小学校で講義前半
昨日はテレビで見たバレーボールの試合に興奮して夜があまり寝られなかったという、子どもみたいなことをしてしまった。二夜連続みるとまたやりたくなってくるね。
昨日の相手国はルール王国。日本的に言うとフィリピンにあたる国である。予選ブロックが大きいインドことリムカと、フィリピンにあたるルール王国、そして世界最大の面積をもつザガロ連邦が同一ブロックであったようだ。世界ランク的にみると、ルール王国以外は格上も格上らしい。特に、ザガロ連邦は旧ソ連をさらに拡大したような国であるため、軍事経済ともに超巨大国家である。
どうやら、社会主義的な思想の中に、男性を身分関係なく分配するという思想があるようで、それが非常にこの世界の女性から受けがよく、勢力圏を広げているようだ。
世界情勢をみながら、見るスポーツもまた趣深い。そして、テレビでみるバレーボールもまた良いね。
さて、本日は小学生に質問返しをしにいく日である。
正直、一般的な質問が大半だ。想定の範囲内ともいえるし、担任の先生の教育の賜物ともいえる。
今回の目的は、一昨日見た男性のような見るも哀れな人間に育たないよう声掛けができたら幸いと言ったところだ。
せっかくなので、日本ってこんなところだという紹介の紙も用意させてもらった。男性省が用意してくれた日本製コピー機助かるね。輸出入が日本としても止まってしまったから困っているのか、日本のキャ〇ン製品のコピー機が導入されているようだ。
さて、教育というものを考えておくとしよう。教育というと、子どもの頃受けたというイメージしか残っていないが、社会の情勢というのが教育に与える影響というのはかなり大きい。1990年以降やれゆとり教育だとかで叩かれた時期もあったが、元々知識偏重の詰め込み教育となった理由は東西冷戦である。ソ連とアメリカの宇宙開発競争に対して、日本も西側諸国の一員として理系の人間を必要としたことが原因の1つとしてあげられる。
教育というのは未来をつくるものであるので、子どもたちのためという表向きの理由は別として国家戦略が多分に含まれるものだ。
もちろん、大和教育附属小学校もそうした戦略からは逃れられない。しかも、研究のための小学校であるので、日本との交流が今後大きな意味を持ちそうな大和にとっては、私の講演擬きも多少の意味はあるのだろう。
「よくぞ来てくださいました」
揉みてで来る校長先生と軽く挨拶をして、さっさと授業準備を始める。次からするときは桁を一つ増やして交渉することにしよう。
校長室ではあれだと思ったのか、男性用の部屋ということで男性室にと案内された。中にいるのはもちろん紺野先生だ。
「紺野先生お久しぶりです」
「久しぶりだね。学習院君。日本について聞けるのを楽しみにしているよ」
「ありがとうございます。そこそこ用意してきましたので、楽しみにしておいてください」
形式としては研究授業みたいなものだろうが、授業内容はどちらかというと日本の紹介という側面が強い。異文化コミュニケーションとして特活か、内容があっていれば総合的な学習の時間としてでも扱えばよいところだろう。不思議なことにカリキュラムも似たようなものだったので、本当に大きくは変わらないのだろう。
時間となったので、紅音や侯爵、紺野先生と一緒に教室にたどり着く。昔ながらのガラガラと音が鳴るドアではなく、ガラス製の扉だ。中に入ると、外から見えていた通りに、子どもたちは静かに着席をしていた。後ろの方には、案の定明らかにお偉方が並んでいる。やはりかという気持ちが湧いてくる。
彼女らが何を思ってきているのかは人によって様々だろう。問題意識によって異なるだろうが、別にそれにこたえるためにきているわけではないのだから問題ないだろう。
子どもたちはきちんと座っているが、何処となく緊張している様子が見受けられた。こういった研究校は研究授業で見学されることに慣れていると思ったが、私が男性なので緊張しているのだろう。
教壇に立つのも久しぶりである。
「4年1組の皆さんこんにちは。日本から来ました学習院学です。よろしくお願いしますね」
「青山さん挨拶をお願いします」
担任の先生が子どもに挨拶を促してくれる。大和でも挨拶は同じなのも興味深い。時間の区切り的な意味では1つのルーティンとして作られているのはわかるけどね。
「さて、皆さん質問ありがとうございました。とっても良い質問ばかりでしたので、今日は質問に答えながら日本について皆さんに知って行ってもらいたいと思います。まず、質問でよくあったのが、【男性が外で働くと聞きましたがどんなことをするんですか?】や【男性も外を歩けるのですか?】といった質問ですね。それに応えるためにこんなものを用意しました」
そう言って、黒板に満員電車の写真を貼る。日本の負の名物であるが、男性がたくさんいるのがわかりやすいだろう。画像の意味が一瞬わからなかったのか少しの沈黙の後、子どもや大人たちからもどよめきがあがる。
「大和にもあると聞いていますがこれは電車です。それも満員電車ですね。ですがおそらく大和では有り得ない光景だと思います。見ての通り男性がたくさんいますし、大和のように男性警護官もいません。だからといって男性が攫われたりはしないですね。ではこの男性たちは電車でどこにいくでしょうか?想像してみて、どこに行くと思う?考えた人は手を挙げてね」
そういうと主に女の子がシュバッと手を挙げてくる。訓練されているな、
「左の2列目、この列の前から3番目の子にしようかな。名前を教えてください」
「はい!森本叶華です!」
真面目そうな感じの女の子だ。日本なら騙されやすそうな純朴で真面目な感じと言えるだろう。
「きょうかさんだね。きょうかさんは、この男の人たちはどこに行くと思う?」
「はい!男性で集まる集会みたいな所に行くと思います!」
ほう、面白い答えだな。いっぱいいるから同じところに行くと思ったのだろう。
「なるほど、男性で集まる集会か、そこで何をするんだろうね。実はここにはいっぱい男性がいるけど全員同じ場所に行くわけではないんだよね。だから、この中には集会に行く人もゼロではないかもしれないけど、大半は別のところに行くと思うよ。きょうかさん、いい答えをありがとう。別の子にも聞いてみようかな。他に教えてくれる人」
「次はこの列の後ろから2番目の子だね。お名前は?」
「名知結菜です」
ゆうなさんは、黒髪がお尻のあたりまで伸びてる。手入れが大変そうだ。
「ゆうなさんだね。ゆうなさんはこの人たちはどこに行くと思う?」
「はい、仕事に行くのかなと思いました。先生が最初に男性も外に働きに行くのかという質問をあげていたので、みんな仕事に行くのかなと考えました」
めっちゃしっかりしてる子を引いたね。二凧の幼少期かと思うぐらいだね。意見が出なくて困ったらこの子に当てよう
「素晴らしい、その通りだよ。ここにいる人たちはほとんど仕事に行く人たちです。日本では男女共に仕事をするので、こうして仕事に行くために電車に乗っているのですね。そして日本においては、比較的男性の方が仕事をしている人が多いです」
次に、政治家、土木作業員、アイドル、オフィスワーカーの男性の写真を貼る。インターネットが繋がらないのでライターの仕事中に使っていた写真たちである。無論著作権の心配はない。
「男性は色々な仕事についています。大和では女性しかついていない仕事もほぼ全部男女両方とも仕事をしています。男女平等というやつですね。じゃあ逆に日本でもこの仕事は女性しかしてないだろうと思う仕事はありますか?考えた人は教えてください」
本当はグループワークとか考える時間を取りたいけど、時間がないので走り気味で行こうと思う。今回は流石に難しかったのか手を挙げる人が少なくなった。
「右のこの列の1番前の子、お名前はなにかな?」
「はい、えっと島田愛莉彩です」
まれあか、日本だと今風の名前だね。
「まれあさん、まれあさんは女性しかいないと思う仕事は何かな?」
「えっと、会社の社長さんです」
ほう、なるほど。偉い職業のイメージかな。良い感覚だろう。
「なるほど、どうしてそう考えたのかな?」
「えっと、だって社長さんは恨まれることも多いし、危ないので男性はしたがらないと思いました」
なるほどね、社長という仕事をよく知っているのかもしれないが、危ないところにはいかないだろうと、そう考えるのか。
「なるほど、危ないことを避けるという意味かな。なら日本の男性は大和女性と同じくとっても強いのかもしれないね。日本の社長は男性が90%以上で、女性の社長の方が圧倒的に少ないのですね」
えぇという声が上がっている。なかなかいい反応だろう。日本では、男性が強い役割を押し付けられているといってもいいかもしれないし、女性が弱い役割を押し付けられているといってもいいかもしれない。これは両方とも同時に起こっていることである。
「さあ予想外かな?まだまだ予想外のことは出てくると思うよ。男の子にも聞いてみたいけど、話してくれる勇気のある子はいるかな?」
さて、男の子は動くことができるのかな。男の子の反応は気になるところである。そういうと、男の子が手を挙げているのが見える。
「おっ、1人いるね。この列の君、名前はなんていうのかな?」
「ぼ、僕は久祖神勇気です」
「ゆうきくん、名前の通り勇気があるね。日本でも女性しかいない仕事はどんなのがあると思う?」
「は、はい、あの子どもを産む時のお医者さんは女性をみるお医者さんなので女性だと思います」
いい意見だ。男の子もなかなかしっかり言えるじゃないか。男の子が意見を言うと拍手が巻き起こる。他の子が耳打ちしたわけではなさそうだから、本当に自分で考えられたのだろう。実際男の子が意見を言うのは珍しいのだろう。
前に話していた時に、男の子が女の子に慣れるようにと言ってたが積極的に発表させることを促すことはしていなかった。どちらかというと、隣の席の女の子に代弁してもらっている印象が強かったので、珍しいといえるだろう。
「素晴らしい考え方だね!ゆうきくんいいね。たしかに女性をみるお医者さんは女性がやった方がいいと思うよね。まさにその通りだ。日本では助産師といって、妊娠した女性の産前、出産、産後をサポートする仕事は女性しかなることができません。大正解です。皆さんもう一度勇気君に拍手をしてあげてください」
助産師は男性もなれた方がという意見があったが、結果的に女性だけとなった経緯がある。助産師は正確にいうと医者ではないが医療関係者ということでいいだろう。ただ補足は必要だ。
「妊娠・出産を直接サポートする助産師は女性だけなんですが、日本では産婦人科医という妊娠や出産に関わるお医者さんもいます。こちらはなんと女性だけでなく、男性の産婦人科医もいます。というより男性の産婦人科医の方が多いんだよね」
そういうと、大人たちも意外だったのか後ろでどよめきがあがる。子どもたちはよくわかっていないのだろう。そういうものかという感じだ。ちなみに、産婦人科の写真も持ってきている。
「これは日本で問題になっているのだけれど、男女の性別役割分業といって、男性は外で働いて、女性は家で家事と子育てをするという価値観が続いてきたんだよね。なので、たしかに合理的に考えたら、産婦人科医も女性が多くなってもおかしくないけど、男性が多いんだよね。大和とは違って男性は社会の中で色々な仕事、社長や政治家、お医者さん、弁護士などたくさんの仕事についている。なので、男性は社会を動かす、社会の中でとても強い存在であると同時に、強くなるように強いられているともいえるかもしれない。これは、大和の女性と同じかもしれないね。大和の女性がする仕事のほとんどは男性がしていると思ってくれたら間違ってないかな。」
男性が仕事をして、女性が家事や子育てをしている画像と両方働いていたり、両方家事をしている画像を張っておく。前者は今ではこうとはいえないが、大和の人たちにはまだわかりやすいだろう。
もちろん産婦人科に男性が必要でないとは全く言わないけどね。完全に男女の社会進出が平等であった場合、女性の産婦人科医は多くなる傾向にあるだろう。社会の要請という視点から考えれば、産婦人科には、女性が来ることが多いので相談業務であれば、同性の方が話しやすいという場合もある。もっとも不妊治療で男性側の問題もあるわけだから、男性医師も当然に必要であるし、男性だからこそ言えることもあったりするだろうが、ニーズを考えると割合の問題で多くなるのである。
しかし、今の医療体制だと夜勤があったりするものだから、子育てや家事を考えてしまうと女性がなりたがらないという現象が起きてしまう。これは日本の医療体制の問題でもあるけど、仕事をする時に仕事を優先させる仕組みが、女性のキャリア形成を難しくしているね。そもそも医者になれるほどの高学歴であれば、もう少し選択の幅もあるだろうしね。
「ただ、日本においては男女は平等だとされているよ。今では色々な仕事に女性が増えてきている最中なんだ。お医者さんや弁護士、政治家などの偉い人たちは昔は男性しかいなかったんだけど、今では女性も増えてきている。それに、病気になった時、困った時、助けてくれるのは男性でも女性でも専門的な知識さえ持っていてくれるのであれば性別は関係ないと考えられるよね。そして法律上女性しかなることができない仕事は助産師ぐらいだね。」
さてまるっきりの異文化だが、どの程度子どもたちに伝わるだろうか。難しくしすぎた気がするが反応は悪くないが、ここは軽く流しておこう。
「さあ、次に行こうか。4年1組の皆さんは、とても上手に意見を出してくれるので有難いね。次によくあったのが【どんな仕事をしていましたか】というものだね。私の仕事はライターといって、みんなが知っているところだと雑誌とかに、記事を投稿しているお仕事をしていたよ。4年1組では学校新聞を作っていると聞いたけど、この中身の文字を書く人だね。これも日本では男性が多い仕事ではあるよ」
企業へインタビューして社内報を作るライターは結構面白かったね。
「こういう質問をあったね【女性のことをどう思いますか】、どうやら大和の男性は女性を怖がる傾向にあるらしいね。だけど、日本の男性で女性が怖いというのはそこまで多くないだろうと思うよ。私自身も別に女性だから特別嫌いということはないし、人間として尊敬できる人は男女問わずもちろん敬意をもって接するし、尊敬できない人は男女問わず嫌いな人物だ。一般的に、日本の男性は女性のことが好きな人が多いと思うよ」
特に知識的に豊かで視野が広い人間は、敬意をもって接しているつもりだ。ここで、黒板に、質問をはっていき、わかりやすくした回答をはっていく。
【男性はどんな仕事をしますか?】A.大和女性と同じ、ほぼ全ての仕事。助産師以外。
【男性は外を歩けますか?】歩けます。誘拐されません。
【どんなことをしていましたか?】記事を書く人です。
【女性のことをどう思いますか?】女性だからといって嫌い・怖いということはありません。尊敬できる人もできない人もいます。
【日本は楽しいですか?】治安も良く遊びも多いです。
【日本の面白いところはどこですか】マイナーですが、石川県の忍者寺
さて、これで概ね回答は終わった。あとは、子どもたちから直接聞いていくとしよう。ちょうど時間的にもできることだろう。




