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第96話『呪いの勇者とカヤモリ・アキ』


 「主人様、あやつ頭が妙じゃぞ? 毛が生えておらぬ、ツルツルじゃ! 知っておるぞ、あれは俗に言うハゲって奴なんじゃろ? 何で毛が無いんじゃ、ハゲはマズイじゃろう!」


 「はっ……。今、ハゲって、言ったのか……!?」


 どうして、ウチのブレッドは空気読めないんだよ。


 馬鹿すぎるだろ!


 何で煽っちゃうの? 絶対駄目だよね状況考えろ!


 ブレッドは、精霊殺しヒュンレイに指を刺してゲラゲラと笑い転げているのです。そんなもの、地獄絵図でしかありませんでした。


 例え本当のことだとしても、言うタイミングは今ではないんだ。俺だって、気になって仕方がなかったんだぞ。だって、綺麗にハゲあがってるんだからな。


 ヤベェよ、マジでどうしよう。精霊殺しさんが茹でタコみたいに真っ赤になってんじゃねぇか。下手な戦闘は、今は避けなきゃならないってのに……。


 俺は敵ながら、出来る限りのフォローをすることにした。


 「ブレッドぉぉー! ハゲにハゲって言ったら駄目に決まってんだろうが! ハゲは繊細なんだぞ! 激しいだとか眩しいとか言うだけで過剰に反応してしまうんだ! 人の気持ち考えろ!」


 「カケルくん、フォローになってないよ。二人してハゲって言ってたら、ハゲてる人に失礼になっちゃう」


 「あ、もう駄目だぁー! 綾香までハゲって言っちゃったよ! もうどうしようもねぇよ、このハゲはよぉ!」


 俺のフォローは、失敗どころか更に傷口を広げてしまって、修復不可能なまでになっていた。


 ま、いいか。どうせ敵だしな。


 どちらにしたって、戦わなきゃならない相手だ。疲労が溜まっている状況で戦闘なんてしたかないが、ヒヨッてたって仕方ない。


 精霊殺しからしたら、今がヒスイを破壊する絶好の好機なのだから何かしら仕掛けてるんだろう。返り討ちにしてやるさ、俺はヒスイのマスターだからな。


 「さ、散々馬鹿にしよって、貴様達は死にたがりらしい。殺してやるから覚悟しろ!」


 「けっ! 何ムキになってんだよ。テメェが仕掛けた喧嘩だろ? 最後まで責任持てよ。面倒だから一撃で仕留めさせて貰うからなぁー! マリエル、詠唱頼んだぜ!」


 「無理しないで下さいよカケルさん。まだ全然傷が癒えてないんですからね!」


 【スロー・ギアクル】


 ーーブンッ!!


 神速が如く、すぐさま精霊殺しの背後を取り、俺は諸刃の剣を振り下ろした。だけど、今までに感じた事が無い違和感を俺は感じる事となる。


 |(諸刃の剣が振り切れない!?)


 精霊殺しの体目掛けて振り下ろした諸刃の剣は、体に触れることなく、なんたら反発しているようで、傷つけまいとして剣速を落としたのだった。


 幸いにも、代償が払われてないのを見るに、諸刃の剣を振ったと認識されていないらしい。初めてのことだったんだ。戸惑いの方が勝ってしまい、咄嗟に身を引いて呆然とする他なかった。


 「やはりか、やはりアイツの所有物を持つ私を傷つけられないか。全く、アイツは出来損ないの武器を造ったものだ。主人がそんなに可愛いのだろうよ」


 「ーーお前、何を知っているんだ?」


 「そうだな。理由も知らぬまま殺されるのも不憫だろう。ならば教えてやる。そのマギア・ドールを造った者も、お前の様なイレギュラーをこの世界に召喚したのも、まともに使えもしない武器を造ったのも、みんな同一人物、名をカヤモリ・アキ。私の宿敵だよ」


 |(カヤモリ・アキ……。 だと!?)


 どうして、このタイミングで先輩の名が出てくるのか、俺は心底分からなかった。彼女は、俺が死なせてしまったはずなんだ。


 その彼女は、どうしてこの異世界に? 


 何故、俺を召喚した?


 理由なんてのは、とりあえずどうだっていいよな。そうだと言うなら、大体のことに少しずつ辻褄が合っていく。


 やけに、俺のことに詳しい前マスターとやらもそうだ。先輩がマギア・ドール、ヒスイを造ったのなら俺のことなんて手を取るように分かるだろう。


 思考の沼に俺は奈落の果てへ落ちそうになってしまいそうになったんだけど……。


 ーーチュ……。 ーーヌプッ……。


 熱いキス(かなり深い)が俺を現実に引き戻してくれたんだ。冷静さを欠いていただろうからな。本当に助かったよ。


 「駄目だよカケル。今は、考えちゃダメ。今しなきゃいけないのは、戦うことでもない。疑問を持つことでもない。万全を期して、精霊殺しからヒスイさんを護る為にしなきゃいけない事を果たさなきゃ」


 「そう、だったよな。そんなことしている場合じゃなかった。ありがとうエリィ、どうにか正気を保つことが出来そうだぜ」


 諸刃の剣の刃が精霊殺しに届かないとらなれば、安全を確保する為に一旦引かなきゃならねぇ。変に硬意地張ってると、俺も智治との戦闘でボロボロだ。


 まともに戦えるはずもないし、他の勇者にだって被害を受けてしまうだろう。智治と槍の勇者、一樹はどうでもいいけど、綾香や魔術師の桜には迷惑かけらんねぇ。


 かと言って逃げきれんのか?


 いや、違うな。


 誰が、とかじゃねぇ。俺なんだよ、俺にしかこの局面を突破することなんて出来やしねぇんだ。やってやるさ、相当難しいことを言ってるのなんて百も承知だけどね。


 ーーあのハゲに勝つ為に、最善の手で、俺達はこの戦闘から脱出してみせる!!

 

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