12/20
12.事実
みんな居なくなる
あなたもわたしも犬も猫も
みんな。
いつかは誰の記憶のなかにも
思い出のなかにも存在しなくなる
そのことを思うと
とても悲しくなるんだ
そんな先のことを考える必要はないのに
その筈なのに
わたしもあなたも犬も猫も
みんな居なくなる時のことを想像してしまう
いつかは誰の記憶のなかにも
思い出のなかにも
あなたとわたしと犬と猫が
この世界に居たという
事実が消え去る日が来るけれど
あなたと犬と猫と
寄り添って過ごしている
今が思いのほか心地いいから
そう悲観的になることでもないと考えられたのよ




