【ルシャ視点】チャンスはある
ああ、やっぱりコイツ、レオニーの事が好きなんだな。それも多分、僕よりもずっと前から。
ダグラスって男と話してみて、僕はそう確信した。
前々からコイツのことは気になってたんだ。レオニーが修練場に出向いて剣を振るってる時、よくコイツと手合わせして楽しそうにしてたから。
レオニーよりも手のひらひとつ分は大きいだろう恵まれた体躯。胸筋や腕の筋肉だってすごくしっかりしてる。けれどムッキムキってわけじゃない。男らしくてすっごくカッコいい体で正直羨ましい。顔も凛々しいし、こうやって話してみると性格だって悪くない。
こういうヤツが、きっと立派な騎士になるんだろう。
剣筋がいいか悪いかなんて僕には分からないけど、レオニーがよく手合わせしてたくらいなんだから、きっと剣の才能もあると思う。
コイツって多分、レオニーに前『好みのタイプ』を聞いた時に言ってた、『実用的な筋肉があって剣筋が美しい方がいい。鍛練の証だからな、素直に憧れるよ』ってヤツに、限りなく近い気がする。
はっきり言って僕とは真逆なタイプだ。
ちょっと妬ける。
何度か行動を共にしてレオニーの自然な笑顔を嬉しく思ううちに「あ、僕、レオニーが好きなんだ」って既に理解していた僕は、ダグラスの存在を脅威に感じていた。
でも僕にだって充分チャンスはあると思うんだよね。だって、ここ数日一緒にいてひしひしと感じるんだけど、レオニーってやっぱりすっごく世話好きだ。いつも僕のことを気にかけてくれるし、すごく丁寧にエスコートしてくれる。
正直レオニーには僕が女の子に見えてるんじゃないかってちょっと不安にも思うけど、だとしても誰よりも興味を持って貰っているのだけは確かだ。
しかも尊敬の眼差しを向けてくれる事も多い。今は庇護対象に見えていたとしても、いつも一番そばにいてレオニーを助けていけば、そのうち僕を頼もしく思ってくれる日だってきっと来る。
むしろ厄介なのは周囲かも知れない。
ダグラスの言葉を信じるなら、あのゴツくて強そうな騎士団長だけでなく、弟くんもかなりな障害になるんだろう。レオニーの家は代々騎士の家系だって言ってたもんね。騎士団長みたいにでっかくってゴッツイのかな。だとしたらすっごくマズイ。
なんせ僕はレオニーに可愛い、可愛いってうわごとみたいに言われるレベルの貧弱さだ。いや、本当は別に貧弱ってわけじゃない。錬金で創り出した物を駆使して魔獣討伐だって中堅の冒険者程度にはやってのけるし、身一つで森に放り出されても余裕で生活出来るくらいにはたくましい。
ただなぁ。自分で言うのもなんだけど、僕って見た目が華奢で可愛すぎるんだよなぁ。




