表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
91/128

第91話『呪いの勇者とヒスイの想い』


 「いい加減にしなよ智治! カケル君にだって、きっと匿う訳があるんだよ」


 「綾香は黙ってろ! 皆んなで決めたことじゃないか。闇に堕ちた勇者のカケルは、俺達が始末つけなきゃならない」


 ーーーー闇堕ちした……勇者……ねぇ。


 ーーーーえ? 俺なんですか!?


 ありもしないホラ話を誰かに吹き込まれているらしい。恐らくは、精霊殺しなんだろうけどな。殺戮兵器だの、匿っているだの、勇者を手駒にして有利な状況を作ろうとしてるんだろう。


 ますます、キナ臭い話しになって来たもんだよ。せっかく綾香が話し合おうって言ってんのに智治とその他御一行は、聞く耳すら持ち合わせていないんだから仕方がねぇ。


 大人しく、ヒスイを引き渡すなんて馬鹿な真似だけはしちゃいけねぇんだ。部が悪い喧嘩だが、これには素直に乗るしかないんだろう。前マスターのことだって、俺はまだ話しを聞いちゃいねぇんだから。


 「俺はカケルを許さない。どうせ、俺達に逆恨みして闇堕ちしたんだろ? 俺はお前を殺し、そのマギア・ドールを破壊する! 一騎討ちで決着をつけよう。まさか逃げないよな?」


 「挑発に乗ってはなりませんアマツ・カケル。一人では戦闘が出来ないのでしょう? 勇者様に見つかってしまったのなら仕方有りません。大人しく、彼らに破壊されます」


 なんだ、人形じゃなかったのかよ。こんなにも人間に気を使えるだなんてな。正直驚いたぜ。心配する心だって立派な感情だ。その気持ちは、絶対に無駄になんてしてやらない。


 もう決めちまったからな。ヒスイを護ること、前マスターの気持ちとやらの真相に辿り着かなきゃならないこと、そして何よりも、ヒスイの悲しそうな顔を晴らしてやりたいってな!


 「誰が戦いたくないだなんて言ったんだよ。ヒスイは下がってろ。絶対に護る、これは俺が決めたことだ。最後まで責任取ってやらぁ」


 「死にますよアマツ・カケル。勇者相手に一人でなんて勝てっこない。さっさと私なんか見捨て下さい。人間は、命あってこそなんですから」


 ーーフフッ……。


 急に笑いだしたのは、エリクシアだった。面白おかしかったらしいな。俺が負ける前提で話しをしていた、ヒスイに向けての笑みだった訳なんだけどよ。マリエルやアリアドネ、アクアにブレッドまでも釣られて笑ってしまっていた。


 状況を理解出来ないヒスイにエリクシアは、優しく言葉をかけていた。結局のところ、その言葉に尽きる。俺達が常に言ってきた言葉だ。


 「護りたいものは、死んでも護り通す。それがカケルであり、私達なのよヒスイちゃん。護りたい人がいる時、カケルは常識じゃ測れない力を発揮する。だから、カケルは絶対に負けないんだ」


 「や、やめろよエリィ……。みんなして笑いやがって、恥ずかしいじゃねぇーか! んまぁ、そういう事だヒスイ。俺に任せとけ」


 「私には……分かりません。分かりませんが……信じて良いのですね?」

 

 良いに決まってんだよ。こんな茶番は、今すぐにでも終わらせなきゃいけない。どうせ、智治に関してはまだ因縁がある。


 仲間を侮辱したことから始まったっけな。おまけに性格はクズだし、上から目線が鼻につく。ブレッドを虐めてやがってた上に、実力を見誤って冥界なんかにも行く馬鹿だ。


 他の連中に思い入れはないから別に構わないが、最後まで必死になって戦ってた綾香に対して罵倒するとは、いい身分だよな勇者って奴はよ。


 ーー絶対にブチのめす!!


 俺は智治に邪気を放ち、決意をあらわにして立ち上がった。


 「悪に満ち溢れているなカケル。今日のところは帰ってやるよ。仲間との最後の時間を楽しむといい。明日の正午だ、エルムーアの修練場にて貴様を断罪する。覚悟しておけよ!」


 「脅してるつもりか? 膝が震えてるぜ? 智治こそ逃げんなよ。今度ばかりは、もう手加減しねぇからな。勇者だとか知ったこっちゃねぇ。息の根、止めてやるさ」

 

 邪険に俺達を睨む勇者御一行と、最後まで申し訳なさそうに綾香がペコリと頭を下げて、屋敷からそそくさと退散していきやがった訳なんだが……。


 どうしよう、ついついノリで一騎討ちを受けちゃったんだけど俺、結構マズイんじゃないか!? 


 智治如きに遅れは取らないだろうけど、憂鬱にもなるぜ。


 だけど、しゃーねぇーか。もうヒスイを護るって決めちまったんだからよ。智治に関しては、一回ぐらい半殺し程度にしておかないと馬鹿が治りそうにないし、遅かれ早かれこうなる運命だったんだ。


 ヒスイに手出しされなかっただけまだマシだと自分に言い聞かせることで、今日の厄介事は忘れることにしようと俺は心に決めたのです。


 「アマツ・カケルは、本当に勇者様に勝てるのですか?」


 「えぇ、断言できますわ。カケル様は、普段ぶっきらぼうで少し変態ですけど、ここぞって時は最強になるんですよ? かっこよすぎるので惚れないで下さいね?」


 「惚れる……? 私がですか? あり得ません。私はドールです。恋心だってありはしないのですよ」


 「アリア! 何、ヒスイとコソコソ話してんだ! 俺は変態じゃねぇぞ!」


 全く、何話したんだか知らないが、悪口だけは聞こえて来やがった。いい加減、変態扱いをするのはやめてくれ。だけど、今日ぐらいなら許してやってもいいだろう。


 エリクシアやアクア、アリアドネにブレッドまでいるこの屋敷で目一杯、人の心に触れていって欲しいからよ。


 ーーヒスイには、自分が納得のいく感情を見つけ出して欲しい。前マスターとやらも、そう望んでいるといいんだけどな。

お読みいただき、ありがとうございました!


少しでも面白い! 続きが読みたい! と思っていただけたら、

『ブックマーク』と広告下の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にしていただけると幸いです!


評価ボタンは、モチベーションに繋がりますので、何卒応援よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

↑の☆☆☆☆☆を押して頂けると執筆の励みになります!!!

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ