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第38話『呪いの勇者は、前に塞がる者を殺すと誓う』


 「ほほぅ、ワシの呪いを受けて生きていたのか」


 「やっぱり、クソジジイだったのかよ」


 緊急事態発生につき、至急、この屋敷から逃げ出したいです。分かってますよ、逃げきれないことなんて。最悪な状況下で、どうやって誤魔化そうか必死に頭の中を掻き回す。


 どんなに足掻いたって、もうどうせ無理な事を悟った俺は少々、無理のある演技を臓物潰しに披露してやった。笑いたきゃ笑えよ、道化のように踊ってやる。


 「いた、いだだ! 急にお腹が痛くなって来たなー! このままじゃ、俺の腹わたが飛び出しちゃうよー! 俺、死んじゃうー!」

 

 「くだらない猿芝居はよせ。貴様、恥ずかしいぞ?」


 「……はい。すみません」


 冷静に指摘されてしまいました。少しぐらい、リアクション取れよ薄らハゲめ。臓物潰しはというと、終始ニヤけていて何だか不気味だった。今回も単身で来ているし、何かまた企んでいるんだろう。


 結局、俺が何もしなくても、死んでいないことがバレてしまったのだから、隠す意味も無くなってしまった。本当に最悪だよな。屋敷で戦闘は避けたかったがヤケクソだ。しっかり相手する他ない。


 「ワシの呪いが効かぬとは、やはり首狩りを殺しただけはあるようじゃな」


 「それはどうも。俺は元から呪われているからさ。かかってこいよ、相手してやる」


 「ワシが戦いに来たと思ってるのか?」


 「ーーなんだと? どういう事だよ?」


 臓物潰しは、訳も言わず呪詛の口上を並べて札のような物を俺達に飛ばしてきた。いきなり過ぎて対処出来なく、エリクシア、マリエルに被弾した。


 その瞬間、あまりの激痛だったらしく、二人が悲鳴をあげ始めた。相当ひどい状況だったので、アリアドネと共に仲間の介抱を始めた。


 「嘘だろ……。エリィ、大丈夫か!?」


 「カケル、お腹が痛い……よう。たす……けて」


 「しっかりしろ、エリィ! 貴様ぁ! 何しやがった!」


 終始ニヤついてる正体は、これだったのか。俺が殺せないと分かって、周りを殺す筋書きに変えてやがったんだ。あの顔は、作戦が上手く決まり愉悦に浸っている顔だった。


 「お前の大事な者を壊してやったのさ。シスターの力を使っても、そいつらはもう助からん。諦めるんじゃな」


 「ダメです、カケル様! 解呪出来ません!」


 「貴様ぁー!!」


 「カケルさん、はやまったら死にます! 抑えて!」


 ーーブン!


 アクアの静止など聞かず、諸刃の剣の一撃を振り下ろしたが、ジジイには当たらず空振りしてしまう。反動でダメージを受けてしまった。このままでは、逃げられてしまうだろう。自分の無力さを思い知ったんだ。笑えねぇよな。


 「そんな、か弱い剣など当たらんわい。仲間はどうせ死ぬじゃろう。悔しければワシを殺してみよ! さすれば解呪してやるわ」


 臓物潰しは、俺に居場所を教える紙を投げつけ、逃げるようにして魔法陣に踏み込み、跡形も無く消えていった。あいつだけは、絶対に許さねぇ。許せねぇよ、仲間を狙いやがって。殺すだけじゃ済まさねからな!


♦︎♦︎♦︎♦︎


 延命治療をアリアドネに施しているが、エリクシアとマリエルの体調は全然良くならない。なんなら、悪化しているまである。仲間を護りきれなかった、自分の無能さを思い知るなんてなんて情け無いんだ俺はよ。


 俺は俺を許せないでいた。また俺は、同じ過ちを犯すつもりか。違う、そうじゃ無いだろ。絶対に護るって、絶対に助けるってみんなに俺は約束したんだから。


 みんなからは、嫌われてしまうかもな。でも、嫌ってくれて構わないさ。エリクシアやマリエルの命を、助けることが出来るならな。


 「ーーアリア、もういい。治療を止めろ」


 「カケル様!? 今、治療を止めたらエリィやマリエルの死期が……」


 「どうせ、助からねぇんだから諦めろって言ってんだ! 聞こえなかったのか?」


 「何故、あんなに仲間の為に尽くしてくれていたカケル様が、そんな事を言うのですか! 私は諦めません! 絶対に助けます!」


 「ーーあれは、俺の手に負えない。助けられねぇんだよ! 言うこと聞けないならお前らとは解散だ! 勝手に自分達で生きやがれ」


 「カケル様……」


 ごめんなアリアドネ、キツイこと言って泣かせてしまったな。もうみんなを巻き込みたく無いんだよ。本当は助けたいしみんなと居たい。今回ばかりは、俺に頑張らせてくれ。


 俺は、怒った振りをして屋敷から出て行った。やる事はもう決まってんだ。臓物潰しは、俺が今日中に殺してみせる。もう、俺の居場所は無くなっちまったな。


 ーー後悔は無いさ。みんなが笑って生きていけるなら。


 屋敷を出ると、アクアが走って俺を追いかけてきた。しつこい奴だ。屋敷では、黙って見てたじゃないか。放って置いて欲しいんだがな。


 「どうせ、一人で臓物潰しを倒しに行くんでしょ? カケルさん死にますよ。一人じゃ勝ち目ないんだから」


 「なんだ、アクアは分かってたのか。なら話しが早い。遺言頼めるか?」


 「いい訳ないでしょ! 屋敷に戻りなさい!」


 「俺がやらなきゃみんな死ぬんだぞ!? 戻れるかー! みんなには『今までありがとう。愛してる』って伝えておいてくれ」


 「ーー、馬鹿なんだから……」


 臓物潰し単騎殲滅を俺は心に決め、アクアの前から立ち去った。絶対に助ける。エリクシアやマリエルの呪いを解く為にな。


 ーー必ず戻るから、信じて待ってろ。


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