MP消費のみでの発動が可能になる。
・HPが1になる代わりに1秒間だけ全ての物理攻撃を無効化できる。
・残りHP分の回避&防御不能の固定ダメージを与える。使用した場合死亡する。
…………。
色々気になる点はあるが、まずはこれだな。
『残りHP分の回避&防御不能の固定ダメージを与える。使用した場合死亡する』
要するに自爆技だ。回避&防御不能、という点だけ見れば優秀な効果に見えるが、『使用したら死亡する』なんて記述を見たら使おうとは思わない。というか使えない。死んでどうする、俺は生きて帰りたいんだ。
死は救済じゃない。俺のスキルが何故こんな効果を生んだのかは分からないが、俺にとっての命の価値観とはそんな安いものじゃないのだ。死ねば救われる、楽になれる。そんなふうに思うことは無い。
死ぬことは怖い。それは人間誰しもそうだろう。その上で俺もこの世界に来てから必死に足掻き努力してきた。昔の自分からは考えられない程に。今の俺は、決して死にたいとは思っていない。命は一つしかない。死んだら何もかも終わりだから。
だからこそ。自分自信の力にこんなものがあるのが今は許せなかった。
……嘆いても怒っても仕方のないことだが。
新たな力として顕現してしまったものは仕方ない。要はこんな力使わなければいいだけの話だ。一人で熱くなりすぎてしまった。
次に『物理攻撃の無効化』だ。HPが1になる代わりに全ての物理攻撃を無効化とある。代償がかなり大きいが使える効果ではある。考えたくはないが、追い詰められどうしようもなくなった場合や、逃亡を考えられる際に使用するべき力だ。現状一人で戦っている為HPを1にするということは自殺行為だが、最後の切り札として頭の片隅に入れておく…程度に考えておく力になるな。
『復讐』の効果は把握した。次だ
次は…新たに習得しているユニークスキル『止まない者』
これも確認しようとしたのだが……なんだ?スキルの確認ができない…?どういうことだ、こんなこと初めてだぞ。
スキルを発動してみるが何も起こらない。説明にも何も表示されない…
新たなユニークスキルだったので期待していたんだが確認すらできないんじゃ使い物にならないぞ。少し苛立ったが落ちついて考えたら、発動条件があるとかそういう類のスキルかもしれない。今のところ『復讐』と魔法でやれているのでひとまず効果が現れるまでおいておくことにする。
最後に魔法だが…
以前と違い表記が【スキル】から【魔法】に変化していた。最後のレベルアップ時には『火魔法』しか覚えていなかったのだが、その後『水魔法』『闇魔法』『回復魔法』と立て続けに習得した為におそらくは魔法として統一されたのだろうか。
そして『復讐』のように各魔法のレベルが上昇している。魔法もレベルアップがあるのか。確認してみるがこちらはユニークスキルと違い特別な表記や能力はない。熟練度ってやつかもしれない。これは後で確認しておくか。
これでひとまず確認は終わった。
……一旦休憩しよう。幸いにも時間は腐るほどあるんだ、
しかし参ったな。水晶からの手ががりの石は身体に吸い込まれるように消えたし、今のところ特に異常もないが……
だが未鑑定物を身体に取り込んだことによって何か変化があるかもしれない不安は残る。体調の変化は見逃さないようにしないといけないが…
考えても仕方ないので少し休むことにする。とりあえず軽く仮眠でも……
ん?なんだあれは? 俺が仮眠を取ろうとした時、目の前に光を放つ小さな物体が浮いていた。
なんだあれは、魔物か?いや違うな、敵意を感じない。それにこの感覚は……
その小さな物体はふわふわと俺の周りを飛び回る。
そして俺の目の前まで来ると、突然強い光を放ち始めた。俺は思わず手で目を覆う。
光が収まり、目を開くとそこには……
一人の少女が浮かんでいた。




