第51話『呪いの勇者とマリエルの反転術』
「合わせて攻撃をしなきゃならんからな。合言葉を決めておこう」
「合言葉……。ですか?」
俺が特攻し、天の使いを蹴散らして、その隙を突き、マリエルのデバフで古代神器エンジェル・ブラストの砲撃を反転させて、無力化させようって戦略を立てていた。
問題なのはタイミングで、少しでも天の使いに気付かれてしまえばゲームオーバーだ。もしバレてしまったら、天の使いは神器ごと別の場所に瞬間移動され、変更した場所から再び砲撃をしてくるだろう。
増援だって呼ばれかねない。慎重に行動する必要があった。
だからこその合言葉なんだけど、いつもの詠唱指示の他には、何も思いつかないでいた。モタモタしてなどいられないんだけどな。早急に良い考えを捻り出したい。
「合言葉は……。俺が『貧』で、マリエルが『乳』で、どうだろうか?」
「死んでしまえぇぇー!!」
ーー、バチンッ!!
その一撃は、古代神器エンジェル・ブラストの砲撃と同等のような気がした。いつも以上の衝撃だ。マリエルも腕を上げたなと、関心したと同時に一撃では飽き足りず、これまでとは新しい、往復ビンタをかまされたところで、あまりの激痛により少しだけ反省してやることにした。
|(言い過ぎたけどさ? やり過ぎじゃない?)
赤くなった頬をさすりながら、絶好のタイミングをマリエルと一緒に物陰へ隠れて監視する。ミスが出来ない、一世一代の大勝負だからな。何が何でも、あの馬鹿砲台は止めなきゃなんねぇ。
監視を続けていると、古代神器エンジェル・ブラストの砲口が激しく光りだして、天の使いの一人がいきなり倒れて意識を失ってる様子が伺えた。ひょっとして、物凄く状況が悪くなってしまったんだろうか。
見た状況だけの憶測になるが、リロード時間の長い神器に無理矢理に魔力を注ぎ込み、次弾の砲撃時間を早めていたのではないだろうか。その注ぎ込む魔力が膨大過ぎて、マナが切れてしまい、天の使いが倒れてしまったって、考えるのが一番しっくり来そうだよな。
|(あれ? もしかして、次弾の準備が進んでる!?)
「マリエル、マズいぞ! 次の砲撃が来る! もう、タイミングがどうとか、言ってられなくなっちまった。このまま、突っ込むぞ!」
「緊急ですものね。急いで下さいよカケルさん。スロー・ギアクル!」
神速をも超える速度でマリエルを担ぎ、天の使いが居る場所まで一瞬で駆け出した。あんまり早かったんだろうけど、到着すると、乗り物酔いした時みたいに、気分を悪そうにしていた。
とりあえずは、気にしている場合でもないし天の使いの制圧に入ることにした。流石に、諸刃の剣なんか使ったら殺してしまうかもしれない。まぁ、体力を使いたくないってのもあるんだけど、持ち前の神速を使い、拳を二発顔面にぶちかまして容易に制圧は完了した。
「片付いたな。マリエル、急いでくれ」
「分かってますよ。いきます! リバース・ギアクル!」
ーー、ギギギギ……。
機械音を鳴らしながら、古代神器エンジェル・ブラストは、砲口を神殿とは逆向きに標準を反転させて、次第に矛先を天に向けている。
マナのエネルギーに耐えきれなくなった馬鹿砲台は、もう爆発寸前になっていた。早く逃げなきゃ、俺とマリエル共々、衝撃で吹き飛ばれてしまいそうだし、急いでエリクシア達が待つ拝堂まで撤去した。
ーーバチュン!!
神器から放たれた砲撃は、銀竜が空を登るように駆け上がり、目も開けられない程の強い光を放ちながら、段々と弱く輝きを失っていく。完全に光が消え去った時、神器は力尽きたのか、それ以降、一切動かなくなってしまった。
「やった……。のか!?」
「やりましたカケルさん! 作戦成功ですよ!」
「よくやったぜ、愛しのマリエルさんよぉ!」
「褒めてくれるのは素直に嬉しいですが、少し都合良過ぎじゃないですか? まだ、私は許してませんが!?」
散々、褒め倒し、機嫌取りをして、作戦の成功にホッと一安心する。一番の脅威は、どうにかすることが出来た。後は、時間の問題で、いままで起こった事をギルド本部に連絡すれば、たちまち聖堂教会は動き辛くなるだろう。
膨大な数の増援を聖堂教会側は、呼べなくなっただろう。代わりに俺達は、ギルド本部からの増援が見込める状況を作り出すことに成功した。
戦いの舞台は整った。神域を潰したければ、かかってくるといい。その時は、しっかりと返り討ちにしてやるさ。
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