仕分け
それから木曜日と金曜日は読者や文化の違いをPCにまとめつつ、土曜日は二凧と紅音とバレーボールをして遊んだり、雑談をしてたらあっという間に2日が過ぎ去っていった。早川君から恐ろしい数来ているなどと焦っていたので、あまり考えたくなかったが、本日は、ついに例のお見合い書を選んで招待状を送る日である。
「えぇと皆さん、集まってくれてありがとうございます。お見合いパーティーを企画したらですね。大変な数のお見合い書が届きました。なんとその数391万9443通だそうです」
早川君が男性が集まっている5人の男性に声を掛ける。ちなみに、小鳥遊さんはいない。数が少なかったため電話をしたところ、ホームステイ先の人が取りに来てくれたからである。どうも、外にあまり出たくないようだ。
「おう、それで一人あたりがこれってか……まあ楽器ごとに分けてくれたのは助かるな」
音居さんがそうぼやく、彼のところには2000通ぐらいある。バンド経験かバンド楽器経験を条件にしたらそのぐらいはいるだろう。
「一番少ないのは、学習院さんか。いいね、すぐに終わりそうだね」
檜山さんが、こちらの机をみてそうぼやく、彼のところも800通弱ぐらいあるそうだ。私のところはわずか30通ほどである。背の小さな人がそこまでいないのと、背が小さいと選ばれないという思いから、そもそも情報にアクセスしていない可能性もある。
「既に私は決めさせてもらったよ」
「はい、学習院さんは、少なかったのと早めにきているので、もう終わっています。学習院さんはお手伝いしてくれるらしいので、助けて欲しい人入ってください」
「はいはーい、俺のところ数やばいんで手伝ってくださいっす」
山田さんがすぐに声を上げる。案の定彼のところが一番多かった。それでも条件を厳しくして減らしたのだ。放置していたら1万は行くところであった。
「了解だよ。あと全員に、見合い書を見方なんだけど、見慣れない【家の総資産】なるところがある。これは、この世界独特の考え方で男性が女性の資産や家柄しか見ないかららしい。一応見分け方として、華族は紙の下部に家紋が入っているからそれで見分けられる。そもそも様式が違うからわかると思うけどね。そして財閥関係は続柄のところに財閥本体の家との近さがアピールされているから、続柄のところに財閥と入っていたら財閥関係者だ。個人的には強めの家を2つぐらい入れておくとバランスがとれるとは思う。まあ、たぶん皆さんは違う理由と選びそうだが、一応、大和国での見合い書の見方となるね」
「さっすが、しっかりしとるなぁ。参考にさせてもらうわぁ」
絶対参考にしなさそうな荷背負さんがそう答える。
「あっ、あとみなさん、招待状は最低3人はだしていただくようお願いしますね。あんまり少ないと悲しいので、逆に多すぎるのは大丈夫ですが、皆さんが大変だと思うので……」
このメンバーなら3人ぐらいは同時に相手できるだろうという感覚もある。そんな注意事項を言いつつ、作業を始める。
「山田さん、とりあえずもう少し絞ろうか」
「いや、これはあんまり考えてなかったんですけど、処女厨なので子持ちを抜いてもいいっすか?」
今回、気がつかなかったのだが、子持ちの応募も結構いる。20から25までの間に子どもを生むのが基本だからだ。婚姻をしているわけではなく、精子バンクからの人工授精である。
「たしかに、日本人男性の感覚的にいきなり子持ち女性は少しハードルがあるね」
「そうっすよ。本当にやってみないとわからないっすね」
こうして子持ちを減らしていくとかなり減った。まあ、運が良ければまた会うこともあるだろう。
「こんだけ多いと家柄で選びたくなる理由もわかるっすね」
「そうだね。財閥関係と華族関係と政党関係はわけておこうか?」
「お願いするっす」
政治家一家はあまり入れたくはないけど、たまに紛れ込んできたり、財閥関係者がそうだったりするからね。面白いのは、戦前に一代だけ華族になっていた一族の子どもが政治家に多いということだ。癒着が酷そうだ。
「その間に山田さんはキープとなしに分けて行って、とりあえず読まずに顔だけみてもいいからね」
「了解っす。最悪だけどそれでいくっす」
見すぎて嫌になる前にざっと目を通すのが良いだろう。あとは運ということで……
そんなことをしながらあっという間に時間が過ぎ去り、なんと奇跡的に終わった。
「みなさん、送る人を互いに見てみませんか?なんかまずい送り方していると嫌ですし」
「おう、おれはいいぞ」
「いいっすよ」
早川君の号令に意外にもみんなが賛成をしたので、見せ合うことにする。たぶん、呼んでいる人が一般人ばかりになっていたり、逆に華族ばかりになっていないかを確認しようとしているのだろう。
音居さんは豪胆なことで20人呼ぶらしい。招待状に弾ける曲の楽譜を持って来てくれと書いて送るようだ。一応、大きめの楽器会社の社長の娘がいるが、一応巨大財閥系の会社だからここが有力だろうか。あとは本当に一般人だね。ちなみに音居さんは20歳らしい。見た目よりも遥かに若い。
「ヒモバンドとかいいな」
音居さんはバンドしながら暮らす、ヒモを目指していくようだ。テレビ局やレコーディング会社にだけ気を付けてくれれば良いだろう。
檜山さんは10人ほど呼ぶことにしたようだ。彼はどちらかという真面目そうだから少しはその辺りを考えているだろうと思ったら、全員登山家だった。登山をする人には金持ちもいるから大丈夫だろう。よく見るとかなりの大物が混じっている。仲良く山に行ってくれよ。
山田さんは、8人呼んでいるが、ある程度バランスよく呼んでいるので問題ないだろう。大和という国、アニメの世界かと思うほど美形が多い。というより全体的に整っていることが多いんだよね。少なくとも、送られてきたものは割とそうなのだが、私たちに見えないようにしているだけなのだろうか……
荷背負さんは、101人呼ぶことにしたらしい。会場の隅っこに別枠で用意することにしよう。意外なことに華族も財閥系も政治家一家も入っていた。まあ数うちゃ当たるかね。荷背負さんの条件は、趣味が海外旅行になていることだ。お金持ちの海外旅行はあまり荷背負さんが望んでいるものではないとは思うが、たぶんワイルドなことが書いてありそうな人を選んだのだろう。というか選ぶのが面倒だから適当にはじいて残りを呼ぶことにしたんだろうな。まあそれでもいいかな。
ほかのメンバーは結構簡単に決めてある。たぶん見るべきところだけみて、ぱっと分けてからいったのだろう。音居さんにいたっては「フィーリング」といいながらパラパラで決めていた。
まあ私は3人しか呼んでいないので何も言えまい。背が小さいのに胸がある子、生理的に無理なんだよね……
お見合い書は男性がもらっていいらしく、招待状を送った人の分は持って帰ってもらって、それ以外は自由とした。残ったものは鴻池屋敷に一定期間保管することにする。
持ってきてほしいものなどがあれば招待状に記載していくことにして、男性省の用意した日本製の印刷機で印刷をした。ノートパソコンを持ってきている人が多かったのが幸いである。
男性が作った招待状というだけで盗まれる可能性があるらしく、厳重に保管されて、簡易書留で送られることになった。この辺りは男性警護官の剣持さんたちにお任せしてある。
「今日はみなさんありがとうございました。では次は来週ですね。もし困ったことがあればすぐに連絡をしてください!」
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「二凧、ただいま」
「おかえりなさいませ学さんお疲れ様です。(こういうの漫画でありました。すごく夫婦っぽいです)」
なぜか顔を赤くしながら、小声で呟く二凧を呼び止めて紅音の部屋に来てもらうことにする。
「紅音は見ていたと思うけど、来週の日曜日のお見合いパーティーに私が呼ぶ三人を見てもらおうと思ってね」
「は、はい」
「ん……」
選んだメンバーは紅音と二凧に共有をした。二凧はどうやら3人中2人を見ると、渋い顔をしていた。
「こちらの華族家に連なる方はとても良いと思うのですけど、残りの2名の方はちょっと……」
「何か問題があるかな?正直に言うと、華族家は後1つあれば十分だと思っているし、力関係としてはそこまで悪くないでしょ?」
「あっいえ、そちらは全く問題ないのですが、一人は経歴が悪すぎますし、もう一人は……いえこちらに関しては文化の違いもあると思いますのでなんでもありません」
まあ、たしかに1人はちょっと文化的な差がありそうだよね。
「紅音はどう思う?」
「ん……主が決めた人物なので特に問題ない……少なくとも危険度はない……」
危険な人物が入っていなければ十分だろう。1人は経歴が悪いといっても中卒で働いているぐらいだ。別に犯罪歴があるとかではないので問題はないだろう。そもそも、中卒や高卒で働くことが多いと大和の統計データからみてもわかる通り、この世界で学歴がどの程度意味を持つのかがまだ、わかっていない以上、学歴などを関係なく呼んでみることは意味があるように思える。
「別に、学歴が低いからといって能力が低いとは限らないわけだからね。二凧レベルの子は元々そうはいないのだから、この子も話してみたら面白いかもしれない」
「それは、そうかもしれませんね……」
おそらくだが、重婚する場合の女性側の協力体制、もしくはやり取りの常識みたいなものがあり、こういう子だと困るのかもしれないね。そこは、おいおい聞いていくことにしようかな。
現状大和の本当の意味での一般人と話せていないから、こういう機会でもないとね。二凧は華族だし、紅音は幼い頃からの忍者だ。他の人は男性と会える可能性のある職業ばかりであった。
実に楽しみになってきた。




