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貞操逆転パラレル日本の比較文化記  作者: バンビロコン
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相談

 試合終わりにテンションが上がって、迂闊な言動をしそうになったというよりしていた気がするが、やっと冷静になってきたのは車に戻ってきてからである。


「実にいい試合だったね。バレーボールは好きでよく観てきたけどこれほど盛り上がった試合もなかなかない」

「はい!すごい試合でした(学さんの上に座っちゃってそれどころじゃなかったですが)」

「ん?二凧どうした?」

「いえ、何でもないです。これほど盛り上がるのでしたら、バレーボールを観るのも良いと思いました」


 スポーツ観戦も盛り上がっていると楽しいものがある。ラグビーワールドカップとかも全くラグビーを知らなくとも他の人と応援すると楽しかったりする。

「確かにスポーツは雰囲気を楽しむところがあるからね」

「明日から突然バレーボールを始める人が増えそうです」


 今から始めた子たちが育つのに5年以上はかかるだろう。でも、層が厚くなるのは良いことだね。

「それよりも二凧、間違えてテレビで名前を出してしまって申し訳なかったよ。ごめんね」

「え?あれは学さんが狙って出したのではないのですか?鴻池事件があったので、ホームステイ先の関係が良好であることをアピールしているのだと思っていました」


 なるほど、アナウンサーも長宗我部という家名をわざわざ出していたね。おそらく、全てのホームステイ先がダメというわけではないというアピールをしたという風に思われたわけだ。


 特に自分の所の後ろ盾は長宗我部家で仲も良好ですよと思われれば手を出してくるのは長宗我部家に真っ向から喧嘩を売ってくるのと同様である。しかも侯爵って公爵の次だからうえから2つ目だものね。流石にそう簡単に手は出せないというわけか。

 

 なるほど実によく考えられている。もちろん、まったくそんなつもりはなかったが……


「結果的に上手くいっただけだよ。そうだ、二凧。バレーボールのアジア予選も含めてまた試合があったら教えて欲しい。いや、たぶんスポーツ雑誌かスポーツ新聞とかに試合日程が書かれていると思うんだけど、スポーツ新聞とかって取ってもらうことできる?」


 二凧に頼りきりの現状はひじょうによろしくないし、情報は自分で集める方が楽しいからね。まあそれはそれとして、紅音には手伝ってもらうかもしれないけど……

「はい!すぐに用意しておきます。それとすいません、明日もアジア予選で大和の試合があるのですが、次の日が小学校での講演をされるということで席を取りませんでした。こんなに楽しまれると思っていなくて……」


 たしかに2日連続とみるほどバレーボールが好きだとは言ってないので仕方ないだろう。時間も夕方なので行くと次の日がキツくなるという配慮だったのだろう。

「またいくらでも機会はあると思うし、まだまだ他にやることも多いからね。配慮してくれてありがとう」

「はい!また必ず取っておきますね!」


 二凧がいつも以上にニコニコしている。最近、どうも調子が良いようだ。今のところ関係は良好と言えるだろう。

「そうだ、二凧と紅音に相談があるんだけど、例えばどこかの体育館を借りてバレーボールをするとする。そこで、男性を何人か集めて、教えてくれるバレーボール選手を呼ぶ場合、注意すべき点とかって何がある?」

「そうですね。他のギャラリーができないように、情報を隠蔽することでしょうか」

「ん……安全の観点から国家男性警護官を外に配置しておくことが望ましい……」


 ふむふむ、情報が漏れないようにすることと、何かあった時の人員か。

「なるほど、選手を呼びたい場合、値段の相場はいくらぐらいになる?」

「そうですね。名誉あることなので、無償で来てくれると思いますが……」


 バレーボール振興のための宣伝目的であれば無償でも、相手にとって利益があるので良いが、そうでなければ金銭を払った方がいいだろう。利益関係のない無償は責任を問えないし、有償の契約の方が情報漏洩対策になる。

「ではいくらか報酬を用意するとして、いや金銭でない報酬という手もあるね」

「金銭はトラブルもありますからね」


 男性から金銭をもらうというのが大和でどのような意味を持つのかがよくわからないのもあるが、男性の行動でかかる金額が高いことを考えると行動で報酬を示すという手もある。

「例えば、男性会で主催すればお見合いパーティーの無償参加を報酬にできるね。これは報酬になりえる?」

「なりえるというより、なりすぎるといいますか……」

「ん……好待遇すぎる……」


 思ったよりも反応は良くないか。おそらく、お見合いパーティーの価値相場が相当に高いのだろう。男性会が主催するお見合いパーティーはお金で買えないようになっているからこそ、ある意味超高額でもあるし、私たちからすると無償なわけだけどね。

「その辺りはおいおいだね。しばらくは小学校の件とお見合いパーティーぐらいしかないはずだから、のんびりとできそうだね」

「大物しか残っていないような気もしますが……」

「ん……働きすぎ……」


 お見合いパーティーの会場設置などはほとんど男性省の人がやってくれている。会場と食事とマイクなどの設備、あとは護衛関係ができていればそう問題はない。何度か電話で確認もとっている。


 それに、前日に私たちも確認にはいくので、今のところ概ね問題はないだろう。というよりこっちの世界のお見合いパーティーの形式など知るはずもないのだから、私たちでセッティングするよりプロに任せた方が良い。会場の警備面もそちらに一任してある。そして、小学校の件も準備は終わっている。何もすることはない。


 そんな話をしながら、屋敷に戻ると侯爵が出迎えてくれた。随分と忙しそうな顔をしている。

「あぁ、学習院殿、本日は大変すまなかった。政府関係者としてお詫び申し上げる」


 何のことかと思ったが、テレビ局での不審者の件であった。既に記憶から消えていた。

「謝罪は受け取りますが、これ以上は不要ですよ。結局、犯人は単独ですか?組織的なものですか?」

「感謝する。犯人については捜査中だが、一応表向きは単独だ。だが、裏に何かいる可能性が極めて高いと見ているな」


 どこかの鉄砲玉だろうか。そういえばヤのつくような暴力団体もあるのだろうか。

「心当たりがおありで?」

「あぁ、というより男性が目立つことを嫌う団体もあるし、今回のお見合いの件で政党政治が強化されてしまうから、それを快く思わない華族家も敏感に反応している。候補は多い」


 なるほど、男性は保護されるべきという考えが強い団体もやはり存在するか。それに、民衆受けの良い政策と捉えて首相の力が上がったとみる者もいるだろう。政府の役割として、金や物質を分配するという役割がある。今までは精液バンクで分配が行なわれていたが、男性本体は富裕層が独占していた。それが、男性が自ら富裕層関係なく分配されようとしてくれるのだから、政府にとっては都合のよいことだろう。


「となると、目的は政府の信用失墜ですかね?」

「うむ、と言いたいところだが、おそらく日本男性の会が政府の傀儡であり、無理矢理言わされていると思っていたのだろう。怖い目にあえば崩壊すると思って動いた可能性が高いと私は見ている」


 そういえば、この世界の男性は今日みたアレがデフォルトだったか。操り人形であれば次はないだろうし、無理矢理男性にさせたということで非難轟々である。

「となると、バレーボールで私が勝手に実況に参加してしまいましたが、良い方向に動いたかもしれませんね」

「あぁ、今頃泡を食っているところだろうな」


 要警戒といったところだろうか。

「となると、まだまだ行動を起こしてきそうですね」

「あぁ、とりあえず手は回してみるが、原因がどこかがまだわからんのが現状だ。しばらくは外に出る時に国家男性警護官を増やそうと思うがよいか?」

「わかりました。よろしくお願いします」


 そんな話をしながらテレビを見てみると、しきりにバレーボールの放送を繰り返していた。現金なものである。

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