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第十一話 スクロール

ホーンラビット討伐をなんとか成し遂げた俺はエレボスの町へと向かっていた。

帰還中にゴブリンに出くわしたが脅威にはならなかった。

右肩を多少負傷したが、反撃の『復讐』とナイフで始末し、傷はポーションで癒した。

何度やっても痛みには慣れないがゴブリン程度ならもう大した問題にはならなくなっていた。慣れとは恐ろしいな。


また1時間程歩き町へと戻ってきた。

危険とは程遠い場所に居るとなんか安心するな。

だが、角を規定数持ち帰れなかったので討伐依頼はおそらく失敗になるだろう。仕方ないが、俺はギルドへ報告に向かうことにする。


ギルド内に入るとそこそこ賑わっていた。

人混みはあまり好きじゃないんだがな。冒険者ってのは各自で働く自由業みたいなもんだしみんなこのくらいの時間から活動を始めるのだろう。


そうだ。あの二人はいないか?

一応ミーアとガイルを探してみる。が、やはり居ないようだ。

助けてもらった恩があるので約束を反故にされたことを今更怒ったりはしないが、もっと二人と色々話したかったな。冒険者についての知識とかも聞きたかったし。


会えないものはしょうがないので依頼の報告をしに受付に向かう。

受付担当の人に討伐の内容を話す。勿論怪我のことやユニークスキル等の情報は伏せておく。

そして討伐証明の角を提出する。一匹分だけでも報酬が貰えたら嬉しいんだが…

しかし担当の職員は角を確認するやいなや、なにやら青ざめだした。なんだ?やっぱり証一つはまずかったか?

手に取り取り出した書類とにらめっこを始めた。

実はこれホーンラビットじゃなかったとか、そんなオチは勘弁してくれよ。



ーーーーーーー。

しばらくしてギルドを出た俺は魔道具店に向かっている。

結論として、先程討伐証明として提出したホーンラビットの角は問題なく受理された。

ただしホーンラビットではなくキングホーンラビットの角として。

角の解析や俺の話を総合した結果、上位種であるキングホーンラビットという魔物の角であったらしい。

キングホーンラビットは主に風魔法を操る個体であり、更に通常種より桁違いの強さだという。

片腕以外の服が切り裂かれていたこと、俺の話に相違ないことで依頼も達成となった。そして上位種の討伐報酬、素材の買取もしてくれた。


三匹の討伐・上位種の討伐報酬・角の買取で合わせて金貨10枚になった。

上位種は少なくともBランク以上の依頼で報酬は金貨数枚以上が相場。そして魔法を使う魔物の素材は高く取引されるという話だ。

なんでも貴重な魔道具やらの素材になるという。

魔術の巻物〈スクロール〉という貴重な巻物になるとか言っていた。

巻物に魔法を封じ込めることで、魔法の才能がない者でも魔法を使えるという巻物らしい。

それの上位版の素材になるそうだ。


通常の巻物は一回だけ魔法を放てる使い切り。

上位版はなんと魔力と引き換えに封じ込めた魔法を習得できるという。


つまり俺の火魔法もあの時ゴブリンから奪った巻物で習得したということになる。意識を失ったのはMPを吸われすぎたということなのだろう。何故ゴブリンが巻物を持っていたのかは知らないが。


だが上位の魔物は討伐が難しい。

仮に素材が手に入っても冒険者は売り払って資金にしたり、普通は加工屋に渡り魔道具や武器の素材にされたりする為そもそもの数が少ないらしく、今回は俺も買取で承諾した為、潤沢な資金を手に入れたわけだが。

そんな訳で、話を聞いたからには是非どんな魔法が売っているのか見てみたい。金は沢山入ったので使えそうな魔法があれば今後の為に買うのもありだ。


魔道具店を見つけ入店。

こじんまりとした店だが沢山の商品で埋め尽くされている。これ全部魔道具か?

巻物を見に来たのだが思わず手に取りあれこれ眺める。

ガキの頃よく行ったおもちゃ屋みたいだ。

店主に聞きあれやこれや説明してもらう。


水の湧き出る瓶・魔法陣を創る聖水・魔力回復の指輪・致死無効化のペンダント・魔物よけの鈴etc……


使えそうなものから用途のわからないものまで様々な道具があるな。なんかワクワクする。

おっと、魔道具もいいが目的を忘れるところだった。

俺は店主に尋ねる

「ギルドで聞いたんだがこの店で〈スクロール〉の取り扱いはあるか?可能なら見せてもらいたいんだが」


「〈スクロール〉?兄ちゃんの目は節穴か?そこにあるじゃねぇか。好きに見てってくれ」

店主が呆れる様に視線を向けた先には、なるほどあった。

以前見たのと同じ巻物が並んでいた。

物珍しい魔道具にばかり目がいってて気づかなかった。

しかしコレは……

なんというか乱雑に置かれている感じでとても話に聞いた様な貴重な巻物とは思えない。上のほうなんか埃被っちゃってるし。

これ本当に貴重なものなのか?

店主いわく

「大抵の冒険者は魔法より剣なんかで戦いたがるもんだ。それに普通冒険者ってのはパーティーを組んで戦う。回復や援護の魔法は後衛の魔術師がやる。そもそも魔法ってのは誰もが扱えるモンじゃねぇだろ?だから皆、そんなモンより剣や防具っつう装備を買うのさ。常識だろ。」


世間知らずの子供に話すように店主に諭される。

なるほどな、誰でも魔法を使える訳じゃないんだな。

一応

「すまないな、俺は〈流れ者〉ってヤツなんだ。」

常識知らずと思われるのも癪なので伝えておく。


あぁ、という顔で店主が頷く。

珍しくもないって顔だ。まあいいけれども。


さてさてさーて

いい魔法の巻物がないか少し物色してみるか。

なになに……『火魔法』『風魔法』『水魔法』『土魔法』……

ふむ、基本的な属性系の魔法は揃ってるな。

お値段は……一つ銀貨5枚か。うーむそこそこするな。

しかもコレ使い切りの巻物か。

なるほど、この値段で使い切りなら売れないわけだ。

後は…お、あった。こっちが上位版の巻物か。

同じく属性系は揃っている。『回復魔法』がある!これは欲しい!お値段は…金貨3枚…かなりする。宿半月分。

今は多少懐に余裕があるが、購入するならかなり痛い出費だ。

いや、俺のユニークスキルの特性上これは必要になる。

少し悩んだが余裕のあるうちに買ってしまおう。

他にはなにかいい魔法はないか、探してみる。

既に俺には『火魔法』と購入予定の『回復魔法』がある。

できれば遠距離攻撃できるような魔法があればいいんだが……。

ん、なんだこの巻物?文字が全く読めない。ここに来てから自然と文字の解読はできていたのだが……

店主に聞いてみる。

「ああ…それは『影魔法』だな。魔界の魔物の素材から作った巻物だが、誰が使ってもよくわからねぇ魔法しか発動しねえってもんであんまりおすすめはしないぜ。てか兄ちゃん上位の巻物を買うのか?」

後半は無視した。

なるほど、『影魔法』。

確かに聞くと一見地味だが、練習したらもしかしたら某忍者の様な使い方が可能かもしれない。


「おい兄ちゃん、聞いてんのか?」

試してみる価値はある。

店主はああ言っているし、過去魔法を使った冒険者達も使いこなせない用途不明の魔法のようだが、何故だか俺はこの魔法を習得しなければいけない気がしていた。


結局俺が選んだのは『水魔法』『回復魔法』『影魔法』の3つ。しめて金貨7枚。『影魔法』は在庫処分品という形で金貨1枚でいいとのこと。

そして魔道具もいくつか購入した。

魔力回復の指輪、そして試したいことがあったので苦痛のペンダントというものも合わせて購入。しめて金貨1枚。

さらに冒険者用の装備。

皮鎧と鎖帷子。こちらも合わせて金貨1枚。

合計金貨9枚だ。さっきの儲けがほとんどなくなった。

だが、この先を考えたら投資は惜しまない方がいい。

先の戦いで俺は学んだ。

生きたければ少しでも自分を強くしていかなければ。


早速巻物を使い、『水魔法』『回復魔法』『影魔法』を習得。

前回みたいに意識を失わないように採取しておいた魔力草を何度か使用した。というか食った。色んな目に遭ってきたからな、今更迷いなんかないな。

だが確認したらこれも調合で『魔力ポーション』なるものにできたみたいだな。早く魔法を覚えてみたくて焦ってしまった。

店主は驚いていた。

即効巻物を使っていたのも、魔力草をむさぼり食っていたのもそうだが俺が魔法を習得できたことにだ。

まぁ常識知らずの奴がウキウキで巻物を見に来たら普通はそう思うよな。

店主に礼を言って俺は魔道具店を後にした。

いい店だ。今後は余裕ができたら覗きに来ることにしよう。


その後、宿屋に戻り今日はもう休むことにした。

朝からとんでもない目にあったからな…

俺は布団に倒れ込むとそのまま爆睡した。

俺の意識が無くなる頃、何か聞こえた気がした。


窓の外から 人間の絶叫のような声が

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