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16.ねこじゃらし
時々、心がくすぐったくなる
この感情はあの夏の夜
車の助手席のドアを閉めたとき
私が座っていたその場所に置いてきた筈なのに
それなのに
時々、まるでねこじゃらしの様なもので
心がくすぐられるんだ
未来は誰にもわからないと言うけれど
彼と築くものは
この先に何もないことは知っているつもり
心のどこかで
まだ期待している自分が居るのだろうか
そんなつもりはないと言いきれないから
こんなにも心がくすぐられるのだろう
この感情はあの夏の夜
車の助手席のドアを閉めたとき
私が座っていたあの場所に置いてきた筈なのに




