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第73話『呪いの勇者と戦争の狼煙』


 「見送りも済んだし俺達も屋敷に帰ろう。エルムーアも久しぶりの様な気がするよ」


 「そうですねカケルさん。ずっと発情してましたから冷静になってよかったです」


 誰にどんな発情をしたのか何て知りませんが、貧乳は少し黙って頂きたい。魔導列車の旅で疲労も溜まってるのに、マリエル達は元気だよな。


 早々と帰宅して泥のように眠りたいけど、この後の飛んでもない異変に俺達は焦ってしまった。


 『ーー運命から逃げるな』


 まるで、そう訴えかけるように腕の激痛が俺を襲っている。


 悪い知らせであるのは間違いないんだけど、俺やエリクシア達は特別、身の危険な状況でも何でもない。残る可能性は……。


 ーーバチンッ!!


 一斉に俺がプレゼントしたブレスは、皆んなの分諸共、弾け飛んでしまった。間違いない、アクアに何か良からぬことが起こったんだろう。


 「マズイ! 緊急事態だ! アクアの元に行くぞ!」


 「行くって何処に? 居場所までは分かんないよ?」


 「探し回るしかねぇ! ブレッド、黒竜化して俺達を乗せてくれ!」


 「宜しいですぞ、主人様。わらわの背に乗って下さいませ」


 アクアの身に何かが起こった。この弾け飛んだブレスが、それを証明している。その為にアクアに預けたブレスなんだ。護れませんでしたじゃ、済まねぇんだよ!


 『もし私が聖堂教会に消されそうになった時、カケルさんは私を助けてくれますか?』


 約束したんだ! もう何かあってからじゃ遅いんだよ!


 不安も焦りもこの緊張感だって、その全てが心臓の爆音と共に高鳴っている。無事でいて欲しい。最後まで希望を持ちながら、ブレッド達と冷たそうな曇天に飛び立つことにした。


♦︎♦︎♦︎♦︎


 「雨が降ってきたな……。結局、ギルド本部に来たがなんか騒がしいぞ?」

 

 「カケル、誰か暴れてるみたい。行ってみよう」


 アクアが誰か、恐らくは聖堂教会だけど、戦闘でもしているんだろうか。早く行って加勢してやらないと、事態がますます悪い状況に陥ってしまいそうだよな。


 勢いに任せて、ギルド本部の門を強行突破し駆けつけると、辺り一面が血の海の惨劇になっている。悲惨な状況に俺は思わず、絶叫し、マリエルは吐きそうになっていた。


 修道服の男と俺達以外にその場で立ってなく、奴は不気味な笑い方をしながら、横たわる女性を見つめる。血で染まっていて分からなかったけど、それは俺達のよく知る人物で……。


 「おや? 裏切り者の粛清に来たのですが、呪いの勇者が釣れてしまったようですね。まさか、こんな無能と繋がっていたとは驚きです」


 「ーーアクアに何をした?」


 「だから! 粛清! 殺しに来たのですから殺したに決まってるでしょ!? ホント、馬鹿なんだなぁー!」


 「アリア、手当てを頼む。絶対に死なせないでくれ」


 「カケル様!? 何を……!?」


 ーーブンッ!!


 悪鬼が如く、鋭い魔眼を向けて咆哮し、俺は諸刃の剣を修道服の男に叩きつけた。護るって約束したのに本当にごめん。懺悔してもしきれねぇよ。


 感情を爆発させ、血を吐きそうになりながらもポーションを噛み砕き追撃をかます。どうせ聖堂教会の者だろうし、殺しても構わないよな。


 「遅い斬撃でしたね。ぐっ……ふ。ガードが間に合ったお陰で致命傷は避けることが出来ましたよ」


 「ゴチャゴチャうるせぇんだよ。そんなに死にてぇらしいな。喧嘩売ってきたのは、お前ら聖堂教会だろうが! 壊滅させるぞ?」


 「ほぅ……。我々と戦争するんですね? やはり、呪いの勇者は無能の馬鹿だな」


 更なる追撃を噛まそうとしたが、修道服の男は床に魔法陣を描き、一瞬の隙を突かれ、俺達は逃走を許してしまった。


 アクアが何か悪いことをした訳では断じて無い。それでここまでの惨状を生み出すなんて、邪魔者を排除する為とはいえ大袈裟過ぎるよな。


 また、裏でなんか企んでいるんだろうが、重症のアクアの手当てもあるし、今は治療に専念しよう。


 いい加減、舐めた真似するじゃねぇか聖堂教会さんよ。そんなにしたいならしてやるさ。


 ーー聖堂教会を滅ぼす為、俺はお前らと戦争してやるよ。


お読みいただき、ありがとうございました!


【聖堂教会戦争編】始まります。


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