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【最終章】第2話『偽りの元勇者』


 「ま、サンダーボルトの対策についてもそうだが、カケルにはそれ以前に話さなきゃいけないことが沢山あるな」


 「そうですよ先輩。この諸刃の剣といい、洗いざらい話して貰わないと何がどうなってんだか……」


 幸い、時間だけはある。


 願っての再会だし、聞けることは全て聞かなきゃな。こんなチャンスは二度と来ないだろう。


 一体、何から話してくれるんだろうか。


 先輩がこの異世界で何をして、何を成したのか。


 その軌跡に触れようと思う。


 「冴島を抑え込みカケルが私共々射殺した。カケルはこの認識であってるな?」


 「……えぇ、俺はこの手で先輩を殺したんだ。当時の冴島は失踪してしまいましたけど、あの怪我じゃ助かってはないでしょうね」


 「そこだ。そこが違うんだよ」


 「ーーどう違うってんです!?」


 「冴島はな、この異世界に勇者として召喚されていたんだよ。そんでもって、私は冴島と同じ世界に赤子となって転生してしまったって訳さ」


 「……そんなに話しがややこしくなってたんですね。通りで先輩の名をこの世界でチラホラと聞くことがあったんだな」


 これで、ヒュンレイとの接点も頷ける。


 よくもまぁ、先輩は才能の塊の様な人だし、やれば並大抵のことなら軽くやってのける訳だが、本当に錬金術師になっていたなんて……。


 それに、問題は魔王こと冴島だ。


 死ぬ間際に異世界召喚にされていて、尚且つ元勇者だって!?


 あの狂気を持つサイコパスが勇者だったのもそうだけど、それでいて現在は魔王。俺が召喚される前の異世界は、どんな状況だったんだ……。


 同じ時代を生きていた先輩なら、事の経緯を知っているはずだろう。


 「冴島は勇者として召喚されてすぐ、仲間の勇者をその日の内に皆殺しにしたのさ。その後、単身で当時の魔王をも殺して自分自身が魔王となったんだよ」


 「ーー皆殺し!? 一人で魔王を討伐出来るぐらいの腕してたのかよ……」


 「そうだよな、私も冴島が何をしたいのかサッパリなんだ。冴島は本気でこの世界を潰すつもりらしい……。それで考えたんだよ、奴を殺せるのは誰かってな」


 「まさか……ひょっとして……?」


 「そのまさかだよ。カケル、お前しかいないってな。この異世界においてのイレギュラー、その五番目の勇者を召喚したのはこの私だよ」


 「俺を呼んだのは先輩だったんすか!? でも確か、先輩はただの錬金術師でしょ? 召喚魔法なんて出来る訳……」


 嫌な予感がした。


 率直に言おう、カヤモリ・アキという女はやれば大抵なんでも出来てしまう。それを俺はよく知っているんだ。だからこそ、俺は語る口をしまい込んだ。


 どんな経緯で、なんて知らない。


 やっちまったんだよ先輩はな。


 教会の聖人にしか出来ない、異世界召喚術を魔王こと冴島をぶっ殺す為だけに、その技を覚え実行に移したんだ。


 「あの、なんだ? 無駄に威勢の良い弱そうな勇者達が召喚されたろ? あの時、やり方を見てたんだ。真似出来そうだったからやってみたら簡単だったぜ!」

 

 「……先輩、頼ってくれるのは嬉しいが本気で冴島に勝てるって思って俺を召喚したんですか? 結果から言えば、さほど難しくはなさそうだけどそんな保証無かっただろ」


 「ーー私を誰だと思ってる。人を見る目ぐらいあるさ。それにな、あの勇者四人はダメだ。冴島に瞬殺されるよ、弱すぎる」


 恐らく、トモハル達のことを言ってるんだろう。


 確かにアイツらは弱すぎたよな……。


 とか思ってる場合じゃないってのに気づくのには、そんなに時間を要さなかった。


 (俺、トモハルを殺してるー!!)


 魔王に瞬殺どころじゃねーよ!


 俺が直々に手を下してるじゃねーか!


 どうすんだこれ、俺は冴島と似た様なことしてるじゃねーの。


 先輩に言っておいた方がいいんだろうか……。


 黙ってたってバレるだろうし、大人しく白状でもしておこう。怒られるのだけは、覚悟しておくか。


 「あの〜、先輩。僕〜、勇者を一人殺しちゃいましたー。てへっ!」


 「……全く可愛くないぞカケル。不気味まであるな。心配は要らない、どうせ魔王と戦闘になれば死んでたさ。ヒスイを護る為……だったんだろ? 胸を張れよ、我が後輩!」


 後悔はしてないってのも事実ある。


 俺は俺の信念の元、勇者であるトモハルを斬り捨てたんだ。


 ヒスイを護りたかった。


 これは俺の意地であり、エゴである。人はそれを許さないだろうが、その信念を仲間達が分かってくれている。


 斬らなきゃならなかった。ただそれだけのことなのに、胸を張れと背中を押してくれる先輩が妙に眩しかった。


 「と、まぁこんなところかな。私は魔王を殺す為に裏で暗躍してたってのが分かったかいカケル。私は常に用意周到だからな」


 「確かに先輩はスゲェすよ。でもですね、この剣はないでしょう? 何故、こんな不便な剣なんかを俺に託したんですか! おかげで毎回死ぬ思いしてるんですよ!」


 「ーー? 何を言ってるんだカケル。もしかして、その剣の使い方を間違えて使ってたのか?」


 トンデモねぇ事を言い出したぞこの女!


 剣の使い方を間違えてる?


 ふざけんじゃねーよ! 説明書を付けとけよー!


 まぁ、そんなもんあるはずもねぇがな。


 俺は何を間違えていたんだ?


 てっきり俺は、そんなもんだと割り切って諸刃の剣を振るっていた。正しい使い方ってなんだよ。製作者が言うんだから間違いないんだろうけど、今更って気もするな。


 ーーその答えを俺は聞くべきだろうか。


 ーーこの諸刃の剣を信じて戦っていた俺には、躊躇してしまう話しなのかもしれない。


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