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嫌なこと言うなぁ

そもそも課外だ、絶対に出なければならないと言うものでもないから、別にいいと思っていた。


しかし、これだけ厳しい目で見られているのならば、そろそろ出た方がいいのだろう。


「申し訳ありませんでした。明日以後は参加するように致します」


「……ふん、口だけになるなよ」


「はい、勿論です」


言いながら考えた。ルシャのサポートもあるし、家でも鍛錬は欠かしていない。明日はもちろん行くとして、馬鹿正直に毎日参加する必要もないだろう。今後はアッサイ様達が来る日をさりげなく確かめて、その日は必ず参加するようにすればいいか。


「お前も次の夜会ではデビュタントだろう、元婚約者として俺に恥をかかせるような無様なマネはするなよ」


「最大限努力致します」


もう婚約者でもないのだから、殿下が恥に思う事もないと思うが……。


しかしまぁ、この様子だと『大切な御用』という事もなさそうだ。それならば、殿下の気分が良くなるような話題にさっさと変えた方が得策かも知れない。


「殿下はフルール嬢と参加されるのですか?」


「ああ! 無論だ!」


言った途端、殿下はパアッと晴れやかなお顔になった。


めちゃくちゃ素直な反応にうっかり笑ってしまいそうなのをぐっと堪えて、私は穏やかな微笑みを浮かべて彼女を褒める言葉を口にする。


「フルール嬢ならさぞや美しいお姿でしょうね」


「俺が選んだドレスだからな、間違いない。デビュタントまでにお前のような大女との婚約が解消になって本当に良かった!」


「……」


さすがにムカつく。


だからあんなに婚約の解消を急いでいたのか。確かに私はもうそろそろ殿下に身長が追いつきそうだったしな。高いヒールなんか履いたら、むしろ追い抜いてしまったかも知れないが。


内心鼻白んでいたら、後ろから、何かヒヤリと冷気のようなものが感じられた。


「殿下、女性にそのような悪態をつくのは、さすがに目に余るふるまいでは?」


「お父様……」


振り返ったら、ちょっと遠くに無表情なお父様が立っていた。


「婚約者だった女性の前で、違う女性を讃えドレスを贈るだの罵倒する言葉をぶつけるだの……まったく嘆かわしい。改めて指導を受ける必要があるとグレゴリ卿に報告しておきましょう」


声は静かで、お顔にも一切の感情が浮かんでいないのに、なぜかお父様からはひんやりとした怒りのオーラが伝わってきて、実はとても怒っているのだということが伝わってくる。


「アカデミーでの殿下のレオニーへの態度については、耳に入っておりました」

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― 新着の感想 ―
[良い点] ひゅーひゅー!お父様もっと言ってやってください! [一言] 本人はもちろん、大事な娘にされたアレコレの仕打ちを思うとお父様はどれだけ怒ってもいいと思います!(立場的にはあまり強く言えないか…
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