第107話『呪いの勇者とエルフの里』
「ここがエルフの里ですか。カケルさん何して遊びますか?」
「遊びに来た訳じゃねぇー! エリィの時にいろいろあった場所だからあんまり騒ぐなよ」
懐かしい場所に来てしまいました。エリクシアとの出会いと、全ての始まりの場所である。
あまり、エルフの奴らとは関わり合いになりたくはないのだが、話しを聞かなきゃならないよな。
アクアに行けと言われたから来た訳では勿論ない。エリクシアが、はたしてこの里に来ているのかの確認が出来れば、それで良いのだ。
訳の分からねぇー、宝剣とやらのせいで、事件に巻き込まれている可能性も充分にある訳だ。目立つ行動は避けて、慎重に話しを聞くエルフを選定したい訳なんだが……。
「マリエルのパンツ、取ったどぉー!」
「ブレッド! 私のパンツを脱ぎとるなんて卑怯ですよ!? 返して下さい!」
「まぁ、カケル様。マリエルやブレッドも楽しそうですわね。混ざらなくて良かったのですか?」
「騒ぐなって言ったばかりだろ! あれに混ざってたら、正真正銘の変態になっちまうよ。ったく、この騒ぎを聞きつけて、村長が現れたらどうするつもりなんだよ……」
ブレッドは能天気だし、マリエルは俺を見て恥ずかしがるし、本当に災難だ。
とりあえずは、物陰に身を隠しこれからのことについてしっかりと打ち合わせしておこう。
ある程度話しを進めていると、マリエルからある疑問を投げかけられた。その疑問とやらを聞かされて、俺は事の重大性に気づいてしまったのである。
「ところでカケルさん。エリクシアがいない訳ですが、回復はどうするんですか?」
「しまったぁー! 非常にマズイんじゃないかこの状況!」
危険を伴う最高難易度のクエストなはずが、現状、俺にはヒーラーがいないんだ。過去最高にヤバいかもしれない。
俺の回復は、全てエリクシア任せだったからな。これじゃ何かあった時、諸刃の剣を振ることが出来ない。
もしかして、詰んでるんじゃない?
なんて、考えていると頭が痛くなって仕方がない。さて、俺はこれからどうしようものか。
かろうじて、ポーションが三つ残ってはいるが、これは緊急の時以外は使えないと思っていた方が良いだろう。
(エリクシアさん、帰って来てくれー!)
俺の声にならない悲痛なる心の叫びは、きっと誰にも聞こえないのでしょうね。
されど、不幸には不幸なことが重なるものです。というか、現れてしまったんだよ。あまりに目立ってしまったのだろうな。マリエルの何がとは言わないけどね。
急に現れやがったそいつに、俺は声を裏返して問いかけに答えるのでした。
「何事じゃ、またお前か……」
(村長かよー!)
終わった、全てな。見つかってしまったのなら仕方ないよな。出ていけと言われるのがオチなんだが、どうせなら話しを聞くぐらいは抗うことにした。
村長からしたら俺はただの怪しい奴だ。エルムーアの英雄なんて呼ばれちゃいるが、エルフの里では関係のない話し。
ロリハーフエルフとキスを村中に全公開した、変態にしか映らないだろうからな。サクッと話してズラかることにしよう。
「エリクシアはこの村に来てないか?」
「呪われたハーフエルフなら、お前がこの村から連れ去ったのだろう。行方知れずなのか、さぞ寂しかろう」
何だ、この妙な違和感はよ。行方のことなんて俺は一言も言っていない。どうして、エリクシアが行方不明だなんて、村長が知っているんだよ。
キナ臭くなってきたじゃねぇーか。だったら、カマを掛けさせてもらうぜ村長さんよ。テメェの化けの皮を剥がしてやらぁ!
「まぁ、いいや。魔獣トロールについて知っていることがあれば聞かせてくれるか」
「カケルさん、トロールってどんな魔獣ですか?」
「あれだ、ゴブリンに似たデカい奴だ。俺もあんまり詳しくない」
「……!? ほう、よく知ったおりましたね。魔獣トロールはゴブリンの仲間。エルフを喰らう魔人であり、我々の天敵ですよ」
それ以上のことは、知らないの一点張りだ。当人らの里で生まれた宝剣なんだぞ。ギルドも本腰挙げてるってのに、すぐボロが出てきて嘘が露見してやがる。
間違いない。村長は何かを知っていて、それを隠す為の口実まで用意してがったんだ。
間違いない、このエルフの村の村長は絶対に黒なのだろうよ。そうと分かれば話しは簡単だ。しばらく、村長を泳がせてみようと思う。
「そっかぁー、知らないなら仕方ないな。もう俺はこの村に用は無くなったし、俺達は速やかにこの村から立ち去るよ」
「そうじゃ、早よう出ていけ変態……じゃ、なかった。呪いの勇者よ。お前が求めるものなんかこの村に有りはしない!」
まぁ、そう来ますよね。だったら俺は遠慮しない。村から出て行くフリをして外から村長らの行動を観察していこう。
何の悪巧みかは知らねーけどよ、それを俺は暴いてやるさ。
恐らくは、この里にエルフの宝剣があると見て、間違いなさそうだ。
ーー村長の化けの皮を剥がしてやるには、丁度いい!
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