第71話『呪いの勇者と死者との絆』
「着いたな、心の準備は大丈夫か?」
「勿論です。どのみち、此処へ来る以外の選択肢しかありませんからね!」
魔導列車の元に辿り着き、一世一代の賭けを俺達はしようとしていた。死者を連れ帰ろうなどと、無謀とも思える賭けだけどな。
レミアや姉さんは、終始落ち着かない様子だったけど、絶対に連れて帰るって啖呵を切ったのだから、最後まで責任を持って生かしてやりたいんだ。
不運だったかもしれない。辛いことや悲しいことだって。だけど、こうして俺達と出会い、笑って泣いてぶつかり合って、今があるんだし、彼女達はまだ生きる資格はあるんだと俺は胸を張って言える。
連れて帰れないとか言ってくれるなよ、魔導列車さんよ。そん時は、その薄気味悪いボディに諸刃の剣を叩きつけなきゃならんからな。
「おや? またアンタ達かい。勇者一行ならもう出たよ」
顔の無い駅員が再び、俺達の前に前触れもなく現れた。何かを警戒しているんだろうか。魔王のせいだけど、冥界の王が殺されたことで、冥界の住人が軽いパニックに陥っているのだから無理もない。
変に刺激すると、魔導列車を出してくれなくなってしまうかもしれないからな。なるべく丁寧に、死者が乗ると悟られないようにはしていたんだが、そんなのはやっぱり通用しなかった。
「お前さん達、その二人は死者だろ? 何でこんな所にいるんだ? さっきは、勇者一行だったから通したが流石に無理だぞ」
「バレたなら仕方ねぇな。そこを通してくれ、俺達を運んでくれないか?」
「無理だね。そいつらは死者だ。死んだ人間を生き返らせるのと一緒だぞ? それなりの理由がなきゃなぁ……」
簡単には通してくれなさそうだ。それなりの理由ぐらいあんだろ。妹を助ける為、魔王に殺されたんだから。納得させればこの状況をどうにか出来るかもしれない。
「彼女は、英雄だ。妹を助ける為、魔王と命懸けで戦った英雄だよ。勇者なんかとは、格が違げぇさ。そんな奴を魔導列車に乗せねぇってんなら、テメェの顔に目玉が入る程の穴を空けてやらないといけないな」
「なるほど、お前の目は節穴かって言いたいのかい。残念ながら、そんなこたぁねぇよ。その姉妹は、英雄なんかじゃねぇってことぐらい分かってるからな」
全てを見透かされ、言葉も出なくなってしまった。これ以上どうしろってんだよ。駅員を強行突破し、無理矢理にでも魔導列車に乗ってしまおうか。
考えれば考える程、どうしようも無い現実が俺に押し寄せてくるばかりで、頭が痛くなりそうだった。
そんな状況だったけど、駅員からは想像していなかった言葉を聞いて、考え過ぎていた事がバカらしく思えてしまった。
「英雄なんかじゃねぇよ。芯の通った立派な女性さ。お前さん達、この魔導列車は何の為にあるか知ってるか?」
「今更かよ、死者を運ぶ列車なんだろ? 帰ってくることが極めて難しいとは聞いたがな」
「その通り、極めて難しい。だが、少し間違ってるのさ。この魔導列車は死者と絆を繋ぐ為にあるんだよ」
「ーー死者と絆を繋ぐ列車!?」
アクアから聞いていた話しとだいぶ異なっていて、俺やエリクシア達、レミアや姉さんだって困惑していた。魔導列車の存在理由が、こんな事だなんて拍子抜けしちまうところだったからな。
ーー死者と絆深めし者よ、その命を賭けてこの魔導列車に乗るがよい。さすれば、死者は蘇り、生きて生還出来るだろう。
この伝承を駅員から聞いた時、希望の光が見えた気がしたんだ。この伝承は、誰にも語り継いではならず、禁忌とされているらしい。
通りでアクアは、俺達に内容すら教えてくれなかった訳だと納得してしまう。
「お前さん達なら大丈夫そうだな。大事なもんを取り返して来い、呪いの勇者様。きっと、良い未来に辿り着くだろうさ。着いてこい、発車するぞ!」
「……ったく。驚かせんなよな、俺達は最初からそのつもりで来たってんのによ。ありがとう、宜しく頼む!」
ポォォォォーー!!
冥界発異世界行きの魔導列車は、俺達を乗せて発車した。どれだけ、長い運行になるんだろう。もしかして、一瞬だったりしてな。
ーー俺達の絆の深さが、魔導列車の行き先となる。
俺の求める未来に、レミアと姉さんを連れて行ってくれ!!
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