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第十話 帰還

ーーーーーーーーーー。


重々しい響きとともに、視界の先を黒い煙が一すじ薄くなびいていくーーーーー。


凄まじい爆風によって生み出された黒煙が立ち込める。

肩で息をしながらその光景を見守る。


俺が最後の意地で放った火魔法。付与した『復讐』。


ふたつが掛け合わされ放たれた魔法は、あの日驚愕した『火球』

それを遥かに上回る威力を発揮した。


これじゃあ兎共も生きちゃいないだろう。

ざまぁみやがれ……


咄嗟に使ってしまったが自身のスキルの力に驚いた。

多分だが、片腕両足分のダメージが蓄積された威力ということなのだろう。でなければあの威力は説明がつかない。

今までは殴られた時はすぐに反撃していたからな。分かるはずもない。


「痛っッ……」


痛い。いや、痛いなんて次元とうに越している。

何故気を失っていないのか不思議なくらいの重症。

腕一本のだるま状態。町まで帰りつくのも不可能だ。


「どうすっかなぁ……」

だがどうしようもない自問自答。試しにポーションを全部飲んでみようか。

それで四肢が再生するとは到底思わないが。

こんな状態だってのにいつの間にか驚く程冷静になっている。

もう助からないからヤケになっているのかもな。嫌な思考だよまったく。

立ち上る黒煙を眺めていると


【Lvが上がりました】

【Lv2→Lv10】


久々にあの無機質な声が脳内に響く。


目の前に以前と同じウィンドウ画面が出現した。

そういえばそんなのあったな。

最初にレベルとやらが上がってからまったく上がる気配がなかったからすっかり忘れていた。

それにしても2から10だって?一気に随分上がったな。

最初にレベルが上がった後にゴブリンを五匹程倒していたが変動はなかった。

つまり兎三匹で8レベル上昇か。

俺が知らなかっただけでかなり強い魔物だったのか?あの兎は。

依頼が間違っていなければこれはEランクの依頼。

ゴブリン討伐がDランクだったことを考えると……

いやいい。どうせ考えてもわからない。


【HP・MPが回復しました】

【ステータス値が上昇しました】

痛みが引いていく。そういえばこれもレベル上昇の恩恵だったな。

さらに驚くべきことに、失った体の部位も再生されていく。

もう今更何が起きてもあまり驚きはないな。

ただ、欠損部位の再生となるとどんな原理で治っているのか気になるところではある。どうせ理解はできないが。


念の為ステータスの確認もしておく。


【名前】 佐藤裕二

【Lv】 10

【年齢】 28

【HP】 300

【MP】 190

【攻撃】 55

【防御】 20

【知力】 40

【素早さ】 30

【スキル】 鑑定 アイテムボックス

【ユニークスキル】 『復讐』〈リベンジャー〉Lv2

【スキル】 『火魔法』



以前よりステータス値がかなり上がっている。

HPとMPの伸びがすごいな。

攻撃・知力・素早さはそこまでの上昇はないな。

相変わらず防御力が上がっていない気がするが…

以前も考えたがやはり装備品に依存しているのだろうな。


そしてユニークスキルだが…

『復讐』のレベルが2?との表示が新たに追加されている。

画面をタッチしてみると拡大され、またしても説明文の様な表示が映し出される。


ユニークスキル

『復讐』<リベンジャー>

効果 自身の被ダメージが倍になる。ダメージを受けた場合 次の自分の攻撃 行動 効果を倍にする。

発動時にMPを10消費した場合、効果を更に倍にする。


どうやらレベルアップに伴いユニークスキルが成長したということらしい。

今までは倍になるだけだった効果だが、MPを10支払えば更に倍にできる。

つまり現状、MPを全て支払えば倍+190MP消費で20倍までの効果を得られるという訳だ。

理屈がわかりにくいが、倍の効果は1、2、3と上昇するみたいだな。

相変わらず被ダメ時限定スキルというのが嫌なところだが、、MPを使って強化できるというのなら今後使い方の幅が少しは広がるかもしれない。


さらに兎達に火魔法を放った時に気づいたが、このユニークスキルは任意に発動するタイプのスキルらしい。

被ダメの際、いつもは敵の追撃前に反撃していたのでわからなかった。

おそらくこの力は自身の蓄積分のダメージを任意のタイミングで発動することができる。

つまり先程の威力は四肢を失ったからこその威力。

ただの火魔法であれなら、レベルやスキルが更に上位の物だった場合どれほどの威力になるのか。身震いするな。


現在ユニークスキルLv2ってことはこれから更にLvアップしていくということ。

強くなっていけるのは嬉しいが、痛みを伴う力だ。

何度もこの力に助けられてはいるが、逆にこの力のせいで余計な苦痛を感じているという矛盾。

そろそろ有効的な使い方を模索していかなければならないだろう。


などと考えているうちに体の感覚が戻ってきた。

欠損した部位の再生が終わったらしい。

この世界の人間は怪我をしたらレベルアップの度にこの感覚を味わっているのか?

あまり慣れたくはないな。


「さて」

念の為立ち上がり軽く身体を動かす。普通に動く、問題はなさそうだ。

この場所で目覚めてから驚きの連続で最早大して驚きもしなくなってしまった。

思考がこの世界の基準に染まってしまう前に日本に帰りたいものだ。

レベルアップのおかげで傷も治り不調も特にないが一応ポーションを一つ飲んでおく。念には念をだ。


色々確認が終わったので改めて正面の惨状に視線を回す。

さて、これはどうしたものか。

俺の火魔法のせいでかなり酷い有り様だ。

幸い燃え広がるレベルにはなっていないが、薬草畑はほぼ壊滅。おそらくは兎達も消し飛んでしまっただろう。


「困ったなぁ……」

当たり前の話だが、討伐依頼となれば討伐した証をギルドに持ち帰らなければならない。

ゴブリンならば耳、今回のホーンラビットならば角らしい。

一応、辺りをくまなく探してみる……お?

都合のいいことに角が1本だけ見つかった。あの威力の魔法を近距離で浴びてよく残っていたな。

残り二匹の角は……流石に見つからなかった。

まぁ一つあっただけで良しとしよう。

ギルドにはありのまま……は不味いな。ユニークスキル絡みで話すと面倒そうだ。

無我夢中で魔法を放った結果一匹だけ倒せた、とでも言っておこう。

角をアイテムボックスに入れ、水を飲み一休みする。

さて、町へ帰ろう。

時間にして約2時間程度だったが、とてつもない体験だった。できれば2度と身体を失うなんて事あってほしくないもんだ。

ちなみに、帰還の前に薬草畑では 【薬草】【魔力草】【毒消し草】を手に入るだけアイテムボックスに入れておいた。

各種約100個程採取できた。ギルドや個人の私有地ではないらしいし、問題はないだろう。

俺は町へ向け歩き出した。





と、ここまでが俺がこの世界に来て体験した三日間の出来事だった。

だけどこんなものはただの序章に過ぎなかった。

ここから 俺は思い知ることになる。

本当の地獄というものを

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