表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
92/128

第92話『呪いの勇者の聖衣と勇者の雷撃』


 「エリクシアお嬢様、僕に唾液を頂けないでしょうか!」


 「……やはり、変態だったのですねアマツ・カケル。唾液を欲しがるなんて異常としか思えません」


 「だから違げぇって言ってんだろ! どうしても必要なんだ!」


 説明してやるのも面倒だが、誤解を解く為にもやっておかなきゃならいよな。智治と決闘をするに当たって、どうしてもエリクシアの唾液がなくてはならないのだから。


 仲間の力を一切借りることの出来ない状況だけあって、最高の準備をしておかなきゃ智治といえど敗北に繋がってしまう。 


 今回ばかりは、絶対に負けちゃならねぇ戦いだ。相当苦しい戦況にもなるだろうし、下手な心配だってかけることは許されねぇよ。


 ヒスイにざっくりとした説明をしてやって、何とか納得はして貰ったのだけど、これは驚いてんのか? よく分からんと、引きつっている。すんげぇ顔つきにヒスイはなっていた。


 「またあの戦い方をするのカケル? あれは、本当に危ないと思うんだけどね」


 「今回は、仕方ないよな。誰かの力を借りる訳にもいかないし、きっと、俺らの監視を命じたギルド本部のお偉いさん達も高みの見物にくるだろう。それで、不正なんてしたら怪しまれるどころじゃ済まねぇ。それこそ、闇堕ちしたって言われるだろうよ」


 「苦しい展開が続くね。分かった、だったら私はこれぐらいしかカケルにしてあげられないからね。とっておきのを出してあげる」


 エリクシアの言う通りだ。無理を承知で、また無茶苦茶なことをしようってんだから苦しい限りだよ。


 ヒスイには、黙っておこう。絶対に止めてくるだろうし、この状況で邪魔されるのも困る。ひっそりと、ヒスイの目を誤魔化して、エリクシアから超高純度の猛毒を試験管に詰め込み、今夜の仕込みは無事に完了した。


 「もう俺は寝るからな! みんなも早く寝ろよ、明日は大変なんだから。アクアは、明日の決闘の準備があるんだろ? 早くギルドに向かっておけよ」


 「カケルさんって、ホント不幸に好かれていますよね……。でも、あなたは逆境さえいとも容易く跳ね除けて来た。だから、今回も宜しくお願いしますよ?」


 「アクアに言われるとなんかむず痒いな。罵倒ぐらいしやがれよ」


 「……変態」


 そう言う意味で言った訳じゃないんだけどな。ドMみたいじゃないか。反論なんか面倒だから、いちいちしてやらねぇことにしよう。決戦前夜、アクアを送りだして、俺達は明日に備え就寝することにした。


♦︎♦︎♦︎♦︎


 「あのーぅ、やっぱり帰っていいですか? 約束の時間に来たのはいいんだけど、観客が多過ぎて空気に呑まれそうなんだが。修練場じゃなかったのかよ、処刑場みたいな作りしてますよアクアさん。夜通し何したらそうなるんだよ!」


 「仕方ないでしょ! 上の命令なんだから! 今更、弱気になってどうするの? ヒスイさん、護るんでしょ?」


 「……当たり前だ。言わせんなよ」


 そうとだけ俺はアクアに告げて、智治が待つ修練場に足を運ぶ事にした。みんなの想いは、全て繋がっている。観客席で見守ってくれ。


 ーーこの腐った茶番劇は、直ぐに終わらせるからよ。


 修練場のド真ん中で俺と智治は、決闘の為に顔を合わせている。睨み合いは勿論していたんだけど、智治の無駄口が多すぎて、正直気色が悪かった。さっさと説き伏せて楽になりてぇよ……。そう簡単には、許してくれなさそうだがな。


 「カケル、闇堕ちした勇者なんかこの世界に要らない! 貴様は、俺が狩る!」


 「前置きが長げぇんだよ、頭お花畑か? 来るならさっさと来やがれ。こっちは暇じゃねぇーんだ」


 「そうか、ならば開幕速攻で決めさせて貰うぞ!」


 戦闘が始まったらしい。だけど、智治だって腐っても勇者なんだよなぁ……。何で神とやらは、こんな頭のおかしな奴に力を与えたんだろう。


 何してくるかもサッパリだし、丁寧に行動を観察して一つ一つを捌いていくとしよう。前みたく、短調な攻撃なら嬉しいんだけどね。流石に学習していると信じたい。


 「上級ソードスキル、最大出力だぁー!!」


 【ライトニング・ソード】


 ーーーーバチチチチッ!!


 「な、何だとぉー!!」


 そんなに驚くことじゃねぇーけどな。首狩りの頃から少したりとも進歩してない斬撃だった。それで、よく綾香達を護れていたなと呆れてしまう始末だよ。


 いや、違うな。綾香達に智治が助けられてたんだ。馬鹿の一つ覚えの斬撃が通る筈もない。剣から流れていた電撃は、次第に力を無くし勢いを失っていた。


 「何だそのふざけた布っ切れは! 何で俺のライトニング・ソードが効いていない!? 勇者の上級スキルだぞ! こんなことはあり得ない!」


 「あり得ないも何もこれが現実だろ? 悪いな、俺は臨界してるんだ。この聖衣は、聖魔法を一切受け付けない。勇者相手なら最強の盾なんだよ!」


 「くっそ! 諸刃の剣に聖なる衣だと!? 本当にカケルは勇者失格だな。邪心に心でも捧げたらしい。だけど、そんな者には決して屈しない! 俺は勇者だぁー!」


 渾身の一撃を最も容易く受け止めてしまったせいで、またもや智治の脳みそがイカれちまったらしい。半狂乱の上、大層御立腹だ。


 とても正気とは思えないけど、こんな状態で戦いになるんかねぇ……。気にしてもどうしようもなさそうだと、割り切ってみることにした。その方がきっといい良い。


 こっから始めてやるよ。俺はどうしようもなくお前にムカついているからな。全ての怒りを解き放ってやろう。


 ーー諸刃の剣よ、あの馬鹿の頭に強烈な一撃を死なない程度で、ブチ込んでくれ!!


お読みいただき、ありがとうございました!


少しでも面白い! 続きが読みたい! と思っていただけたら、

『ブックマーク』と広告下の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にしていただけると幸いです!


評価ボタンは、モチベーションに繋がりますので、何卒応援よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

↑の☆☆☆☆☆を押して頂けると執筆の励みになります!!!

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ