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52話

 

 ――ガチャ、と扉の開く音と共に「おじゃましまーす!って、何これ!?凄く良い匂いするんだけど!!」と深宙が元気よく入ってきた。


「おっ、お疲れ様!深宙も食べるか?パスタ」

「うん、たべるーっ!」


 パタパタと小走り気味に深宙は手を洗いに行く。通り過ぎてく彼女に夏希と冬花が声をかけた。


「......お疲れ様です、秋ちゃん」

「おつかれー、秋乃」


「お疲れ様〜!って、あれ?夏希ちゃんが居る!今日当番じゃなくない?」

「いちゃ悪いかよ。フツーに遊びに来たんだよ......てか、春と同じ事言っててウケるな」


 そりゃあ聞くでしょう。


「あはは、そっか」


 笑う深宙が席につき、冬花は夢中になってパスタを食べている。夏希も食事を終え飴を口に含み携帯を見ていた。

 ああ、良いな。こういうの。この四人で過ごす時はかけがえのない、大切な時間だと改めて思う。


 ずっと続いてほしい日々。彼女らの笑顔がこの先どこまでも。


 皆が食べ終わり、冷まさした残りのパスタをタッパーに入れる。


「冬花。これ明日の朝か昼用に。飽きて嫌だったら(妹に)持って帰るけど、どうする」

「たべる!」


 グッと親指を立てウィンクする冬花。こいつアイドルになれんじゃないのってくらい可愛いな。

 隣で洗い物をしてくれている夏希とその食器を拭いてくれている深宙。二人は仲良く談笑している。


 二人とも良いお嫁さんになりそうだ。うんうん。ってか、練習前にこんなことさせちゃって悪いな。と、そんなことを考えていると「あ、そーだ。春くん」と呼ばれた。


「ん?どうしたの深宙」

「なんかね、紅さんからメッセージがちょこちょこきてて......」


 と、洗い物が終わり深宙はエプロンで手を拭きながら携帯を取りにパタパタと歩く。


「これこれ」

「?」


 深宙の携帯を三人で覗く。するとそこには伊織から差し出されたメッセージが表示されていた。その文面は――


『今日は大阪のイベントに来てるわ!あなた達、今度お土産を持っていくから楽しみにしてなさい!そういえば嫌いなものはあるかしら?今度教えてちょうだい!』


『ここの喫茶店のミルフィーユは絶品よ!今度皆で食べにきましょう!』


『五ツ星ホテル、カミノト!夜景を観ながらの食事は日々の疲れを癒やしてくれるわ!今度一緒にいくわよ!』


 と、まあこんな感じのメッセージが大量に深宙に送られてきていた。ちなみにどれも自撮りが添付されている。僕はふと疑問がわいたので深宙に聞いてみた。


「これ、自分のブログかなんかに投稿してると勘違いしてない?」


 僕が聞くと夏希と冬花が「「あー」」とシンクロしていた。


「いやいや、流石にないと思うよ。だってあたし返事してるし。間違えてたらその時点で止まると思うもん」

「まあ、確かにね」


 いやだって......。


「......秋ちゃんは、あれですか?紅さんと仲良しになったんですか、これ」

「いやあ、どうかな?紅さん最初からこのノリできてるからね。あはは、は」


 若干乾いた笑いをする深宙。すると夏希が攻撃力高めな言葉を吐いた。


「友達いねえのか、この人」


「ぐはあっ!!」「......かはっ、がぁ!?」


「「!?」」


 僕と冬花が心的ダメージを受けてしまう。夏希と深宙がその反応を見て驚き、ビクッと反応した。


「ま、まあ、敵対するより全然良いよね。仲良くしたいな、あたしは」

「いや、まあな。俺も嫌いじゃ無いし」

「......これ、お土産美味しそうですね。仲良くしましょう」


 一人下心がだだ漏れになってるヤツいるけど、まあ僕も伊織の事は嫌いじゃないしな。てかとても他人とは思えない。友達いない同士仲良くしようか、伊織。


「......まあ、春ちゃんは渡せませんが」


 ぼそりと冬花が言う。


「ああ。まあ、それとこれとは話しが別ってヤツだな。全力で潰す」

「ね。必ず、あたし達が勝つ......練習行こっか」


「うん」



 ◇◆◇◆◇◆



 ――砂が落ちるよう、流れるように時は過ぎる。


 赤名に誘われたイベントライブ。その日があと三日後と迫っていた。


 夜、僕は自室でギターを抱えていた。皆と冬花の家で食事をしていらい僕は触れる時は必ずギターを持つことを心がけていた。


(......んー)


 誰も居ないはずの部屋。しかし、僕を注視する視線を感じる。だがおかしい。この視線、十中八九刹那だと思うのだが、気配の消し方が甘い。


 あいつが本気なら僕なんかに悟られるはずもない。が、けれど居ることがわかるだけで、彼女が何処に潜んでいるのかはわからない。そこは流石というべきか。


(......部屋に入ったときベッドの下は見たし、部屋の壁という壁は触って確認した......)


 他に隠れられる場所......どこだ?窓の外も......居ないし。


「......刹那ちゃん、降参だ。参った、出てきてくれ」


 その時、携帯が震えた。みれば差出人は刹那。


『ならば我の願いをききたまえ、兄よ』


 いやどういう状況だってばよ。なんか監視されてるみたいで落ち着かないから、とっとと降参しとくか。狙いは冷凍庫のカリカリ君クリームチーズ味だろ。


「わかった!降参する!お前の願いも叶えてやる!だから出てきてください、お願いします」


 ――ボスンッ!!


 と後ろのベッドで音がした。


(......え、嘘。まさか、天井......に?)


 刹那は驚愕する僕と目が合うと、親指を立てウィンクをした。いや可愛いけども......怖い。


「どーよ、びっくりした?おにーちゃん」

「......いや、カブトムシかよ。おまえ」







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