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【ルシャ視点】今日が勝負だ

「ふふ、そんなに力まなくてもいいと思うよ」


レオニーはそう言って笑うけど、緊張しない方がおかしいよ……。深呼吸をしながら待っていたら、前回同様、応接室の馬鹿でかく重たい扉が鈍い音を立てて開いた。


「お父様」


「すまん、遅くなった。ルシャ君、久しぶりだな」


うーん、安定の重低音ボイス。強面だけどレオニーみたいに情熱的な赤い髪で、見慣れてきたからかちょっと安心感がある。ちなみにゴリゴリの筋肉にはまだ慣れない。


どうでもいい事を考えつつ、僕は立ち上がって礼儀正しく挨拶した。


「お久しぶりです。今日はお時間をいただきありがとうございます」


「そう畏まらないでくれ。どうだ、新しい住まいの住み心地は。あれは立ち寄った際に寄る程度の管理小屋だからな、住む事は想定して作っていない。不自由していないだろうか」


やっぱりレオニーの父親だけあって、優しいんだよなぁ。


「大丈夫です、錬金でだいたいの物は作れるんで。管理小屋のすぐ傍でたくさんの素材が採れるので、むしろすごく快適に暮らせてます!」


これはお世辞抜きで本当なんだよね。


管理小屋のすぐ傍に草原と泉があるし、畑も作らせて貰えたから本当に採取し放題。おかげで質のいい薬も作り放題っていう素晴らしい環境だと思ってる。


「そうか、それならば良かった」


おお……笑いじわができると一気に強面な印象が緩和される。今なら言えそうだ。


「あの! 実は次の夜会でレオニーのエスコートをさせてもらうので、今日は改めてご挨拶に伺ったんですが」


「ああ、レオニーにエスコートの申し込みをしてくれたらしいね。レオニーからも聞いたが、アカデミーでも随分噂になっているようで、私の耳にも入っているよ」


「えっ」


レオニーがびっくりした顔をしてるけど、噂になるのは当たり前だ。っていうか、それを狙ってやったんだし。


「見ていた者の話によると、どうやら我が国のマナーにのっとって申し込んでくれたらしいね」


嬉しそうに微笑んでくれてて安心する。騎士団長に伝えてくれた人、ありがとう……!


「レオニーに恥をかかせたくなくて、頑張りました。あの、ぼくまだ成長期が来てなくて、見栄えは悪いかも知れないんですけど」


「ははは、私もレオニーもそんなささいな事など気にしていない。レオニーの事をよろしく頼むよ」


「はい! この国のマナーもしっかり学びました。しっかりとエスコートさせていただきます!」


言った! 言ったぞ!!!


なんかちっちゃい子見てるみたいな微笑ましい目で見られてる気がしないでもないけど、でも僕がレオニーのエスコートをする事は快諾してくれてるわけだから問題ない。


ほんと良かった。

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