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第82話『呪いの勇者と幻想教会カルドラド』


 「けっ! 神にでもなったつもりか? 本物の神ってのは、優しくて、涙脆い。人間が大好きでよ、人間を第一に考える。この世界を滅ぼそうなんて、絶対に思わねぇんだよ!」


 「あの忌々しい女神のことを言っておるのか? あれは実に良かった。結果的に死んでくれたのだからな。人間などに魅入られた、哀れな女神よ。おかげで、我の計画が遂行出来るだからな。無駄死にしなくて良かったのぉ」


 盾の女神アテネが、お前なんかの為に死んだ訳ねぇだろ。あんなに心が美しいかったんだ。女神に恥じぬ美貌を持ち、人の為に戦い続けていたんだからよ。


 死んでくれてよかっただぁ? 冗談じゃない!


 聖堂教会の奴らには、毎度反吐が出そうだったが、こいつに関しては別格だな。コイツがいるから、リッチーが苦しめられ、アリアドネやアクア、アテネだって辛い思いをしてきたんだ。


 サンダーボルトの設計図だとか、魔王と手を組むだとか、そんなのはもうどうだっていい。俺は、この教祖を殺さなきゃならないんだ。


 「お前が! 人間を、女神を、笑うんじゃねぇー! そんなに憎いかこの世界がよ。俺も最初は憎かった。追放され、虐げられてよ、辛かったさ。だけど、それ以上の出会いがあったんだ。護るもんも、増えていくばかりだよ。お前のエゴで、この世界を滅ぼす訳にはいかねぇんだよぉー!」


 「……ふぅん、下等の勇者はよく喋る。エゴ? 違うな。我が神であり、聖堂教会の教祖である。邪魔な者は殺す。我にはその資格があるのだよ。今回は、流石に度が過ぎたな呪いの勇者。貴様らは、この場で殺し晒し首にする」


 本気で自分が、神だとでも思ってんのかあのジジイ。まぁ、そんなのはどうでもいいさ。アイツの生い立ちや、何を考えて聖堂教会の教祖になったのか。


 そこまでに至る、何かがあったのは間違いないんだろう。


 興味ねぇーけどな。派手に俺の大事なもん傷つけやがったんだあの教祖はよ。イカれたペテン師は、俺が絶対に殺してやるんだから。


 「晒し首? そいつぁ都合がいいな。俺達も丁度、お前の首が欲しかったところだ。神と名乗る精神異常者には、神を良く知る俺達が、綺麗に始末してやるよ!」


 「行こうカケル。あの男さえ倒せば、この戦争は終わるから」


 「そうだよな。アテネだって、それを望んじゃいないだろうよ。手短に行く! 全力を尽くして教祖を討ち取るぞ!」


 掛け声と共にまずは、ブレッドが教祖に攻撃を仕掛ける。


 【黒竜化】により、大きな口から業火を放ち、教祖から視界を奪い、徐々に体力を減らしてしまおうと思ったのだが……。


 教祖の方が、一枚上手だったようだ。どんな手品で、ブレッドの業火を打ち消したのか知らないが、最も簡単に打ち消しやがった。


 俺を除いて、戦闘力には自信のあるブレッドの攻撃を防ぐなんて只事じゃない。さして、教祖がさほど強敵って訳でも無いし謎が深まるばかりである。


 「主人様、なんかおかしいのじゃ! 攻撃が全く当たらないぞ!」


 「ブレッドは下がれ! 少し様子を見よう。変なペテンを使っる可能性がある」


 「ペテンとは失敬な。これも【神に与えられた技】である。我は神なり。神に相応しい力が、我にはあるのだよ」


 別に俺は、お前を神だとは思わないけど、そう自信つける程のスキルがあるのは間違いない。しかも、ブレッドの業火でさえ、打ち消す程のスキルをこの一瞬で使っているだからな。


 (もしかして、竜族に耐性がある何かを行使したのか!?)


 真相なんて分からないけど、それ以上にただならない事態が、俺達を襲うことになる。その光景に絶句する他に無かった。


 「お披露目と行きましょう。我の最高にして最強の神器、その起動を見届けよ!」


 【亡き神の幻想教会】


 ーードドドド! ーードドドド!


 地鳴りが始まり、あっという間によく分からん力で幻想の教会を顕現させていた。是が非でも、俺達を粛正と言う名の殺しをする為に本気を出したんだと伺える程だ。


 何だこれ、何だこれ、何だこれ、何だこれ!!


 教会の顕現が終わると、女神の石像が現れる。その石像は、目を紅く光らせて、ただ俺達を睨みつけているみたいだった。


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