第75話『呪いの勇者と雪の冷たさ』
「設計図を手に入れた魔王の行方が分からないのよね……。このままだと、更なる悲劇が起こるわよ」
「あぁ! 魔王なら冥界に居たぞ?」
「……はぁ!? どういうこと? まさか、魔導列車の行き先に居たってことよね!」
「まぁ、そうなんだけどさ。ブッ飛ばしたら逃げられた」
「ーー魔王をブッ飛ばしたですって!?」
病み上がりの癖によく喋るじゃねぇかよ。アクアの頭の中は、きっと混乱してるんだろうな。出来れば討伐して起きたかったけど、魔導兵器サンダーボルトの設計図を持ってるなんて俺自身も驚いた。
魔王がレミア姉妹を殺した理由、聖堂教会がアクアやエルムーアを粛清という名の襲撃をして来たこと、その全てが繋がった。次から次へと事件が絶えないな……。
「カケルさん以外は、席を外して貰えますか? 魔王のことで話しがあります。ギルドの機密もありますので……」
「分かった。皆んな行こ?」
「嫌ですよ! エリィはいいんですか!? 二人きりにしたらきっとカケルさんは、淫らなことをしでかしますよ!」
「あらあら、マリエルちゃん。下品な言葉はダメですよ?」
「大丈夫だ! 主人様はわらわにしか興味無いからな!」
「淫らなこと! しないから! とりあえずどっか行けー! 話しが進まねぇだろー!」
俺の変態容疑は、一向に晴れる気配がないらしい。別に何にもしてないんだかな。まだ、パンティの一件を根に持ってるんだろうか。あの貧乳、なかなかに執念深い。
アクアと二人きりになったけど、俺達が聖堂教会を一時、退けた件についてまだ話していなかった。きっと、怒るだろうな。正直に言おうか悩んだ末、言わないと何も始まらないから俺は少しずつ、ことのてん末について語っていくことにした。
「聖堂教会と戦争することになった」
「何ですって!? カケルさんは、次から次に話しをややこしくさせるんだから……」
「だって、仕方ないだろぉ? アクアは瀕死の重症だったし、ギルド本部は血の海だった。もうあの教会は、滅ぼした方がマシだ。大事なもんを失う前にな」
「そんな状況だったとはね。でもダメよ、戦争なんてしたら、エルムーアなんて小さな国はすぐ消されてしまうから。元々、私のせい何だから私が何とかする。カケルさんは、この件から手を引きなさい!」
アクアのせいなんかじゃ絶対にねぇ。魔王が、レミア姉妹を殺した理由さえ、しっかり追求しなかった俺にも責任があるんだから。
分かっていたなら、他にもやり様があったんだ。アクアとの約束すら護ってやれなくて本当に情け無い。だからこそ、俺達のプライドに賭けて、アクアの要求に従う訳にはいかないんだよ。
「引く訳ねぇだろ! 大切な仲間傷つけられてんだぞ! それとも何か? アクアは俺達の仲間じゃないってのかよ? じょーだんじゃねぇ! 俺達は、仲間を決して、絶対に見捨てない!!」
「はぁ……。なら、黙らせるしか無いわね」
急に立ち上がったアクアは、俺をベッドに押し倒して身動きが取れない様に強く抱きしめていた。何で顔を赤くしてるんですかアクアさん。訳分からん。
ーー何だこれ!? 何だこれ!?
「……チュ//」
「んっ!? んん!!」
|(黙らせるって物理的ですか!?)
雪のように冷たい唇が重なった。触れるだけでなく、今度は熱く激しいキスになり、頭がショートしそうになる。
その口づけに、アクアなりの意味があるのかもしれないが、俺はサッパリ分からん。俺は一体、どうすればいいんだろうな。
この時間が続けば続く程、俺の心臓の高鳴りは増すばかりで、抵抗する気すらも起きそうにない。アクアは、これを本心でやっているんだろうか。
意地でも、聖堂教会と戦争をさせないことに、意味があるのかもしれない。それを分かっていての行為だってのなら、少し寂しいよな。
優しく手を握り、今はアクアの気持ちに応えてやるべきだ。
話しは、それからでも充分だろう。まぁ、何を聞いたって結局は俺達がどうにかして見せるんだけどな。アクアやエルムーア、そして街の住人その全てを護り通す為にね。
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