第76話『呪いの勇者と新たな約束』
「……っん// ちょっと! いつまでやってるんですか!」
「はぁ!? アクアがやって来たんだろうが! 急に突き飛ばしやがって痛てぇだろ!」
平然を装うのにも少し無理がある。さっきまで、熱烈にキスをしていたからな。アクアはスタイルだっていいし、何よりも胸が大きい。
興奮さえ抑えられずに、そこには、あのおっぱいに手を出そうとした男の姿がいた。というか、それは俺自身だった。
「カケルさーん、まだ話し終わんないんですかぁー? もう退屈何ですけどー」
マリエルの遠く響く声で、俺は冷静さを取り戻す。本当に助かったよ。このままなら、アクアに手を出してたかもしれないからな。
|(何考えてるんだこの女! 生殺しにしやがって!)
力じゃ敵わないから、聖堂教会と戦争をするなと圧をかけたくて、このようなことをしたんだろうな。男の純粋な気持ちを利用するなんて鬼畜な女ですね。
「マリエルー。もー少しかかりそうだー。テキトーに遊んでてくれー」
この状況を皆んなに見られなくて、良かったと心底思ったよ。万が一、エリクシア達に見られてしまったら、俺は間違いなく血祭りに遭っていただろう。
今考えただけでもゾッとする。マリエルに誤魔化しも兼ねて返事をしてやり、アクアと本題でもある聖堂教会の件について、再度話しをすることにした。
「何だよ! キスまでしてそこまで聖堂教会との戦争を止めたいのか? 舌まで絡ませやがって、頭どうにかなっちゃいそうだったぞ!」
「一々、言葉にしないでください! ったく……。デリカシーが無いんだから。聖堂教会と戦争は、絶対に辞めてください。カケルさん達は、少数のパーティですからね。戦争をするってなったら死んでしまいますよ? 上級魔術師の軍勢が、聖堂教会側は十万もいるんですから」
「はぁ!? 十万って……。流石にヤバいな。それって結構強かったりします?」
「教会幹部より、少し弱いぐらいが十万人程度ですね。いくらカケルさん達が強いからって無理があります。今回ばかりは、諦めてください」
本気でやり合ったら、ジリ貧になるのなんて見え見えだ。戦力が十万人なんて聞いてねぇよ。うちのパーティ、五人しかいないんですけど……。まぁ、我がまま言ったって仕方ないか。
「勝つ必要なんてないだろ。教祖様の大層偉い首一つと、魔導兵器の設計図さえどうにかなればいいんだからな」
「出来るっていうの? この街エルムーアを防衛しながら敵兵の猛攻を回避し、教祖様の首を討ち取り、設計図の奪還なんて至難の技よ。馬鹿げてるとしか思えないし、命がいくつあっても足りないわ」
「俺達が出来ないとでも? 笑わせんなよ、その程度のことなら今までやって来たさ。大丈夫、俺は大切なもんが増えすぎちまったからな。必ず護り通すぜ、信じて待ってろよ」
俺はこの街が大好きだ。ニーナだっているし、ララや俺が護りたくてやってきたこと、その全てが詰まっている大事な場所だから。
ここで逃げたら盾の女神、アテネ様に笑われてしまうだろし失望するだろうよ。負けらんねぇし、この局面さえどうにかなれば、後は流れるように事態が好転するのは分かってる。
諸刃の剣と仲間が四人、それだけで充分だろう。聖堂教会や魔王の好き勝手にさせる訳にはいかねぇ。
ーー眼前の敵をブッ飛ばす。
俺達にならそれが出来る筈だから。
「はぁ……。言うことを聞かないんだから。分かりました。けど、約束して下さい。必ず生きて帰って来て」
「当たり前だろ。魔王との因縁もあるからな。それと、皆んなを残して死ねないしさ。後、仇取って来ないといけないな。アクアを痛めつけた野郎だけは絶対に許せねぇ」
それだけ言って、俺は部屋を退出した。下でエリクシア達も退屈してるだろうしな。早く聖堂教会を滅ぼさないと魔王が手を組んだ時、この世界が終焉に向かってしまうだろう。
ーーバタンッ!
「行っちゃったか……。馬鹿なんだから。でも、そんなカケルさんのこと、私は好きなのよね……」
これから始まる、大戦争を前にしてエリクシア達と打ち合わせをしておこう。過酷な戦いになりそうだからな。
ーー生きて必ず帰る。その約束を護る為に。
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