第66話『呪いの勇者と魔王決戦』
「気持ち悪りぃんだよ! 友情ごっこは他所でやれぇ! またお前の大事なもん奪ってやるよぉ〜」
「次なんてのはねぇよ。奪えやしねぇさ、レミアや姉さんだってな。お前を殺して女の子も救う、柄じゃねぇーがそれも悪くなさそうだよ」
団結をした俺達に、魔王が敵うかどうかお手並拝見だな。アリアドネを後方に待機、緊急事態に備えいつでも射撃が出来るように指示を出した。
マリエルからは、俺を中距離でデバフ支援して貰おう。魔法が届かなかった時が致命傷になるからな。
エリクシアを常に近くへ居てもらい、最悪を想定して回復(無茶苦茶激しいキスだった……)をいつでも出来る状況に打合せをした。
そして、周囲の状況を逐一、偵察して貰う為に、上空にはブレッドだ。今回の要と言える存在だよ。常に魔王の行動を偵察させて、戦況を瞬時に切り替えなきゃならんからな。ブレッドの行動が作戦の中心となる。
思えば、無茶苦茶なパーティだよな。普通ならバフでコンディションを調整しながら前衛の俺が戦うんだから。回復は毒でしか出来ないし、俺は諸刃の剣を一度振り回しただけで死にかける。
アリアドネのコキュートスは、最強だけど一発しか撃てないし、ブレッドは超大型の黒龍なのに小さな鳥になってんだよ。
一見、強いとは言えない俺達だが、みんながみんな、足りない所を補いつつ、一つとなる。それが俺達で、そんな俺達だからこそ『最強』なんだよな。
「不思議な陣営だな。お前、本当に俺の幹部を倒したのか? てんで素人の構えじゃねーかよぉ〜?」
「悪いな、一応ギルドでは駆け出し冒険者ってことになってんだよ。安心しな、期待に答えてテメェを地獄に叩き落としてやるからよ! ーー、マリエル、詠唱開始!!」
「マナを全開放でカケルさんを支援します。ついて来れないなんて泣き言言わないで下さいよ?」
「ばーか! 言う訳ねぇだろ。行くぜー! 魔王狩りじゃー!!」
【リバイバル・スロー・ギアクル】
スライムの分身を複数出現させながら、俺の大号令の合図の元、魔王に急接近した。もう何も失いたくねぇ。その気持ちを狂気に変えて俺は魔王と衝突する。
ーーブンッ!!
互いの大剣が衝突し、漆黒の火花を散らしながら競り合っていたが、諸刃の剣の代償もあって簡単に押し返されてしまった。さっきまでの、大剣の形状が変わってるじゃねーかよ。
恐ろしいことに、魔王の剣は、俺の諸刃の剣と全く一緒、強いていえば色違いの剣だった。マントもそうだが、ここまで正反対なのも、ここまでくると理由でもあるじゃねぇかと思うよな?
「……っぐふ……。 テメェ、その剣は!?」
「ここまで一緒だと笑いが止まらねぇなぁ! お前だけが臨界出来るとで思ったのか? 残念でしたぁー! 実は俺も臨界出来ちゃうんだよなぁ〜あ! 勿論、この剣には呪いなんてのはないんだけど。もしかして、俺の下位互換かぁ〜?」
「ふふ。いいねぇ、俄然、燃えてきたぜサイコパス野郎! 俺はテメェみたいな奴の伸びきった鼻をへし折るのが得意何でね。ハンデぐらいくれてやらぁ、魔王を殺すことには変わりねぇ!!」
勇者にしか『臨界』は出来ない筈で、そう簡単に出来るものでは無いと聞いていたのにな。現に目の前で魔王が『臨界』してみせた。恐らくは、俺より上手く扱えているんだろう。
俺はまだ、マントしか出せないってのに形勢逆転された気分だよ。アクアの話しを信用すれば、あれは『臨界』などではなくてもっと別な……。
もっと別な可能性に関してはあまり考えたくなかった。それでも現状では、なんとか応戦出来ているので魔王のガードを崩し、奴の身体に一太刀を入れる隙を俺は狙っていた。




