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三日後に

それから三日後。


ルシャが昼休みにアカデミーの中庭に来て欲しいと言うものだから、久しぶりに鍛錬場では無く中庭を訪れた私だったが……そこで待っていたルシャを見て驚いてしまった。


髪がバッサリと切られてしまっている。


ふわふわの猫っ毛で可愛らしかった若草色のポニーテールがキレイさっぱりなくなって、ベリーショートになってしまっていた。


ふわふわ揺れてるポニーテールがなくなって寂しい。


けれど逆に、今までは纏められていた部分がふわふわと浮いていて、とってもとっても手触りが良さそう。


「ふわふわ……可愛い……」


気がついたら魅惑のふわふわに手が伸びていた。


まるで柔らかな毛並みの猫を愛でているかのように幸せな手触り。指通りもよくて最高に気持ちいい。


「レオニー……」


「あっごめん」


ついついルシャの頭をなで回してしまった。


「あまりにも可愛くて」


「僕、かっこよくなったつもりだったんだけど」


ちょっと拗ねたような口調で言われて、それもまた最高に可愛らしかった。


「うん、ショートも似合うな。かっこいいよ。でも、ふわふわしてて可愛くもある」


出会った時はまるで愛らしい少女のようだと思ったけれど、髪をばっさりと切ったことで確かに印象は変わった。


神秘的な薄桃色の瞳、出会った時となんら変わらない透き通るような白い肌も相まって、少女と言うよりは羽化する前の少年の儚さを感じる神聖な美しさだ。尊い。


騎士科にもダグラスをはじめとした同い年の男どもは多いが、こんなに少年っぽさが残っているメンツはいない。なんせ皆ゴリゴリに鍛えているものだから、筋骨隆々としてるしゴツイし汗臭い。


豪快であけすけな物言いが荒く少々がさつなヤツが多いが、気兼ねなく付き合える彼らはもちろん良き友人で、それはそれで好ましい。


「騎士科のヤツらと比べられても……」


「ん?」


「なんでもない」


俯いたぽそっとルシャが何か言ったから聞き返してみたが、教えてくれなかった。残念だ。


「それで、今日はどうしたんだい?」


仕方が無いから話題を変えようとそう言ってみたら、ルシャはパッと顔を上げた。


「それだよ! そのために髪も切ってかっこよくしてきたのにさ」


「うん、かっこいいよ」


「……」


疑わしそうな目で見上げられてしまったけれど、かっこいいと可愛いが同居していると思っているのは本当だ。数年後にはきっと、こんな刹那的な美しさでは無く、男らしい風貌になってしまうのだろう。ちょっと寂しくもある。

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