第67話『呪いの勇者と灼眼の少女』
「うらぁぁぁぁ!」
ーーブンッ!!
スライムの分身で足止めをしながら、手持ちのポーション(エリクシアの唾液)で回復して諸刃の剣を魔王に振り下ろす。
口から血を吐くし、身体も重い。だけど、不思議だよな。どうしてか今日だけは、視界も霞んでいる筈なのに、今にでも倒れそうなのに、俺の攻撃の手が止まらない。
仲間がいるから、大切なもんを護りたいって信念なのか。多分、それは違うな。それは、みんなが思ってることだから。想いは一緒だったんだ。
いままで以上のチームワークを発揮していて、俺自身だって困惑してんだからよ。マリエルの的確なサポートに、アリアドネの牽制が効いていて魔王が簡単に俺達へ手出しが出来ない状況を作り上げていた。
「ちょこまかと! うっといしいんだよ、ハエどもがぁ〜!」
【常夜の天使】
痺れを切らした魔王が放つそれは、天から天使の幻影を降臨させている。ここが冥界だからこそ出来る芸当なんだろうけど、闇から現れた天使は、冥界の邪気をマナへと変換させて、一つの漆黒な球体を生成していた。
魔王が、さっきから聖魔法ばかり使ってきて、俺も複雑な心境だ。魔王なんだからもっとあんだろって言いたいがな。文句も届きそうになく、漆黒の球体は、俺に照準を合わせて今にでも放たれそうだ。
「デカいの来るぞ! みんな回避しろー!」
「無駄だぁ〜! ちょいと、大技だかんなぁ〜。避けれやしねぇよぉ〜」
ーーコォォォォ……。
天使が雄叫びを上げて、その漆黒弾を俺達に向けてぶん投げて来やがった。マントで塞ぐか? いや、サイズが規格外過ぎる! 俺一人でなんて、防ぎようがねぇ! 俺達は、絶対絶命のピンチに陥ってしまった。
球体が打ち出されたタイミングで上空から一人が落下して来ているのが見えて俺や、エリクシア同様困惑していた。逃げる体力をつける為に、エリクシアとキスしていた訳なんだがどういう事なんだろう。
ーーここは、冥界だ。人なんて降ってくる筈なんかねぇ!
地に着地したのは女の子で……。黒髪の美しく、凛とした灼眼だった。勿論、こんな奴は知らねぇ! マリエルには睨まれてしまっているが、それはそれだ。
「おい! 何やってる!? 逃げないと死ぬぞ!」
「……せない」
「お前何言って……」
「わらわのご主人様に、なんて汚らしい物を投げるのじゃ! このブス天使!!」
【紅炎弾】
女の子は、手の平を球体に向けて前に出しどう考えてたって規格外の、以前、倒したイフリートの火炎よりかけ離れた火力をぶつけ、漆黒の球体をあっという間に消滅させてしまった。
|(うっそーん。一撃ですか!?)
強すぎて言葉すら出なかったけど、やり切ったと言わんばかりに、何か叫びながら俺を捕まえるような、求愛に近いハグをさせられてしまっている。
「誰なんだよお前! 近づくな! マリエル達に殺される!」
「酷いでございますよカケル殿。わらわの事、忘れてしまったのですか?」
「胸を当てながら話してくんじゃねぇ! エロいだろバカヤロー! 俺は健全なんだぞ!」
「もぅ〜カケル殿ったら可愛いんですから。わらわはブレッドですよ? 名前をつけてくれたじゃないですか」
「は? はぁ……。 はぁぁぁぁ!?」
何がなんやら、もう訳が分からん。ブレッドが人化した姿だったらしい。そんなことあんのかよ……。だか、間一髪の所でブレッドに助けられるなんてな。
ーー心への衝撃とおっぱいの感触で、俺の脳みそは焼き切れてしまいそうだった。
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