表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/30

第二十二話 討伐報酬

ーーーーーーーー………。

誰かに頭を撫でられているような感じがする…

懐かしい感覚ーー 母さんじゃない、誰なんだ。

だがとても落ち着く…優しい手だ。

何時だったか思い出せないが、俺はこの手を知っている。

微睡みの中 俺の微かな意識は再び堕ちて言った。







『これ以上頑張らないで』

そう聞こえた気がした。

















床が冷たい、身体が怠い、倦怠感が拭えない。

ふらつく身体に喝を入れ、フラフラになりながら上体を起こす。気を失っていたのか、魔力切れの限度を越すと意識が途切れるんだな。当然といえば当然の現象だが。


辺りを見回すが、特にあれから変わった様子もないようだ。ゴブリンや岩男が使用していた武器が散乱しているのみで、魔物の気配は無い。大方の予想通りあの岩男で最後だったらしい。


「疲れた…」

安心と同時に身体中に耐え難い激痛が走る。原因は…これか… 『苦痛のペンダント』を装備したままだったな。岩男を倒した後すぐに意識を失ってしまっていたので外していなかった。急いで外し収納する。思わぬ形でペンダントの効果が立証された。装備したままでも死には至らない、覚えておこう。


魔力は全快しているようだったので自身に回復魔法を使い激戦の治療を施す。あれからどのくらい意識を失っていたのだろうか。

エレボスの町で呑み込まれ、ピラミッドのような場所に落ち、半日の探索の後この場所で死闘を繰り広げた。スマホを取り出し時間を確認すると、深夜を過ぎていた。つまり約1日経っている、逆に言えばこれだけ色々やってきたのに1日しか経ってないのか。

とりあえず怪我は完治したが、魔力を枯渇寸前まで消費したからな、まだあまり無理をしないようにしておく。


さて…これからどうするべきか。薄々考えていたがこの場所は所謂迷宮…ダンジョンの様な空間ではないだろうか。そう考えればこれまでにあった仕掛けや罠についても納得はいく。

そうであれば、この空間の何処かに出入り口がある可能性が高い。

それを探すか……仮にここが本当に迷宮であるならばゲームでよくあるボスのような存在を倒さなければ出られない可能性も考えられる。先程までの戦闘がそうだとも考えられるが、あれが鍵だったなら終わった時点で出口が現れないのは不自然だ。それにあれ以降魔物の気配は全くない。出入り口の探索を優先するべきか。

いや、そもそもここが迷宮であると決めつけるのは早計かもしれないな。

仮にこの空間が迷宮であると仮定して、そうであったとしてもここはまだ入り口に過ぎない可能性もある。

とりあえず、この空間をもう少し探索してみよう。何か見落としがあるかもしれない。


そういえば… 俺はふとあることを思い出した。

水晶だ。直前の岩男戦が激しすぎたせいもあるが頭からすっかり抜け落ちていた。あの水晶は魔物を倒す度に変化を見せていた。ここから抜け出す鍵になるかもしれない。


辺りを見回し水晶を探す。あった、これだ。変わらぬ位置に鎮座したままだ。俺は水晶に近付き手がかりを探す。

そこには濁りが完全に払われた水晶が仄かな光を纏っていた。おそらくはこの水晶を使って何かすればいいのだ。

なぜこの水晶は魔物を倒す度に靄を吸収し、内部の濁りが払われていったのか。今の俺には知る由もないが何かしらの意味はあったはずだ。まずは…水晶に触れてみる。


しかし何も起こらない。ただ水晶に触れただけだ。だが変化があった。俺が手を触れてから、輝きが明らかに増している。どういう原理だ?そのまま触れ続けているとなおも輝きは増していく。


魔物を吸収していたことから、何かしらをエネルギーのようなものにしていることは確かだ。俺の生命力…とかならマズイ事態になるが、それはどうやら無さそうだ。生命力であるならば魔物の死骸を吸収していたのはおかしな話になってしまうからな。

他に考えられるとすれば、そう、魔力だ。

俺から奪えるもの…提供できるもので思いつく力は他にはないし、倒された魔物の死骸からなら魔力を吸収するということも可能かもしれないからな。


試しに魔力を注いでみるか。さっき触れた時に輝きを増したことから、触れている間に魔力を吸われていたのかもしれない。なら俺の意思で更に魔力を送ってみる。

いつものように、魔法に魔力を込める感じで水晶に魔力を送る。すると、水晶が更に輝きを増し、辺り一面が光に包まれた。


「うわっ!!」


光が収まり、視界が元に戻ると水晶の輝きは消えてしまっていた。輝き…というか水晶が割れてしまっていたのだ。

おいおい嘘だろ。これが鍵じゃないのか?

魔力を送りすぎたのか?いやでも加減とか分からないし…

ショックを受けつつも割れた水晶に手を伸ばし、どうにかならないかと模索しようとした時。


「ん?」

割れた水晶の破片の中から何かを見つけた。破片を掻き分け手に取る。水晶の欠片の中に、手の平サイズの紅い石が埋まっていた。

なんだこれは、宝石かなにかだろうか。水晶の中から出てきた物だから何かしら意味がある物だとは思うが…

拾い上げて手に取る。魔物を倒した褒美とかなら価値のある石とかならいいがな。とりあえず鑑定で調べて…

すると石は俺の手の中に吸い込まれるように消えてしまった。

マジか、身体に吸い込まれたぞ。どうなってる。

宝石か何かだと思ってうかつに触れたのがマズかったか、触る前に鑑定で調べるべきだった。


だが、特に身体に異常はない。罠の類では無さそうだが…

まぁいい、変化があるならいずれわかる。短絡的だが、俺は過ぎたことは気にしない性分だ。

しかし参ったな。唯一の手がかりがなくなってしまった。

出口は未だ見当たらないしどうやって脱出したものか。


その時、久々にあの無機質な声が脳内に響いた。



【Lvが上がりました】

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ