第86話『呪いの勇者と再戦の誓い』
「世界の命運は、私達と魔王が握っているってこと何だろうね。どうする、カケル?」
「嫌なんですけどぉー! 何で俺がこんな目に遭わなきゃならないんだ! 燃えてくれよ設計図ぅー! そうだ、エリィ毒で紙を溶かしたり出来ないか?」
「無理だよカケル。燃えない時点で毒を使っても意味ないよ……」
呆れられてしまいました。そんなの分かってるさ。現実を見たくなかっただけだからな。ただ、俺は女の子を救ってやりたかっただけなんです。
最初は、お助け稼業なんて面倒で、仲間と共にゆったりと冒険でもしながら暮らしていきたかっただけなんだ。ことごとく、悪い方ばかりに事が発展している。
俺の未来設計は、どこから崩れ去ってしまったんだろう。リッチー村からだろうか、それとも聖堂教会のせいだろうか……。だけど、結局はこうなる運命だったのかも知れない。
ーー過去の因縁、魔王こと冴島とこの異世界で再会してしまったんだからよ。
「もぉ〜、茶番は終わりかぁ〜? 俺とお前、どちらかが死なねぇ限りサンダー・ボルトの設計図は、どうにもならないぜぇ〜!」
「けっ! 尻尾巻いて冥界から逃げた癖に何言ってんだよ。死にたくなったのか? 自殺志願者までは、俺も面倒見切れないんだがな。」
「確かにそうだな。今は、だけどなぁ〜!!」
意味深な事を魔王こと冴島は、口走りやがった。何か策があるって言いたいらしい。確かに、魔王と俺とでは、今のところ決定的な力の差があることぐらい知ってる筈だ。
俺達の圧倒的な実力で、魔王を敗走にまで追い詰めていた程であり、冥界から今までだってそんなに時間も経っていない。
何を根拠に自信があるのかは分からないが、戦闘はもう避けられないだろう。暫くは、魔王の出方を伺うことにした。
「カケルさん! 魔王の笑い方がキモいです! あれも変態の類いですか?」
「マリエルは、誰でもかれでも変態にしないと気が済まないのか! アイツは、超弩級の変態だ。ネッチョリとした喋り方に舐め回す様な視線! あの不愉快極まりない笑みは、本物の変態しか出来ん! よって、魔王が正真正銘の変態であり、俺は断じて変態じゃないからな!」
俺の熱弁により、マリエルが凄まじいぐらいの感動をしていた。ボロクソにディスられた魔王が、口をクチャらせており大変ご立腹だったのだけれどね。
だってそうだろ? 初めて会った時ですら不快に感じたんだ。いつ見ても慣れそうにないぜ。
「全くよぉ〜、貴様らは口が減らねぇ〜よなぁ〜!! 俺はお前らみたいなのを殺すのが、気持ちよくてまたらねぇ〜んだよ。楽しみは、最後までとっておくさ。近い将来、この設計図を賭けて魔王全軍は、エルムーアに襲撃するぅ〜! 今は挨拶だけにしといてやるさぁ〜」
「凝りねぇ野郎だな、サイコパスがよ。いつでも来やがれ、テメェの首は俺が必ず切り落とす! 次に会った時が決着の時だ、覚悟しやがれ」
「いいツラしてんじゃねぇ〜かぁ! とても昔の奴と同一人物とは思えねぇ〜よぉ〜。んじゃ、俺はこれからの戦争の準備でもしておくさぁ〜!」
「馬鹿め! 生かしておくかぉー! ブレッド、黒炎を放射しろ!」
「よっしゃ、行くぞ! わらわの最大火力で葬ってやるわ」
【ブラック・エンペスト】
手の平から放たれる業火の竜を出現させて、対象である魔王へ盛大に激突させる。その火力は凄まじく、とてもじゃないが、俺の聖衣であっても防ぎきるのが難しいと感じさせる程の威力であった。
ブレッドが敵側じゃなくて、心底良かったと思います。帰ったら良くやったと褒めてやりたい。業火が鎮火した後、焼けた大地には何も残っていなかった。
まぁ、どうせ死んじゃいないんだろうけどな。しぶとく逃げたに違いない。
「んー? わらわは魔王を殺してしまったかの? 手ごたえが無さ過ぎたのじゃが」
「どうせ、死んでねぇよ。約束だけは、これまで護り続けてた男だからな」
約束だけは、これまで破った事が無いのは本当だ。それが、犯行予告であろうと、殺人であろうとな。
魔王との最終決戦まで控えてるなんて不幸なんだよ……。冥界の時に、しっかり殺しておくべきだったと後悔するしかねぇよな。
近い将来と、魔王は言った。どんな奥の手を用意するのか知らねぇけど、俺達なら絶対に負けないし、設計図だって俺が手に入れてどこかに封印してやるさ。
聖堂教会との大戦争は、俺達の完全勝利で終決したが、更なる問題を抱えたまま、魔王に逃走を許してしまった。
「「ーー絶対に殺す!!」」
ーー魔王を生かしておく訳にはいかねぇし、全身全霊を持って、このエルムーアを死守してやるさ。
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