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64話

 


 店から出て二人並び歩く。ふと横を見ればノースリーブの腕。夏希の白い肌が眩しい。綺麗な肌......いや、違う変な意味でなく。


 夏希って男っぽい性格とは対象的に、肌のケアとか髪の枝毛を気にしたりと、気を遣う女子っぽいところも結構あるんだよな。


(......フツーにモテそうなんだけどな。彼氏役とか要らなくないか?この容姿なら彼氏の一人や二人くらい簡単にできそうだけど)


「あの、さ」


 夏希がジロリとこちらを睨む。


「ん?」

「......いや、お前。すげー視線感じるんだけど」


 ......マジか。うわあ、恥ずかしい。


「こいつは失礼。てか珍しいね、夏希がスカート履いてるなんて」

「......わりいかよ」

「いや、似合ってるからさ」


 夏希さんの視線がきょろきょろ忙しない。髪をしきりにさわったりと、どうみても挙動不審だ。まあ、恥ずかしがってるんだよな。いや、どんかんとかってよく言われるけど、わかるよ、これは流石に。


「夏希はホント綺麗だよね。前も思ったけど、モデルさんと言っても遜色な......」


 その瞬間。――ドスッ、「痛ッ!!?」ケツに衝撃が走った。


「いい加減にしやがれ!!」


 ケツに夏希さんの蹴りが入った。けど優しい彼女、痛いとは言ったものの凄まじい衝撃ではあったが、痛みはほとんどなかった。


「ぼ、暴力反対ッ!」「うるせえ!わざとからかいやがって!!」


 顔真っ赤っか!!初めてみた夏希のこんな顔!!うるうるとした瞳。いつもは強気な鋭い目尻も、今はしゅんと下がっている......ように見える。可愛い。


「待って待って!!ほら僕、彼氏役でしょ!?」

「ああ!?」

「練習、練習だから!!」

「れ、練習......って」


 臨戦態勢の夏希。どうどう、と落ち着けというモーションで手を向ける。


「今から慣らしたほうがよくない?付け焼き刃の演技ってバレると思うんだよね」


 我ながら「よくもまあペラペラと適当なことを」、と思いながら必死に夏希の脅威から逃れるため落ち着かせようとする。高速で言い訳が頭の中を巡り、口が動いていた。


「ぐう......た、確かに、一理......あるか、くっ」


 ギリギリと歯軋りが聞こえてきそうな、我慢の表情。心の中の葛藤が伝わってくる。けど、これでもう殴られずに済む......さっきは蹴りだったけど。


 ホッする僕。しかし矢継ぎ早にイベントは展開される。


「......ん」


 と、夏希が手を差し出してきた。


「?」

「いや、ほら」


 くいくい、と手のひらをひらひらさせる。あ、え?お手?服従を誓わせるつもりか?もう調子にのるなよ、ってこと?


「あ、はい」と、彼女の手にお手をする僕。これで許されたのだろうか。改めて再度胸を撫で下ろす僕。しかしその直後その胸が張り裂けそうになった。


 ぎゅ、っと夏希が僕の手を握って歩き始めたのだ。


「!?、?、?」

「い、行くぞ」


「え、え、どこに......てか手、え?」


 きょどりすぎだろ僕。でもしかたないよね、何でか知らないけどいきなり手を繋がれたら、そりゃきょどりもするよね?


「いや、おまえが言ったんだろ。付け焼き刃の演技は見破られるって......だから練習しねえと」

「あ、ああ、そうだよね。練習しないと、練習」


 僕が言い出した事なのにテンパって一瞬で忘れてたわ。恥ずかしい。


 緊張してるのか微かに手が震えている。いつもは頼れるイケメンムーブな彼女。しかしその内面、本来の彼女はこういう繊細さを持つ乙女であることを改めて認識した。


(うん......よし、夏希が頑張ってるんだ。だったら)


「よし、うん......うん!」

「?、ど、どーした?」


「ちょっとゲーセンでも行こうか」

「え?」

「せっかくだからこのままデートしようよ。練習で」

「な、なるほど......え、初デートなんだけど、俺」

「え?そーなの?」

「あ、うん。だって俺、こんなんだし......あんま女として見られる事も少ねえから」

「まじか」


 意外すぎる。男っぽいとはいえかなりの美人だぞ、夏希。むしろ、だからか?綺麗すぎる故に近寄りがたい......ナンパされにくいとか?多分そうだろ、これ。


「お前はあれだよな、秋乃とたくさん遊んでんだろ?そりゃ慣れてるかもしんねーけど......」

「いや、なれてないし僕も初めてのデートなんですが」

「え、そーなの?」

「うん......」


 思い返せばデートっていうデートしてないんだよな。カラオケで歌ったりギター弾いたりとかしてるけどあれデートとは言い難いような気がする。唯一それっぽいのは学校帰り一緒に歩いて飲み物飲んだあの時くらいか?


 あ、あとお家デート?いやデートなのかあれ。デートがよくわからんくなってきた。


「まあいいや。練習だしな......じゃ、行こっか」

「うん。行こうか」


 こうして僕ら二人は、ゲーセンという名の戦場へと向かったのだった。


 てか、僕の手......汗、大丈夫か?めちゃくちゃ気になってきたんだが。






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