第68話『呪いの勇者とブレッドの覚醒』
「ということは、あれか? お前の意識で、マリエルのパンツを振り回してたってのか!?」
「勿論じゃ。カケル殿に喜んで頂ければと思いまして。気に入って頂けましたか?」
「あぁ!? どうして俺が喜ぶとでも思ったんだ! ブレッド、お前空気悪くなって逃げただろ? あの後、すんげぇ大変だったんだからな! 今時、パンツ振り回す奴なんかいないんだよ!」
「なるほど! 喜んでくれて、わらわも嬉しいですぞ!」
「人の話し聞いてた!? 人化すると馬鹿になんのか! マリエルの八つ当たりを俺が必死に受けてたんだからな!」
瀕死の黒竜を助け、屋敷に迎え入れた俺だったけど、もしかしたらトンデモない奴を仲間にしてしまったのかもしれない。
独裁国家の変態王子だって、脱ぎたての女の子のパンツなんて振り回さないだろうに、この女……。容姿に似合わず、かなり頭がブッ飛んでやがる。
元々、特殊な個体だったんだがここまで特殊だと、尚更考え深いよな。超大型の黒竜であり、サイズを縮小させる【スケール魔法】を習得しているかと思えば、今度は【人化】まであったなんてよ。
冥界の空から舞い降りた、黒髪灼眼の美しい少女は上空に待機させていたブレッドだった。てか、メスだったのか。てっきり、オスとばかり思ってたんだけど……。
うちの屋敷の中で、俺の唯一の理解者だと思ってたのにそんなことなかったようだ。女の子は大好きだが、馬鹿ばかりだと俺にとばっちりが来るので正直しんどい。
帰ったら、また屋敷がうるさくなるんだろうなと考えつつも、魔王の放った聖魔法を簡単に消し去ってしまったことで、困惑している様子だった。
「な、なんだぁ、今のは!? 黒竜の人化? 聞いたことねぇぞ!」
「わらわの主人様に無礼を働くからじゃ、クソ魔王。主人様、殺して構わんな?」
「あぁ、勿論! 一同、同じだ。狙うは魔王の首、ただ一つ! みんな行くぞー!!」
戦いは、ブレッドの活躍により優勢に転じていた。通常、火属性魔法の強さなどは、炎の色でクラス訳されているらしい。
その中でも、最強を誇る色が『白炎』である。聖なる焔は、人を魅了し、全てを焼き払う。美しくもあり、恐ろしさを兼ね揃えた、最強の火力だ。人化したことでリミッターでも外れてしまったんだろうな。
手こずっていた魔王ですら、あまりの実力差に逃げ回るしかなかったんだから。痺れを切らした魔王が、怒り狂い周囲に強烈な邪気を放ち、咆哮する。
その一瞬の隙を突かれ、魔王をフリーにさせてしまったが何か策でもあるんだろうか。咆哮の後、文句をベラベラと喋られてしまった。
「あり得ねぇ、あり得ねぇだろうがよぉ〜! 不可解な事ばかりだ! お前の仲間は一体どうなってるだぁ? 神の加護でも貰ってんのか? 俺が敵わないなんておかしいだろうがぁ〜!」
「別に何にもおかしな事ねぇさ。俺達は、ただ使えないって追放されたり、迫害を受けて、かつての仲間に裏切られたそれだけの集まりだ。一人じゃ何にも出来やしねぇ。みんなだからお前に立ち向かえるんだ。その辺を履き違えんな! 二度目もしっかりと殺してやるから覚悟しやがれ!」
「……くっ。クソがぁぁぁぁ!!」
ーーポワンッ。
何かの魔法陣が魔王の足元に現れて、一瞬にして魔王の姿を見失ってしまった。戦況的に魔王の方が、圧倒的に不利だったからな。
もう、戦えないって判断だったんだろう。悔しいが魔王を追う算段がつかない以上は、無理に追っても仕方ないだろう。
今、一番考えないといけないのは、レミアのことだ。幸い、魔王が冥界王を殺した事もあり、街は静け返っている。
ーー魔王を敗走に追いやった俺達は、レミアの姉さんを見つけ出し、どうにか現世へと連れ戻す方法を模索することにした。
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