表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/128

第20話『呪いの勇者は、リッチーに魂を喰われる』


 「やっぱりダメでしたか?」


 「駄目もクソもあるかよ。あれでどうやって殺せって言うんだ。本当は死にたくないんだろ? 切られると痛いもんね!」


 訳有りそうなんで、リッチーに事情を聞いてみることにした。このリッチーの名前はニーナ。魂喰らいの一族であるのはもう分かっている事だが、どうやらリッチーのすみかで、妙な事件が多発していたらしい。


 リッチーは基本、人間を喰わないのだが村から週に一度、人間の死体が発見されている。人間を喰うことは禁忌としており、掟を破った一家は、村総出で処刑する決まりになっていたんだとか。


 その容疑にかけられたのがニーナ一家であり、ニーナ自身は冤罪であると思っているが、彼女自身の落とし前もある。自分が死んでこの件を丸く収めようって魂胆だ。


 両親共に行方不明のまま、半年もの時間が流れたという。その間も未だに人間の死体は増え続ける一方らしいが、どうもきな臭いし、ニーナが死んだ所で状況は何にも変わらないだろう。


 ーー謎が深まるばかりである。


 「リッチーって人の魂を喰えるのか?」


 「もちろん、可能です。ですが、それにより死ぬことがあれば禁忌に反します。絶対にしてはいけない最低な行為ですよ」


 「そうなのか。ちょっと試しに俺の魂を喰らってみてくれよ」


 「分かりました。信用して頂く為にも私の力を披露しましょう」


 ニーナは両手を広げて詠唱を始めた。すると、ドス黒いオーラを放ちそれを一点に集め俺の右肩にそっと触れていた。


 特に体調の変化も無く、手の凝った事をしていた割には大した違和感も無かった。まさか失敗したのだろうか。


 「少しだけいただきましたよ。なんかカケルさんの魂は苦いですね」


 「苦いってお前……」


 遅れてやって来た、下半身の違和感。その現実に向き合いたくないのだけど、気になって仕方ない。不安を抱きながら、恐る恐るソレを確認した。


|(俺のタマキン、無いんですけどー!!)


 「お前が喰らってきた魂、いや、タマキンその全てを吐き出せ! 何が苦いだ、少しエッチなこと言えば許されると思ってんだろ!」


 「すみません、すみません! どうやら失敗してしまったようでして、ソウルドレインのスキルを使えばタマキンは戻せる筈です」


 「一刻も早く戻して下さい!」


 マリエルに、指を刺され腹を抱えて笑わせてしまった。起こる余裕なんてないので、後でしっかりと懲らしめてやろう。


 ソウルドレインは魂に干渉出来るスキルらしく、取りすぎた魂を戻したり、逆に吸い上げる能力もあるんだとか。


 そのスキルを使ってもらい、なんとか俺のタマキンは元の玉座に返り咲くことが出来た。人の体で遊ばないで頂きたい。


 「とりあえず、現場に案内してくれないか?」


 「いいのですか? 私を信用しても……」


 「分からないことが多すぎるだけだ。この目で判断したいこともあるしな。流石にほっとけねぇよ」


 「ありがとうございます。私は村に入れませんので、手前までの案内になります」


 また、お一人良しの悪い癖が出てしまったな。だとしても、ニーナが心配なのは事実だ。この件を収めるには、人を殺しリッチーの村に死体を遺棄する犯人を探すのが、手っ取り早いだろう。


 ーー平和に事が済みますように。


 俺の願いは、きっと届かないだろう。


お読みいただき、ありがとうございました!


少しでも面白い! 続きが読みたい! と思っていただけたら、

『ブックマーク』と広告下の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にしていただけると幸いです!


評価ボタンは、モチベーションに繋がりますので、何卒応援よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

↑の☆☆☆☆☆を押して頂けると執筆の励みになります!!!

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ