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結婚って……あの結婚か?

「へ!?」


とんでもない言葉に、思わず変な声が出た。


「結婚って、あの結婚か? 生涯を共にする……」


「それ以外ないでしょ。僕、レオニーの事大好きでずっと一緒にいたいから、結婚して欲しい」


「え、いや、でも、そんな」


「前に僕の事守りたいって……僕の錬金術のことも支援したいって言ってくれたよね?」


「そ、それは言ったが」


「僕、すっごく嬉しかった。ずっと一生一緒にいて……僕の事、一番傍で守ってくれると嬉しいんだけどな」


「……!」


なんと可愛らしい顔で、声で、仕草で、可愛い事を言うんだろうか。こんな殺し文句を言われては、胸がきゅうんと苦しくなってしまうではないか。


これが母性本能なのか、騎士として大切な人を守りたい気持ちなのか、はたまた生涯持つ事はないだろうと思っていた恋愛的なトキメキなのか定かではない。


けれど、とにかく心臓を撃ち抜かれたような気持ちになった。


「レオニーさ、前に夢はないかって僕が聞いた時、『ルシャが大賢者と呼ばれるほどの錬金術師になってくれるんじゃないかと夢見ている』って言ったよね」


「い、言ったな」


そしてルシャに「自分の事だよ!」って怒られた。確かに、他者の将来に夢を託すなんて、身勝手だったと反省した。


「その……悪かった。ルシャに重荷を託すような真似をしたと反省している」


「全くだよ」


ぷくっと頬を膨らませたルシャは、なぜかすぐにいたずらっぽく笑って私の顔を覗き込む。


「でも僕ね、レオニーのためなら大賢者を目指したっていいと思ってる」


「えっ、いや、それは申し訳ないよ。本当に気にしなくていいから」


「だって結婚すれば伴侶の夢は僕の夢だし」


「……」


なんで、満面の笑顔でそんな可愛い事を言ってくれるんだろう。私みたいに、可愛気のひとかけらも無いようなヤツに。嬉しい反面、ものすごく申し訳ない。


それに、私が迂闊な事を言ったばっかりにルシャが自分の夢を曲げてしまうのが何より嫌だった。


「いや、本当に大賢者の話は忘れてくれ。ルシャは、ルシャの夢を追ってほしい」


「僕の夢は、大好きな人と一生仲良く暮らすことだよ。だから、レオニーが幸せならそれが一番!」


どうしよう、ルシャが私の心臓を殺しにくる。


「ね、僕と結婚しよ!」


うっかり「うん」と言ってしまいそうだった。


しかし私だってルシャが大賢者になるよりも、こうして笑っていてくれた方がいいわけだから本当に無理に目指す事なんてないし、第一結婚なんて重大な事、私ひとりで決められる筈もない。

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