表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
54/73

【ルシャ視点】挨拶に行きたい

「ん? ああ、聞いてみよう。用件はなんだい?」


「もう夜会が近くなってきたじゃない? レオニーのデビュタント、エスコートさせて貰うからさ。ちゃんとお父様にご挨拶するべきだと思うんだよね」


「あ……そ、そうか。そうだな。だが、その……一応父には、ルシャがエスコートしてくれる事になったという話は、してあるんだ」


「へえ、ありがとう。お父様、なんて言ってた?」


「これは驚いた、自分で見つけてきたのかって、面白そうに笑ってたよ」


「良かったぁ、嫌がられてはいないんだね」


「嫌がられるわけがない。だから、その……父には話は通ってるから」


わざわざ挨拶に来なくても大丈夫だっていいたいんだろう。でも、そういうわけにはいかない。


「うん。でも、僕からも直接言いたいんだよ。お嬢さんは僕が責任もってエスコートしますってね」


ちょっとだけ、レオニーの頬が赤くなった。可愛い。


レオニーはこんな風に、女の子扱いされるとひっそりと照れる。多分あのダメ王子に女の子扱いされた事がないからってのが一番大きいと思う。それもあってレオニー自体も男っぽくふるまってるうちに、周囲から女の子扱いされることが少なくなっちゃったんだろう。


慣れてないから居心地が悪そうで、照れくさそうなんだよね。


でも嫌ってわけでもなさそうだから、レオニーが困らない程度にちょっとずつ慣れて行ってもらおうと思ってる。ってわけで、僕はさっさと話題を変えた。


「それに、騎士団に納入する薬の試作品をいくつか作ったから、打ち合わせしたいってのもあるし」


「ああ! なるほど」


「結構さ、自信作ができてるんだよね」


「それは楽しみだ。父もきっと喜ぶだろう」


うん、これでひと安心。レオニーは約束はきっちり守ってくれるし、もし無理になったら必ずちゃんと報告してくれる。そういうとこ、ほんと誠実だよね。


それからはふたりでほのぼのと談笑しつつ、ご飯を食べたり、体の周りにまあるいシャボン玉みたいな空気の球を纏って沼の中に突撃して貴重な素材を採取したり、それはそれは楽しい休日を過ごしたのだった。


***


そして翌週の休日、僕はまたあの重厚すぎるレオニーのお邸にお邪魔していた。レオニーが約束通りに騎士団長であるお父様との約束を取り付けてくれたからだ。応接室に通されて、今はレオニーと二人、おいでになるのをおとなしく待っているところだ。


前回ほどじゃないけど、やっぱり緊張する。


「大丈夫かい?」


レオニーが聞いてくれる。


「うん、大丈夫。今日は僕、しっかりしないと」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

【3/1に5巻発売しました!】こっちもオススメ♪

ここをポチッと押してね(^-^)

『【書籍化&コミカライズ】地味姫と黒猫の、円満な婚約破棄』

絶世の美女と謳われる妹マリエッタと比較され、『地味姫』と揶揄されて育った公爵家の長女セレンは、婚約者たちが「マリエッタを正妃にすべき」と話しているのを聞いてしまい、自ら婚約を破棄するために動こうと決意。『氷の魔術師団長』ヴィオルから借り受けた使い魔の黒猫とともに、円満な婚約破棄を目指します。

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ