表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
105/128

第105話『勇者の証を失いし男、その結末は』


 【勇者side】


 「マギア・ドールはいずれ、人々を殺戮の限りを尽くすでしょう。勇者トモハル、私と協力してその人形の破壊を手伝って頂きたい」


 偏屈なジジイに目をつけられてしまった。まぁ、俺様だって勇者だ。人々を苦しめる存在を放っておくなんて、出来はしないのである。


 俺様はカケルと違って無能じゃないんだ。この国の平和の為にその人形の破壊を手伝ってやるとしよう。


 そのジジイの言う通り、人形の捜索をしていると、何ともあっさり発見することが出来たんだ。ただ一つ、その側に居た奴のことも俺様は勿論、確認済みなんだけどね。


 マギア・ドールを引き連れていた男。


 そう、あの無能勇者カケルだったんだ。


 「闇堕ちでもしたのか、カケル。厄災をもたらす人形何ぞ連れまわしやがって……」


 そうなれば、話しは早い。俺様は、マギア・ドールを破壊して、その元凶たるカケルを始末するしかなさそうだ。


 カケルよ、お前がいるからこの世界がおかしくなっていくんだ。きっと、俺様達を逆恨みしてこんな暴挙に出た筈だ。


 俺様が必ずカケルの息の根を止めてやるよ!


 その誓いを胸に、俺様はカケルを抹殺する計画を仲間に打ち明けることとなる。理解はされないだろうが、仕方がない。


 どうせ反対するのは、偽善者の綾香一人なんだ。テキトーに丸め込んでさっさと始末してやろう。これ以上、この国の民を傷つける訳にはいかないからな。


 「ダメだよ、訳も聞いていないのに、一方的なやり方じゃカケルくんが可哀想だよ……」


 「うるさい綾香! 人が死ぬんだぞ? それでも可哀想だって言えるのか? もう無理なんだよカケルはな。アマツ・カケルは闇に堕ちた。勇者である俺達が殺す、その選択肢しかない」


 やはり、綾香が駄々をこね始めたな。本当に鬱陶しい女だよな。ヒーラーの癖して前衛に来たがるし、回復力もそこまである訳じゃない。


 はっきり言って、今のお荷物は綾香なんだ。いっそ、カケルと一緒に始末してしまおうか……。


 いけないことを考えてしまったよ。これ以上、仲間を減らしては魔王討伐なんか夢のまた夢である。


 この黒い衝動を抑えなきゃな。俺様の悪い癖に最近ではなりつつあったのだ。


♦︎♦︎♦︎♦︎


 「どうして、何度も立ち上がるんだカケル! お前はもう戦えない筈だろぉー!」


 決闘を取り繕い、俺が優勢であり勝利濃厚だった。そうだった筈なんだ。カケルは、どんだけ血を吐こうが決して折れやしない。


 それどころか、何度だって立ち上がり俺に牙を剥く。


 一瞬を突いた華麗な投げ技が決まってしまい、俺様は形勢逆転され気絶したんだ。たった、その一瞬で俺様はカケルに敗北を期してしまった。


♦︎♦︎♦︎♦︎


 「これを飲めば強くなれる。もう仲間など要らないだろう? 全てを殺してしまいなさい」


 「ちょ、!? じいさん、勝手なことを!?」


 この時、俺は思ったんだよ。


 カケルにも信念があったこと、本当はカケルが正義で俺様が悪であるってことにな。


 結局のところ、俺様はジジイに良いように嵌められてたって訳さ。本当の目的は、勇者同士で殺し合わせること、自分の研究を成し遂げること、その二つしか奴には見えていなかったんだ。


 「相打ち覚悟で死ね。勇者、トモハル」


 得体の知れないポーションを飲まされた俺様は、身体が煮えたぎる程の興奮を始める。こんなもの、尋常じゃない。理性まで飛んでしまいそうだった。


 湧き上がる怒りを爆発させながら、俺様は何故かヒーラーの綾香に手を掛けてトドメを刺そうとしている。


 俺様の心理を、忠実に再現してしまっているのかも知れないな。どうせ、邪魔だったんだ。


 仲間なんていらない。俺様は一人ででもカケルを殺してやるだけさ!


 ーーガキンッ!!


 「人の話し聞いてんのかよクソ野郎が! 綾香に何をしたって聞いてんだよ!」


 またしてもカケルだ。


 どうして、お前は俺様の前に立ち塞がる。


 どうして、お前が全てを持っているんだよ!


 やるせないよな。ジジイに騙されたってのも分かってる。仲間を殺そうとしたのも勿論、俺様の意思なんだ。


 全てを失おうか、構いやしない。


 俺様は、カケルに勝ちた勝っただけ。


 こんな状態じゃ、どうせ無理なんだろうな。


 俺も全力を出したけど、あの諸刃の剣には敵いやしない。


 勇者の象徴である剣を砕かれ、カケルの剣に俺様は潰されていく。俺様はどこで間違えてしまったのだろう。いや、分かってる。


 カケルを見下した、その瞬間にその過ちに気づくべきだったんだ。今更遅いんだけどね。


 痛いだとか、苦しくだとか、そんなこと言ってらんないぐらいの激痛を俺様は味わう。体がどんどんと砕けていく最中で、俺様は死ぬんだなって分かっていた。


 もう覚悟は、出来ているよカケル。


 ーーブンッ!!


 トドメを刺してくれてありがとう。


♦︎♦︎♦︎♦︎


 辺りの静寂さが逆に煩わしくて、俺様は意思を覚醒させ飛び起きてしまった。


 「確か俺様は死んだはず……」


 それだけは、間違いなく覚えているんだ。何故、生きているのか訳が分からないって感じだけどな。


 勇者の象徴でもある剣を失って、俺様は勇者だって言えるのか。それどころか、俺が死んでいない理由ってのも分からない。


 全てを失ったんだ。死んだ方がマシだったのによ。


 この体の変化は、俺様が一番分かっている。


 ーー俺様は、薬の副作用により不死の魔人へと豹変していたんだから。


お読みいただき、ありがとうございました!


少しでも面白い! 続きが読みたい! と思っていただけたら、『ブックマーク』と下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いいたします。


面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に感じた気持ちでもちろん大丈夫です!


評価ボタンは、モチベーションに繋がりますので、何卒応援よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

↑の☆☆☆☆☆を押して頂けると執筆の励みになります!!!

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ