テレビ報告
招待状を送ってから次の日、本日は朝からテレビ出演が決まっている。まぁ、お見合いパーティー招待状送りましたよという案内だ。まあ、犬養総理がどうしてもしてほしいといわれて、早川君が頷いてしまったので仕方がない。ちなみに、今回は早川君が話してくれるらしい。
もはや恒例となりつつあるが、紅音についてきてもらいテレビ局に行くと、見覚えのある人物がいた。国家男性警護官の剣持さんである。なにやら、早川君と話しているようだ。
「やあ、早川君、そっちは剣持さんだよね。今日はなぜ?」
「あっ学習院さん。首相がお見合いパーティーの件以降危険度が上がったから、外に出る時だけ国家男性警護官をつけてくれたんです」
「学習院様おはようございます!本日もよろしくお願いします!」
剣持さんは背も大きいし、胸もでかい。早川君は大きい胸が好きだと言っていたから、気になっているのではなかろうか。さっきから目線がそっちに向いている。まあ、失敗を繰り返さなければなんでもいいよ。
「そうなんだね。確かにお見合いさせろと暴徒に襲われても困るし、正しい判断なように思えるね」
「本当ですよ。目が血走った女性に襲われると怖いってことは自分も身をもって体験しましたからね」
早川君の言葉を聞いて、剣持さんが突然顔を真っ青にしている。日本男性にとっては軽いジョークだけど、大和にとっては大事件の被害者が女性に襲われて怖かったという話をしているのだ。気が気でないのだろう。思わぬブラックジョークになってしまったようだ。
「まあまあ、そろそろテレビ局の方に行こう。入り口付近で固まってたら邪魔になるだろうからね」
「あっそうですね」
前と同じようにお偉方に案内され、打ち合わせをしたのちに前と全く同じ場所に座らされる。この席に固定なんですかね。
「本日は大変明るいニュースがございます。日本男性の会のお2人方にお越しいただいております。早川様、学習院様、お願いいたします」
「はい、日本男性の会、代表の早川です!大和の皆様、本当にたくさんのご応募ありがとうございました!なんと応募総数は391万9443通でした。自分たち男性会のメンバーも時間の許す限り、できる限り多くの応募に目を通して、家柄に関係なく送らさせていただきました。明日には届くと聞いていますので、少しだけお待ちしていただきたいと思います」
早川君、上手くなったな。いや、そういえば団体の代表経験者といっていたから、元々上手だったのだろう。もしかすると、この前は鴻池事件のことを引きずっていたのかもしれない。
「会場や服装なども招待状の方に書いてあるので、それを見てやってきてください!また、偽装ができないよう特別な紙を使っています。そうです、市役所とかで住民票とかが記載されている紙ですね。そして簡易書留で来ますので間違いないようお願いします。それから、招待状には各男性たちから持ってきて欲しいものなどが書かれています。例えば音楽が得意な女性を集めた男性は楽器は用意するので楽譜を持ってきてくださいというように、書いてありますので準備をしてくださいね。あっお金もってこいは誰も書いてませんので、確実に詐欺です。気をつけてください」
絶対詐欺が多発するからと注意喚起は多めだ。
「あとですね、テレビ局の方に日本男性の会へのお便りが大量に送られてきているようですが、テレビ局の方で答えてほしいと言われた数の多かった質問に対して回答したいと思います。学習院さんお願いします」
今回の私は質問返しである。明後日も小学校でやるのだが、そんなことばかりだな。
「はい、日本男性の会、副代表の学習院です。疑問の多かった質問に答えていきます。一つ目『一般女性も本当に招待するのですか?一般女性にも可能性はあるんですか?』といったものですね。これに関しては本当に招待をしました。可能性はあります。この場合の一般女性というのが、おそらく華族や財閥令嬢のような富裕層ではないという意味だと思いますが、今回の招待状の半数以上が完全な一般女性です」
そう答えると、カメラやお偉方からどよめきがあがる。
「日本という国で私たちはごく普通に過ごしてきました。男性が保護されるという文化ではありませんので、今までの暮らしは大和での一般女性に近いと私たちは思っています。なので招待させていただいた一般女性とは、話が合うことを期待しております」
音居さんとか、大手楽器メーカーの社長の娘さん以外、全部普通の人だからね。まあ普通といっても家柄が特殊だったりや資産があるというわけじゃないという意味で、その人が個性的かどうかは別である。
「次の質問ですね。『第二回はありますか?定期開催予定は?』などですね。要するに、今後の活動方針ということですね。まず第二回については開催予定です。日本大使館の方からも、他の日本人男性の問い合わせがあり、男性側の参加者も増えると予想されますので、今回の経験をもとに開催したいと思います。定期開催についてですが、こちらについては不定期での開催となると思います。男性からの要望に応じて開催していくことにしますね」
日本大使館から、100人以上の男性から問い合わせがあったそうなので、次の開催は確実だ。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
突如、汚い雄叫びが上がったかと思うとスタジオに目が血走った女性が乱入してくる。
「◎△$♪×¥●&%#?!」
その女性は、意味不明な言葉を叫びながら、こちらに近づこうとしているようだ。まあ、完全に放送事故だね。昔日本のテレビ番組でもこんなことあったような気がするよ。
「紅音、取り押さえて」
私が声を出した時には、飛び出してきた紅音にあっという間に乱入した女性を取り押さえる。別に刃物を持っているわけでもなく素手で飛び出してきたようだ。何がしたかったのだろうか。それに、ただのバカがこんなところに簡単に入れるのだろうか。
「はい、突然人が出てきたので何を言おうとしていたのか。忘れましたね。さっきの彼女は何しにきたんでしょうか。あっ、一旦CM入ります」
とりあえず繋げてみたが、生放送はこういう事故があるから仕方ないよね。そんなことを思っていると、途端に物々しくなるスタジオ。
「すみませんこちらの警備上の不手際で申し訳ございません!!なんとか繋いでいただいて最悪の状況は避けられました!!」
現場の担当なのか誰かが謝りにくる。もはや頭は地面にこすりつけるような勢いだ。
「どうしますか?続けますか?私はどちらでもいいですが、早川君大丈夫?」
「一瞬ビックリしたけど大丈夫ですよ。というより今の人もまあまあ美人なのにもったいないですよね」
日本でああいう犯罪はしなさそうなぐらいの顔はしていたね。まあ日本でこんな犯罪をする女性は見たことがないが……
「まあ目がイッてたからね。自暴自棄の目というか、そういう目だよね」
「すいません!!本当に申し訳ありません!!」
平謝りである。かわいそうに……
「CMあけます!一度カメラを安曇さんからにして」
あのアナウンサーの人は安曇さんというのか。安曇さんが状況を説明したのちにこっちにカメラが回ってきた。
「こんにちは、日本男性の会の学習院です。先ほどは驚きましたね。熱いパッションを持っていてもそれはスタジオではなく、スポーツや趣味に向けて欲しいですね。ということで、たいしたことはなかったので、質問の方に戻りたいと思います。『日本人男性は女性が怖くないのですか?』これもたくさんきていましたね」
なんともタイミングのよい質問である。ちょうど順番がこれになっていたのだ。
「まあ、さっきみたいなとこが連続すると大和の男性のように日本の男性も怖がるかも知れませんね。ですが、基本的には怖がってはいないです。動物は自分より大きい生き物を怖がるといいますが、日本男性は平均身長が170cmありますので、体格的に怖がるということもありませんし、女性を怖がるという文化で育っては来ていません。そういう意味で無防備に聞こえるかもしれませんが、代わりにある程度自衛できますから、下手な女性だと、返り討ちに合うと思いますよ。日本人男性視点から見ますと大和女性は美人が多いですので、そんなに焦るとせっかくの美人が勿体無いとさきほど代表の早川君もいっておりました」
会場のお偉方が青い顔をしながら、ウロウロしているのをみているが、なかなか面白いね。美人という単語で、カメラさんが少し動いた気がするが大丈夫だろうか。
「最後に、『どんな活動をする予定ですか』などの質問ですね。そうですね。男性もなかなか1人だと外に出にくいので、スポーツ鑑賞に男性だけで行くなんていうのも面白いかなと思っています。日本では男性もスポーツ鑑賞もしますし、スポーツもします。バンドを聴きに行ったりとかですね。また日本の文化と大和の文化の違いもお知らせしていけたらと思います」
本当はもう少し話す予定であったが、先ほどの話で巻きで行くことにしたようだ。テレビ局も大変だね。
「私たちは同じ言語の仲間だと思っておりますし、日本と大和はとても似ていて同じところも多い文化ですが、男性が多い分食い違う部分もありますので、その辺りをお話ししていきたいですね。これで質問返しを終わります。では早川君よろしくお願いします」
「はい!大和の皆さん!日本男性の会は大和の人と仲良くなっていきたいと思っています!これからもよろしくお願いします!」
まあ、予想外のトラブルもあったが、なんとか終わった。お偉方が平謝りをしていたが、本当におバカの暴走なのだろうか。
自民族中心主義の高い人だと日本人という異邦人の男性が大きい顔をしているのを嫌ってバカを送り込んでみたというのもあり得ない話ではないし、権力者たちの力のバランスが崩れてきて暴走しているかもしれない。まあ続くようなら警戒が必要かな。もし誰かが関わっていたとしても私たちには嫌がらせ程度に過ぎない。テレビ局の信頼は落ちたけどね。
そんなことを考えながら、テレビ局を後にする。
「紅音、さっきはありがとう。突然バカがわいてきてビックリしたよ」
「ん……謝意不要……危機察知が遅れた……申し訳ない……」
珍しくしょぼくれた紅音がいる。どうやら、対応が遅れたことを悔いているらしい。実際にSPの反応が遅れて、総理大臣が暗殺された事件も日本ではあったし、ああいう不審者が殺意をもっていて攻撃してきたら間に合わなかったと想像したのかもしれない。
「やはり、もう一名増やすことをしないと、紅音の負担が高いかもしれないね。紅音の知り合いで紅音ほどでなくてもいいんだけど、背の小さい女性の男性警護官いる?」
「ん……いる……面目なし……」
1人で全部できる方が都合のよいことかもしれないが、まあ仕方ないことだろう。
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屋敷に帰ると二凧が顔を青くして出迎えてくれた。まだお昼すぎである。本日は大学に行っているはずだが、どうしているのだろうか。
「ま、学さん!大丈夫ですか!」
「今日は大学だったのでは?」
「そ、そんなことはどうでもいいんです!な、なにかされていませんか!!」
「生放送の話かな。なかなか目の前で放送事故に遭うなんていう体験はできないから、興味深かったよ」
まあ、男性がテレビに出ると危険ということはこういうこともあるのかもしれないね。そう考えると、男性が表に出てきてほしくない思想のものとかがいるかもしれない。もしくは利害関係的に長宗我部侯爵家か首相と仲が悪いところとかかね。
「学内であるテレビで観ていたんです!そうしたらボクの大切な学さんに襲い掛かろうとする暴徒がいたじゃないですか!急いで帰ってきました!あの、今日は大事をとって、バレーボールの試合の応援は中止にした方が……」
そう、今日はバレーボールのアジア予選大会がある日である。中止などもっての外である。それに、二凧から独占欲が見え始めている。危険だな。
「バレーボールの方が優先度が高いから気にする必要はないよ。あの程度で怯えることはない。紅音もいるからね」
「ん……有難き幸せ……」
私自身は身を守る技術がたいしてないからね。紅音に戦闘面は任せているが、何か得物を持った方がいいだろうか。しかし、多人数に囲まれるという場合以外はそこまで警戒する必要はないだろう。それよりも二凧が暴走して保護傾向に入られる方が面倒だ。やはり、味方につけられそうな男性警護官の増員を考えた方がいいかもしれない。
「二凧、行こうか。バレーボールが私たちを待っているよ」
「そんなに楽しみにしていたんですか!?」
「それはもちろん」
バレーボールはするのもみるのも楽しいだろう。
テレビ局大変そう(他人事)




